210421212 モラベガ 誰かの光になれたなら
【モラベガ】 ………
静かに海を… 姫たちを見つめるモラベガ
マスターは、 『人魚姫』の本を手に取り、 彼女に語り掛ける
【モラベガ】 なに?どうしたの…?
確かに、人魚姫は外の世界… 人間の世界に出て、 泡となって消えてしまったね、と
【モラベガ】 そうだよ だから、私たちは…
【モラベガ】 誰とも繋がらず、 これまで通りでいたいんだ
【モラベガ】 王子様なんかと… 出会わなくていいよ
でもね… 彼女の言葉を遮り、 マスターが語る
人魚姫は王子様と恋をするために、 自らの声を魔女に差し出した…
自ら一歩を踏み出したんだ、 外の世界に…って
【モラベガ】 そのせいで彼女は……
でも、外に踏み出したことは、 心の強さになるんじゃないかな? マスターが彼女に問い掛ける
【モラベガ】 …え?
本当の気持ちを押し殺すことが 強さなのかな…?と
【モラベガ】 それは……
最期は泡になっちゃったけど… 自分で決断して戦ったんだ
人魚姫に後悔は なかったんじゃないかな?
【モラベガ】 ………
きみたちはどう?ずっと 自分の殻に閉じこもっていて… 後悔しない?
マスターの問い掛けに…
【モラベガ】 ……私たちは…
彼女が何かを言い掛けた時、 マスターは…
僕は先に行くね、答えは… 自分たちの手で見つけ出すんだ 人魚姫のようにね
そう言って、 モラベガの前から 立ち去るのだった
【モラベガ】 ……マスター
一人残されたモラベガは考える
【モラベガ】 強い…お姫様……
【モラベガ】 ………
【モラベガ】 本当は…
【モラベガ】 みんなと仲良くしたい
【モラベガ】 でも……
【モラベガ】 これまではずっと アルマスとピスカと私たち… それが世界の全てだと思ってた
【モラベガ】 私たちはアルマスみたいな 強くてかっこいい お姫様になりたくて、
【モラベガ】 だから、 みんなと出会ってからも 関わることを避けて…
【モラベガ】 それが強くなれる道だと 思っていたから… そう信じていたから…
【モラベガ】 でも、いつの間にか…
【モラベガ】 自分の殻に 閉じこもるように なっていた…
ふと、頭の中に アルマスの立ち姿が浮かぶ 強いお姫様のような憧れの姿
そして、外に踏み出したことは、 心の強さになるんじゃないかな? というマスターの言葉
顔を上げ、 彼女が海を見据える
【モラベガ】 でも、このままじゃダメだ…
【モラベガ】 私たちも一歩踏み出さなきゃ
【モラベガ】 王子様と恋をするため、 己の声を差し出した…
【モラベガ】 あの人魚姫のように…
小さな決意をした時、 彼女の目に光が戻ってきた
【モラベガ】 でも、みんなと仲良くするには、 どうすればいいのかなぁ…
【モラベガ】 うう… まだ心の準備がっ…!
――と、その時
【モラベガ】 …!
彼女はある光景を目撃する
【モラベガ】 あ、あれは…!
海で遊ぶ姫たちの背後から、 異族の大群が迫っていた
【モラベガ】 誰も…気づいてない…!
死角になっている上に、 遊びに夢中の姫たち
このままでは、 大打撃を被るのは必至だ
【モラベガ】 ど、どうすれば…!?
彼女が『人魚姫』の本を ギュッと握り締める
【モラベガ】 人魚姫は声を失った… でも、私たちは……
【モラベガ】 声を届けることができる!!
【モラベガ】 みんなぁ!!
【モラベガ】 後ろだよ!! 気をつけてぇぇぇっ!!
モラベガの声に気づき、 臨戦態勢に入る姫たち
良かった… 自分の殻を破れたみたいだね 微笑みながら、マスターが呟く
【モラベガ】 みんな!待ってて! 今、行くからっ!!
剣を取り出し、 異族に特攻するモラベガだった
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