210181080 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第18章 ×××アポカリプス 第１話 絆を胸に-8
少し前――
【住民達】 フリズスキャールヴ様、 どうか私達をお救い下さい！
【フリズスキャールヴ】
死は安息じゃ
ただ、受け入れれば良い
【住民達】 ありがとうございます！ ありがたや、ありがたや…
【キル姫達】 フリズスキャールヴ様、 私達は自由なのよね？
【フリズスキャールヴ】
そうじゃ
そなた達は誰にも縛られることなく
自由に生きよ
【キル姫達】 ありがとう！ 解放されて、清々しい気持ちよっ
【フリズスキャールヴ】
ふふっ
【グリダヴォル】
…………
【グリダヴォル】
言われた通り懐に潜り込んでみたけど
少々退屈な役割だな
【グリダヴォル】
私は死者に興味があるけれど、
世界が滅んで欲しいとは思って
いないよ
【リサナウト】
ぼやかない、ぼやかない
石の上にも三年という言葉があるわ
【グリダヴォル】
三年も猶予はないんだろう？
【リサナウト】
ものの喩えよ
それで、どんな感じかしら
【グリダヴォル】
日増しに彼女の信奉者が増えていくね
あれで意外と面倒見も良いみたいだ
【グリダヴォル】
気品や威厳もある
それなのに屋台で出されるような
食べ物に興味津々で
【グリダヴォル】
不意に見せる親しみやすさが
一層カリスマ性を強めているようだね
【リサナウト】
なるほど
死者にしか興味がないっていう割に
しっかり見てるのね
【グリダヴォル】
頼んだのは君でしょ
それに…彼女からは「死」の匂いが
するんだ
【グリダヴォル】
それも桁外れのね
彼女は一体、何者なんだろう…
【リサナウト】
それを知るための潜入捜査よ
それじゃ、引き続き――
【フリズスキャールヴ】
何じゃ
ここにおったのか
【グリダヴォル】
なっ…？
ロズに見張ってもらっていたのに
【フリズスキャールヴ】
驚くほどのことではない
わらわには良く見えておる
そなた達の位置も、企みものう
【リサナウト】
そ、それはこっちもお見通しよ！
あなたがここに来るのは想定内
だったんだからねっ
【フリズスキャールヴ】
そうか
わらわに何用じゃ？
申してみよ
【リサナウト】
あ…えーっと…
【グリダヴォル】
無理しないで逃げた方がいいよ
【リサナウト】
無理してないわよ…！
あ、そう！
そうよ、あなたっ
【リサナウト】
カシウスと話していたとき、
何でも知ってるような口ぶりだった
けれど…
【リサナウト】
あなた…どうして諦めてるの？
【フリズスキャールヴ】
ふむ…
【リサナウト】
このままいけば世界は終焉を迎える
そのことは私も「知ってる」わ
「見て」きたから
【リサナウト】
でも、だからこそ、抗うために
新しい可能性を探り続けてきたの
【リサナウト】
あなたはどうして抗おうとしないの？
どうして“終焉”を受け入れたの？
【フリズスキャールヴ】
そうか…
そなたは知らぬのだな
いや、知りようもないか
【フリズスキャールヴ】
そうじゃ
わらわは諦めた
あまりに長き絶望の刻を過ごし…
【リサナウト】
長き絶望の刻？
あなた、今まで見たことないんだけど
いつからいるの？
【フリズスキャールヴ】
そうじゃな…
年を数えるのも億劫なほどの刻
【フリズスキャールヴ】
そなた達が「神魔大戦」と呼んでいる
時代からじゃ
Next: 210181091