210202150 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第20章 絶望の終焉…そして 第2話 遺されたもの-15
【アルマス】 ここから始まるのね
【ティルフィング】 ええ 完全なる透過の世界に綻びを
【アルマス】 私が行くわ あのくらいなら一人で剪定できる
【ティルフィング】 では、私はここで待っています 全ては純潔なる世界のため
【ティルフィング】 あの頃の私達は、永遠の理想郷を 創ろうと必死でした…
【ティルフィング】 マスターもその身を賭して 下さって…
【ティルフィング】 マスター…
【ティルフィング】 初めてお会いしたのは、 冥花繁殖帯でしたよね…
【ティルフィング】 突然のことに、デュリンも ビックリして…
【デュリン】 あああ、なんてこと!?
【デュリン】 アタシがチョコを 買いに行ってる間に、 どんな劇的な展開があったのよ!
【ティルフィング】 その後、私がついデュリンのことを 「妖精」と言ってしまって…
【ティルフィング】 チョコで機嫌を… デュリン…
【ティルフィング】 もう一度、会いたかった 会って、話を…
【ティルフィング】 また、すぐに会えるよね…?
【デュリン】 …当然でしょ! 次はお母さんと一緒に会いに 来なさいっ
【ティルフィング】 うん… 絶対… 約束よ
【ティルフィング】 約束… 私は守れなかったけれど、 デュリンは…
【ティルフィング】 ゼロ達を助けるため、 ディスラプターを作って残して くれた…
【ティルフィング】 地上で一緒に戦ったキラーメイルの ために…
【ゼロ】 ティルフィング…! 絶対に死なせねえぞっ
【ティルフィング】 ゼロ… アナタとも落ち着いてお話したかった ですね
【ティルフィング】 せめてレーヴァテイン…アマネと 穏やかな日々を…
【ティルフィング】 あれから、どのくらいの時が過ぎたの でしょう
【ティルフィング】 計るべき時すら失われた 「無」の中を、私は漂い続けています
【ティルフィング】 皆との、思い出を胸に…
【ラグナロク】 温かなものが胸に…
【ティルフィング】 溢れてきます これはきっと…
【アルマス】 私達の絆の形… 新しい力…
【ティルフィング】 戦いの中で…私達は絆を繋ぐことが できました
【ティルフィング】 初めは敵対していたラグナロクとも 手を取り合える日が来るなんて…
【ティルフィング】 思ってもいませんでした ねえ、マスター
【ティルフィング】 …………
【ティルフィング】 …そうでした もう…私一人でした…
【ティルフィング】 もう誰も… マスター…マスター…!!
【ティルフィング】 思い出が…皆さんとの思い出が… 遠ざかっていくんです…!
【ティルフィング】 せめて、もう一度声を… あの頃の思い出を…一緒に話して…
【ティルフィング】 いえ…叶わないことだと 分かっています…
【ティルフィング】 それに…私自身…私のことが…
【レーヴァテイン】 ―――…もっと私達に甘えてくれて 良かったのに…
【レーヴァテイン】 あのとき言ってくれたよね… 私達…家族なんだよ
【レーヴァテイン】 兄さんがいなくなって… 独りになった私に…―――達が 手を差し伸べてくれた…
【レーヴァテイン】 だから私は… ねえ、―――
【???】 ―――――――が命がけで話して くれている…それなのに…
【???】 大切な思い出が遠ざかっていく… 私は…私の名前すら…
【???】 思い出せなくなって…
【???】 確かに感じるのは、手にした方舟と 胸にしまった世界樹の種だけ…
【???】 消える… 消える… 消える…
【???】 私という存在が消えて、 全ては忘却の彼方に… 「無」に私自身も溶け込んで…
【???】 …………イヤッ!
【???】 イヤよ… 私は消えるわけにはいかないっ 約束を果たすため…
【???】 この方舟を…新たな世界に送り届ける ために… 私は…!
【???】 …もう、誰との約束だったのかも 思い出せない この方舟が何なのかも
【???】 それでも、この感触だけが… 私の意思を繋ぎとめてくれている
【???】 忘れてはいけない… たとえ、私が忘れられたとしても
【???】 私は…新たな世界に…
【???】 …………
【???】 …………
【???】 …………?
【???】 胸が温かい… 世界樹の種が、仄かに光っているの
【???】 …近いのね 新たな始まりの地が
【???】 ここ…
【???】 何もない世界に、とても小さな渦が 一つ この中心に世界樹の種を…
【???】 すでに体という概念がなくなって 久しいけれど、種を植えることは できる
【???】 どうか、大きく育って下さい 新たな世界樹よ
【???】 種は渦の中心に吸い込まれました
【???】 私はその場に留まり、 種が芽吹くのをじっと待ちました
【???】 しばらく後、種は芽吹き、小さな 双葉が顔を出しました
【???】 その姿を見たとき、言いようのない 喜びが胸を満たしました
【???】 双葉は少しずつ成長していきます
【???】 背を伸ばし、若木となり、 枝葉を伸ばしていきました
【???】 力強く伸び上がり、やがてたくさんの 葉を生い茂らせた大樹となったのです
【???】 世界樹ユグドラシル… 大樹を中心に、世界が広がって いきます
【???】 私はその根元に落ち着き、 生まれたての世界を眺め続けました
【???】 産声を上げたばかりの世界は荒々しく 時に暴れ、時に泣きました
【???】 そのたびに世界は変化し、 より大きく広がっていったんです
【???】 やがて、世界は一定の秩序をもって 落ち着きました
【???】 全ての生命を受け止める新たな器が、 私の目の前に広がっています…
【???】 ありがとう、ユグドラシル 素晴らしい世界を生み出してくれて
【???】 これが私の、最後の役目 遙か遠い昔に交わした約束…
【???】 この方舟を新世界へ!
【???】 ああっ! たくさんの生命が… 世界中に広がっていきます
【???】 どうか幸せな世界を、 皆で紡いで下さい
【???】 また皆と話しがしたかった… だけど、この孤独を受け入れると 決めたんです
【???】 私は皆さんを見守ることができれば、 それだけで幸せです
【???】 私はユグドラシルの根元から、 地底へと降りていきました
【???】 誰も辿り着くことのない、 気づかれることもない、 静寂と孤独の地
【???】 そこで静かに世界を見守ることに したんです
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