210142214 フライシュッツ 『黒式・一条ノ流星』
あれから数日後─
【ティルフィング】
はぁ…はぁ…！
また一人で泳いでいるティルフィング
【ティルフィング】
……ふぅ
そしてプールから上がり、 マスターの隣のマットに横になる
【ティルフィング】
………
今日は一緒に泳ぐ？
と、マスターが尋ねる
実はあの日以来、 彼女はまだマスターと 一緒に泳いではいない
そんな彼女の答えは…
【ティルフィング】
いいえ
【ティルフィング】
その“希望”は…
来年の夏まで
取っておこうと思います
自我、強過ぎでしょ！
と、笑うマスター
でもそんなきみを見ていると、 自分もちゃんとがんばろうって 素直に思えるよ
【ティルフィング】
本当ですか…？
なんて言うか…きみみたいに、 強い心を持ちたいって思えるんだ
【ティルフィング】
強い心…
【ティルフィング】
マスター…
あなたは“強い心”と
言うけれど…
【ティルフィング】
それは…背負いし“強欲”を、
ちゃんと制御できるように
なりたいから
【ティルフィング】
“マスターと何かをしたい”…
そんな希望を持ってしまったら…
今の私じゃ制御できる自信はない…
【ティルフィング】
希望は欲望になり、
どんどん大きくなりそうで
怖いんです
【ティルフィング】
なのに…
じゃあ来年は一緒に泳ごうね
【ティルフィング】
あなたは…私のことを
平気な顔して誘ってくるのですね
【ティルフィング】
マスター…
あなたは私のこと…
どう想って……
マスターのことを想う気持ちは 彼女に新スキル…
『黒式・一条ノ流星』 を授けていた。
心の中でつぶやきながら、 マスターを見つめる彼女
ん？どうかした？ マスターが尋ねるが…
【ティルフィング】
うぅん、いいです
え？ なにが？
【ティルフィング】
いいえ、こっちの話です
「いいです」とは言ったものの、 マスターを見つめる彼女の瞳は、 どこか寂しげで儚げで…
【ティルフィング】
でも、今は…
横にいられるだけで……
【ティルフィング】
私は幸せです
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