210751050 インテグラルノア編サイド インテグラルノア サイドストーリー インテグラルノア編サイドストーリー「やがて大樹の姫巫女達よ-前編-」 第1話 射抜く者 5 - 射抜く者-5 射抜く者-5 射抜く者-5
【梓弓】 わたくし達のギルドは、 この町を拠点として周辺の村を 幾つかまとめています
【梓弓】 町の警備は持ち回りで行われて いるのですけれど… 最初の事件は数日前に起きました
【与一】 夜間警備を行っていた奏官さんが 何者かに襲われたんです…
【梓弓】 その方は一命を取り留めましたが、 今も病室に…
【梓弓】 他ギルドから攻撃されたのではと 一時は皆、身構えたものですが、 その様子もなく
【与一】 町に異族が潜んでいるのではーって 大捜索もしたんですよっ
【ヒョウハ】 あ…ここの奏官達も異族のことは 知ってるんだな
【梓弓】 あなたもご存知のようですね …ごく稀に現れる異形の者達
【梓弓】 最近になって、この近くでも 多く見られるようになったのです
【梓弓】 しかし、今回は その痕跡はありませんでした
【梓弓】 そうこうしているうちに、 二人目の犠牲者が出ました
【与一】 今度は夜遊びの最中を狙われた みたいなんですっ 酒場から出てきたところを…
【ヒョウハ】 …そして今朝の騒ぎか どれも夜陰に乗じてって感じが するな
【梓弓】 はい… ですが、警戒しているはずの奏官も キル姫もその姿を見ていないのです
【与一】 まるで幽霊みたいですね…
【ヒョウハ】 ひぃっ! へ…変なこと言うなよっ…!
【梓弓】 あら? 幽霊は苦手ですか?
【ヒョウハ】 そういう曖昧なものは嫌いなんだよ!
【梓弓】 この世は目に見えるものばかりでは ありません 吉凶は縁によるもの
【梓弓】 あなたの運勢も占って差し上げ ましょうか?
【ヒョウハ】 あんた、呪いとか詳しいのか…?
【梓弓】 何かお困りごとでも?
【ヒョウハ】 あ、いや… 何でもない…
【梓弓】 そうですか… さて、このまま三人で見回っていても 非効率ですね
【梓弓】 別れて行動しましょう 与一、あなたはそちらへ
【与一】 はい! 了解しました!
【梓弓】 ヒョウハはここに詳しくない でしょうから、大通りを進んで 下さい
【梓弓】 わたくしはこちらに参りますので 広場で落ち合いましょう
【ヒョウハ】 …ああ、分かった
【ヒョウハ】 …………
【ヒョウハ】 この町にはしょっちゅう来てるし、 本当は道にも詳しいんだよなあ
【ヒョウハ】 暗がりに潜めそうなところも… ん?
【ヒョウハ】 …誰かに見られてるな
【ヒョウハ】 殺気…というには弱い… 躊躇ってるのか? 今更?
【ヒョウハ】 だったら、こっちから!
【ヒョウハ】 !?
【ヒョウハ】 …気配が消えた 勘づかれたな
【ヒョウハ】 …にしても、気配そのものが 希薄な相手だった まるで…
【ヒョウハ】 まさか――
【与一】 はっ!
【ヒョウハ】 !? …おっと!
【ヒョウハ】 ったく…危ないな… 急に何するんだよ
【与一】 避けられました!? こんなことって…
【梓弓】 まだです! この一矢で――
【ヒョウハ】 やめときなって あたしらでやり合っても 犯人が喜ぶだけだよ
【梓弓】 くっ… いつの間に背後に…!?
【与一】 与一の奇襲を躱すだけじゃなくて 回り込んでしまうなんて… 悔しいけど、尊敬です!
【ヒョウハ】 予想してたからな そうじゃなかったら射抜かれてた 大した腕を持ってるな
【与一】 はわわっ… 予想してたなんて… いつ、ばれたんですかっ?
【梓弓】 ふふっ… 初めからお見通しだったようですね
【ヒョウハ】 あんたのマスターを病院に運んだとき 少し傷の具合を見せてもらったんだ …あれは矢傷だった
【ヒョウハ】 あたしを警戒したのも、 余所者ってだけじゃなくて 弓使いのキル姫だったからだろ
【ヒョウハ】 そして協力を頼む振りをして、 隙を見て仕留めるよう命じられた… そんなとこかなっ
【与一】 そこまで見抜かれていたなんて… マスターに何て報告すれば…
【ヒョウハ】 安心しな、お二人さん あたしは町から出ていくよ
【梓弓】 勝手な真似は――
【ヒョウハ】 先に仕掛けたのはそっちだぞ これ以上、協力する義理はないよな?
【梓弓】 …申し訳ありません では、町の出入り口まで ご案内致します
【与一】 ええっ、いいんですか!?
【梓弓】 マスターには、わたくしから 事情を説明いたします
【梓弓】 それに、もし彼女が犯人だとしたら わたくし達の方こそ、今頃奇襲に あっていてもおかしくありません
【与一】 ヒョウハさんの腕なら、 それもそうですね…
【梓弓】 さあ、参りましょう 警備の続きもありますから
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