210701010 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第7章 夢追い人―デザイア― 第1話 ラグナロク機関へ-1
インテグラルキラーズの思わぬ 参戦もあり、辛くもフォルカスを 退けたアルマス
天上世界のいずこかへと去った 彼女を追おうとするが、 それはラグナロクに止められる
ラグナロクは世界の異変について、 情報が不足していることに 危機感を抱いていた
一方、その頃―― 天上世界の復興を見て回っていた モニカ・ワーズワースは
立ち寄った村で インテグラルキラーズの一人、 ロンギヌスと再会する
世界の“終焉”について語り合う二人 そこにコマンドキラーズ・フォルカス が姿を現した
激しく対立し、激突するフォルカスと ロンギヌス
戦いは紙一重でフォルカスが勝利する そこに駆けつけたティルフィング達 に追われ
彼女は“海”へと身を投げ、 地上世界に降りていった
そして同じ頃、ユグドラシルにて アルマス達も地上世界に向かおうと していた
運命の糸は交錯する――
【ヴァング】 …………
【マサムネ】 ここにいたのか …随分、渋い顔をしているな
【ヴァング】 当然だろ あのジジイども… くそっ!
【ヴァング】 これ以上動く気はない、だと!?
【ゴウバラ】 うむ… それが儂らの、総意だ…
【西】 コマンドキラーズの脅威は 我らの治める地から去った
【北】 逃げた虎の尾をわざわざ踏みに いくこともあるまい
【ヴァング】 ふざけんな! あいつらは逃げたんじゃねえ! さっきも話しただろうがっ
【西】 一人がユグドラシルに入り、 残った二人はどこかへ立ち去った… そう言っていたな
【北】 つまり我々が勝利したのだ 外敵を追い払うことに成功した
【西】 君達の手柄だぞ 大いに誇ればいい
【北】 奏官が一人死んだようだが、 何事にも犠牲はつきものだよ
【西】 むしろ、その程度で済んで良かったと 捉えるべきだな
【ヴァング】 てめえら!!
【ゴウバラ】 北も西も、口が過ぎるぞ
【ゴウバラ】 ヴァング君もカミト君も、 その身を賭して戦ってくれたのだ そのような言い方はなかろう
【西】 フン… 随分と若造に肩入れするな、東
【北】 いずれにせよ、我らはこの地を守る ことに専念する
【ヴァング】 ああ、そうかいっ… 自分さえ良ければ他の奴らはどうでも いいってことかよ!
【ヴァング】 中心部の連中がそんなんだから、 いつまで経っても争いが止まなかった んだろうが!
【ゴウバラ】 ヴァング君
【ヴァング】 上等だ! あんたらが動かねえのなら、 それで構わねえ
【ヴァング】 俺は俺で好きにやらせてもらうぜ!
【ゴウバラ】 …何をする気だね?
【ヴァング】 ユグドラシルを調べるんだよ! そのくらいの権利はあるだろ!?
【ゴウバラ】 ふむ それは一向に構わ――
【北】 待て、東 彼らには早々にここから出ていって もらわねばならん
【ゴウバラ】 何だと?
【ヴァング】 どういう了見だ、てめえ!
【西】 それはこちらの台詞だよ シタから報告を受けている
【北】 キラーメイル、というそうだな 君達が連れている、 あの「用心棒」どもは
【ヴァング】 !!
【ヴァング】 チッ…ここでその話を持ち出し やがるかっ
【ゴウバラ】 何の話かね?
【北】 おやおや 東は知らされていなかったか まあ、そうであろうな
【西】 事前に知っていたのであれば、 彼らを中心部に招き入れることも なかったはずだ
【北】 先日、人型の魔獣が町に現れたで あろう? あれがキラーメイルだ
【西】 そこの彼と行動を供にしている 奏官でない男が数人いたな あ奴らもキラーメイルなのだよ
【ゴウバラ】 何と…!? そのようなことがっ…
【ヴァング】 おい待て! 確かにあいつらはキラーメイルだが 魔獣じゃねえ!
【ヴァング】 カミトが正気に戻したんだ! 今は俺達の味方だぞ!
【北】 事の経緯は知らぬ どちらにしろ魔獣だったことは 違いないのだろう?
【西】 あ奴らがまた魔獣になって 暴れないという保証がどこにある?
【ヴァング】 ふざけんなよ、てめえら!
【北】 ふざけているのは君の方だな キラーメイルの存在を隠していた ことが何よりの証拠
【西】 やましいことがあるから 隠していたのだろう?
【西】 信頼関係が大事だと言っていたのは 誰だったかな?
【ヴァング】 …………ハハッ
【ゴウバラ】 ヴァング君?
【ヴァング】 そうだな 信頼関係が大事だよなぁ
【ヴァング】 つまり、端から俺らの間には そんなもんなかったってことだ! だったら、いいぜ
【ヴァング】 あんたらがビビって 追い出したがってるキラーメイルと 一緒に…
【ヴァング】 ここを叩き潰して――
【ゴウバラ】 待ちなさい!!
【ヴァング】 !?
【ゴウバラ】 ヴァング君… 君達の働きには本当に感謝している お陰でこの地は守られた
【ゴウバラ】 こちらも君達を無下にするつもりは ないのだ ただ…
【ゴウバラ】 我らにも守るものがある 君にもあるようにね
【ヴァング】 …………
【ゴウバラ】 非礼は儂が代表して詫びよう すまない
【ゴウバラ】 その上で頼む 一月だ
【ゴウバラ】 一月の間だけ、ユグドラシルを 調べることを認めよう その後、ここから出て欲しい
【西】 いや、十日だ
【ゴウバラ】 ぬっ…
【北】 私もそれなら認めよう 十日だけ猶予をやる それ以上は断じて許さん
【ゴウバラ】 …どうかな、ヴァング君?
【ヴァング】 …………チッ
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