210461213 ミュルグレス・神令・トール 樹令『避暑の秘計』
数日後――
【ミュルグレス】 はぁ!はぁ!
あれからずっと、 姫達やマスターに 泳ぎを教わっているミュルグレス
しかし……
【ミュルグレス】 ダメだ~
【ミュルグレス】 なんでうまくならないんだろ… せっかくみんなに 教えてもらってるのに……
いつも強気な彼女も、 徐々に自信を失いつつある
そこでマスターは彼女に、 課題がクリアできたら、これあげるよ と、カステラを見せる
【ミュルグレス】 そ、それは…! この夏限定のスペシャルカステラ!
【ミュルグレス】 …はっ!
一瞬、カステラに つられそうになってしまったことに 気づき、慌てるミュルグレス
【ミュルグレス】 ふ、ふーん 課題ね
【ミュルグレス】 まあ、暇だし やってあげてもいいわ どんな課題?
その課題とは…
ビーチで開かれる5人1組の 遠泳リレーの大会で、 優勝することだった
【ミュルグレス】 えぇ~~~っ!!
【ミュルグレス】 そんなの絶対ムリ! まだうまく泳げないし! みんなに迷惑かけちゃうだけよ!
しかしマスターは言う 大丈夫!みんながついてるから!
【ミュルグレス】 そ、そんなこと言ったって…
結局、姫達の説得もあり、 彼女は大会に出ることになった
【ミュルグレス】 …はぁ、どうしよ
鳴り響くスタートの笛
ここまではトップをいく ミュルグレスのチーム
【ミュルグレス】 も…もうすぐ順番が来ちゃう……
ミュルグレスは ラストを泳ぐアンカーだ
【ミュルグレス】 どうしよ、どうしよ…
不安を募らせるミュルグレス
俯きかけた、その時…
がんばれ、ミュルグレスーーーッ!!
【ミュルグレス】 !!
【ミュルグレス】 あ、あれは…
姫達の声援と共に、 彼女の目に飛び込んできたのは、 みんなが作ってくれた旗だった
【ミュルグレス】 ミュルのために……
【ミュルグレス】 任せて! みんなのエールは……
【ミュルグレス】 無駄にはしないんだから!
第4泳者からタスキをもらい、 泳ぎ出す彼女
【ミュルグレス】 絶対に……
【ミュルグレス】 勝―――――つ!!
土壇場に追い込まれた彼女は、 新たなる力に覚醒
【ミュルグレス】 はぁぁぁぁぁぁぁっ!!
見事、一位でゴールするのだった
【ミュルグレス】 やったぁぁぁぁぁっ!!
その後、マスターから ご褒美のカステラをもらう彼女
【ミュルグレス】 だんちょー、ありがとう!
【ミュルグレス】 最初は自信なかったけど… 挑戦するって大事よね
【ミュルグレス】 出てよかったと思う …その…優勝もできたしね
【ミュルグレス】 なかなかの思い出って ところかしら
そんな彼女にマスターは言う 実はもうひとつ、もっと豪華な ご褒美付きの課題があるよと
【ミュルグレス】 この夏限定のスペシャルカステラ 以上のご褒美~?
【ミュルグレス】 まさか… 来週限定の スーパーデラックスカステラ…?
【ミュルグレス】 いやいやいや! カステラを出せば、ミュルが なんでも食いつくとでも思ってんの?
【ミュルグレス】 ……で? 一応聞いてあげるけど どんな課題よ?
マスターはミュルグレスに 一枚の紙切れを見せる
【ミュルグレス】 え?それって、宝の地図でしょ? ミュルを騙したのニセモノの
だが、マスターは続ける、 これはニセモノではないよ、と
実際、この辺りに伝わる 秘宝の地図なのだそうだ
【ミュルグレス】 マジで!? じゃあ、課題っていうのは…?
もちろん近くの海に沈んだ宝を 見つけ出すこと と、マスター
【ミュルグレス】 はぁっ!?なんでよ!!
君にもっと泳ぎが 上手くなってもらいたいから
泳げるようになったんだから、 ひとりで宝を探しに行けるよね がんばって!…と微笑む
【ミュルグレス】 えーーーーーっ!!
がんばってー! と、彼女に手を振る姫達
【ミュルグレス】 ちょっと~~~!!
【ミュルグレス】 ミュルひとりでやれっていうの? 話が違うわよ! 鬼!悪魔!裏切り者―っ!
そんな彼女を、 微笑ましく応援する姫達だった
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