210701070 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第7章 夢追い人―デザイア― 第１話 ラグナロク機関へ-7
【住人１】 ありがとうございます、キル姫様！ 助かりましたっ
【アルマス】 キル姫様って、大げさね 地上だとこういう感じなのかしら？
【ヴァング】 いや、そんなことはねぇが こいつが勝手に敬ってるだけだろ
【住人２】 キル姫と一緒にいる… あんた、まさか奏官！？
【住人達】 何だって…！ うわあああっ…！！
【ヴァング】 おい！ 何だ、急に
【住人１】 仕方ないんだよ… みんな、すっかり怯えてしまって
【住人１】 あんた達、よく生きてたな… この辺の奏官はみんなやられたって 聞いてたのに…
【ヴァング】 あん？ やられたって、 コマンドキラーズにか！？
【住人２】 名前までは知らないよっ ただ…とんでもなく強いキル姫様が 現れて…
【住人１】 おまけに「ネオ・ラグナロク」とか いう変な宗教団体みたいな連中まで やってきたんだ
【住人１】 「奏官は大罪人だ！」って 叫んでいた… 奏官と関わるなって
【グリモワール】
ああ、あいつらね…
こんなところにまで出張ってきてる
なんてっ
【住人２】 今、起きてる異変は全て奏官が 引き起こしてるものだとも言ってたぞ
【住人１】 正直、胡散臭いとは思ってたんだが…
【ヴァング】 くそっ… とんだデマを流しやがって
【マサムネ】
「ネオ・ラグナロク」…
俺も一度、遭遇したが、
確かに過激な連中だった
【マサムネ】
この先、彼らにも気をつけないと
いけないな
【アルマス】 何なの？ その「ネオ・ラグナロク」って
【グリモワール】
歩きながら話してあげる
先を急ぐわよ！
【住人１】 なあ！ まだ異変は続くのかっ？ 俺達はどうなっちまうんだ！？
【住人２】 やっと不気味な霧が晴れて、 変な幻覚を見なくなったと思ったのに もう勘弁してくれよぉ…
【ヴァング】 項垂れてんじゃねえ！ 生き残りたかったら、 少しはてめえの頭で考えろ！
【住人達】 ひっ…
【ヴァング】 ちゃんと飯食って寝て、 それからやれることをやるんだな！ 絶望するには早すぎるぜ！
【住人達】 ………… //背景：道路（夜）
【ヴァング】 今日はこの辺で休むか… どっか空いてる部屋があれば 良かったんだが
【アルマス】 私達は野宿でも平気だけど、 あなたは人間でしょ？ 大丈夫？
【ヴァング】 この程度、どうってことねぇよ それよりも…
【シユウ】
うがあああ…
シユウは、もうげんかいだ…
【アスカロン】
シユウがお腹を空かせてます
どこかで食べ物を手に入れないと…
【グリモワール】
まったく！
ピナーカはどこまで行ったのよ！？
【ピナーカ】
おおーっと！
行き過ぎた！！
【ピナーカ】
待たせたな！
ピナーカ様の到着だぜ！
【グリモワール】
ちょっと、ピナーカ！
今まで何してたのよっ？
【ピナーカ】
いやー、オイラもすぐ戻るつもり
だったんだけどよ
たまたま、あいつに会って
【ヴォータン】
どうしたの、ピナーカ？
速さ比べは私の勝ちのようね！
【ピナーカ】
ふざけんな！
オイラは用事があって止まった
だけだ！
【ヴォータン】
フン！
この私との速さ比べ以上に大切な
用事なんて、あるわけないわ！
【ヴォータン】
このヴォータン・獣刻・スレイプニル
こそ完璧なる人馬一体の俊足女王よ！
【グリモワール】
また面倒くさい奴が…
【ヴォータン】
あら？
そこにいるのはグリモワールね
今度はお前が相手をするの？
【グリモワール】
しないわよ！
キミみたく暇じゃないのっ
【ヴォータン】
なに…？
この駄馬めっ！
私も暇じゃないわ！
【ヴォータン】
テュルソスに伝令を頼まれているの
彼女がどうしてもって懇願する
ものだから
【ヴォータン】
私の完璧な俊足を見せつけてやる
良い機会だと思ってね
お前とは格が違うのよ！
【グリモワール】
…だったら早く伝令に行きなさいよ
ピナーカと競走してる場合じゃ
ないでしょ！
【ピナーカ】
ヴォータン、勝負は預けておくぜ！
オイラはいつでも受けて立つからな！
【ヴォータン】
いいでしょう
他の駄馬達も、私に挑戦する権利
くらいは与えてあげるわ
【ヴォータン】
はーはははっ！
【アルマス】 何だったの、今の…？
【グリモワール】
気にしなくていいわ
ただの暴走キル姫よ
【ヴァング】 それより飯にしようぜ ピナーカ、食い物は手に入ったのか？
【ピナーカ】
オイラに任せとけって言っただろ！
【シユウ】
うがあああ♪
シユウはうれしいぞ！
【ピナーカ】
へへっ
ライバル《とも》のためだからな！
【アルマス】 はぁ… こんな調子でラグナロク機関に 辿り着けるの…？
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