210162073 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第16章 中心部決戦―エクリプス― 第2話 前夜-7 戦闘後
【???】 ガアアアアアアアア!
【カミト】 あぐぅっ…!
【カミト】 くっ… あと一歩が、届かない…
【カミト】 僕一人じゃ無理なのかな… でも…!
【???】 ガアアアアアアアアア!
【カミト】 あっ…
【スラーンド】 雷よ!
【カミト】 スラーンド…? ということは…
【ジーベン】 のんびり座り込んでないで さっさと立て! このお人好し暴走小僧めっ
【カミト】 ジーベン… あ、ありがとう…
【ジーベン】 …ったく 何とか身を隠せたな
【ジーベン】 相手が理性なし・見境なし・ 節操なしのなしなし三拍子野郎で 助かったぞ
【ジーベン】 おい、スラーンド 傷の具合はどうだ?
【スラーンド】 偉大なる強さをもつあたしが 怪我をするわけ…あ痛たた… ごめん、ちょっと休ませて
【カミト】 スラーンド、ありがとう 本当に助かった…
【スラーンド】 あたしはマスターの命令に 従っただけだよ
【スラーンド】 ほら、マスター カミトと話すチャンスなんじゃない?
【ジーベン】 うるさい! 怪我人は大人しくしてろっ
【カミト】 僕に、何か話したいことが?
【ジーベン】 …チッ 俺ばかり気にしているのも バカらしいな
【ジーベン】 おい、天然…いや、カミト
【カミト】 う、うん…
【ジーベン】 俺は…七人目なんだ… そして、覚えてないみたいだが お前は八人目だ…
【カミト】 あ! もしかして…特務機関ラグナロクで 被検体になっていた…
【ジーベン】 お前、覚えていたのか!?
【カミト】 ごめん… ジーベンのことは分からない… ただ、あそこにいたことだけは…
【カミト】 フォルカスの記憶を追体験したとき 僕は確かに、あそこにいた
【カミト】 あの辛い記憶… あれを思い出さないように、 フォルカスは僕に嘘の記憶を…
【ジーベン】 そうか… なら、それでいい 無理に思い出すようなもんじゃない
【ジーベン】 俺は…お前に負い目を感じてたんだ あの酷い施設にいたとき、俺は お前のことを無視していた
【ジーベン】 兄さんや姉さんがいなくなっていって いつか、みんないなくなる… そんな絶望に囚われて
【ジーベン】 お前がオクトだって知ったとき、 もう少し気に掛けておいてやれば 良かったって…後悔したんだよ
【ジーベン】 しかも、とっくの昔に再会してたのに 全く気づかなかったしな…
【カミト】 それは僕も同じだから… ジーベンが気に病むことじゃないよ
【ジーベン】 それでも、言っておきたかったんだ 単なる自己満足だが…
【ジーベン】 カミト…お前が生きていて良かったよ 本当に、良かった
【カミト】 ジーベン…
【ジーベン】 …しんみりするのはここまでだ カミト、もう一つ言っておかないと いけないことがある
【カミト】 何?
【ジーベン】 お前の義手…そいつは 何があっても壊すなよ 恐らくは、それが…
【ジーベン】 お前のバイブスの根源だ
【カミト】 …うん そうみたいだね
【ジーベン】 なっ…!? それも知ってやがったのか
【カミト】 あの施設での実験によるもの なんでしょ?
【ジーベン】 ああ 俺もお前も、後天的にバイブスを 手に入れたんだ
【ジーベン】 あのクソみたいな実験でな
【ジーベン】 俺は体の中身をほとんど弄られた その後、何でかバイブスを 宿していた
【ジーベン】 お前は左腕だけのようだが、 そこに人工的なバイブスが込められて いると考えて間違いない
【ジーベン】 俺は内臓を取り除いたら 死んでしまうから 考えても仕方ないが
【ジーベン】 お前は 義手をなくしても 生きていけるはずだ
【ジーベン】 その代わり、バイブスを失う つまり、キル姫を従えることが できなくなる
【ジーベン】 ただの人間に戻れるって考えると ひょっとしたらラッキーなのかも しれないが…
【ジーベン】 お前が奏官であり続けたいのなら その義手は絶対に失うな
【カミト】 この義手を…
【カミト】 フォルカスは、この義手を壊すつもり なんだろうな… 僕からバイブスをなくすために
【カミト】 でも、そうなったら僕達の絆は…
【スラーンド】 マスター! あいつ、意外としつこいよ
【ジーベン】 チッ もう見つかったのか…
【???】 ガアアアアアアアアアアアア!
Next: 210162081