210751090 インテグラルノア編サイド インテグラルノア サイドストーリー インテグラルノア編サイドストーリー「やがて大樹の姫巫女達よ-前編-」 第1話 射抜く者 9 - 射抜く者-9 射抜く者-9 射抜く者-9
数日後――
【ヒョウハ】 おじさん そっちのと…そいつも頂戴!
【町人】 はいよ! …おや、あんたキル姫かい? 見ない顔だけど、新入りさん?
【ヒョウハ】 いや、ここには… 買い出しに立ち寄っただけなんだ ちょっと遠出するから
【町人】 そうかい 俺は、てっきりギルドの 補充があったのかと
【ヒョウハ】 補充?
【町人】 この辺を治めてるギルドの奏官が 一人、キル姫連れて出ていったんだよ 何て名前だったかね…?
【ヒョウハ】 それって、アバリスのマスター?
【町人】 ああ、そうだ! あんた、アバリスの知り合いか?
【ヒョウハ】 …まあ、そんなところ
【町人】 いるのかいないのか分からないような キル姫だったけど、元気でやってると いいねえ
【ヒョウハ】 そうだな 本当に…
【町人】 ところで、そんなに買い込んで 遠くまで行くつもりかい?
【ヒョウハ】 まあ、そんなところ!
【ヒョウハ】 そうだっ、おじさん この辺りで他に異族が出た 町を知ってる?
【町人】 異族? ああ、奏官たちが言ってた 化け物のことだね
【町人】 確か、この町を出て真っ直ぐ 進んだ先にある町の近くで 化け物が出たって話を聞いたかな
【町人】 でも、あそこに行くのは危険だよ 今は化け物より町同士が…
【ヒョウハ】 おじさん、ありがとっ!
【町人】 ええっ? 気をつけるんだよー!
【梓弓】 来た来た来た…来ました! 見えましたぁ! 事件の犯人は…
【与一】 梓弓さん… 本当に占いで犯人を見つけることが できるんですかぁ…?
【梓弓】 間違いありません! 犯人は…町の外にっ
【与一】 ええーっ… 昨日は町の中にいるって 言ってたじゃないですかぁ…
【与一】 この数日、事件も起きてませんし… 何だか皆さん、やる気無くして ますよねぇ…
【ヒョウハ】 …………
【梓弓】 …あら? 見覚えのないキル姫ですね
【与一】 梓弓さぁん… そんなことより犯人探しは どうするんですかぁ…
【ヒョウハ】 結局、事件の真相は藪の中だ
【ヒョウハ】 梓弓達には悪いが、 そのうち町もいつも通りに 戻るだろう
【ヒョウハ】 アバリスと彼女のマスターが どんな話をしたのかは知らない
【ヒョウハ】 ただ、アバリス達の前途が、 明るいものであることを願ってる
【ヒョウハ】 それから、あたしも――
【ヒョウハ】 よし! 行くか! 新たな町へ!
【ヒョウハ】 ずっと目を背けてた 無理やり自分を納得させてた
【ヒョウハ】 でも、それじゃダメなんだ あたしはこの呪いと、自分の抱える 使命と向き合わなくちゃいけない
【ヒョウハ】 それが、あたしに課せられた 宿命だったとしても それでも、
【ヒョウハ】 大好きなこの町も、綺麗な景色も みんなの笑顔も全て守りたい その思いはあたしだけのものだ
【ヒョウハ】 だから、あたしは旅に出るよ この呪いを解く方法を探すために
【ヒョウハ】 それがきっと、あたし自身を知り 世界を救うことに繋がるんだって そんな気がするんだ
【ヒョウハ】 その上で、アバリスに言ったことを 自分にも言うよ
【ヒョウハ】 あたしはあたしの評価を誰かに 委ねたりしない
【ヒョウハ】 あたし自身が納得するために 鍛錬をするし、技を磨くんだ
【ヒョウハ】 そして異族を倒して 世界から全ての脅威をなくす 誰にも顧みられなくても…
【ヒョウハ】 「平和な世界」がそこに残るんなら あたしが戦う価値はある
【ヒョウハ】 あたしがそう決めた そのための力を必ず手に入れる
【ヒョウハ】 たとえ、それが どんなに険しい道だとしても きっと希望はあると信じて
【ヒョウハ】 異族が出た町 何か少しでも、呪いを解く 手がかりがあるといいな
【ヒョウハ】 よーし! 世界を守る名も無き英雄への道は 始まったばかりだぞ!
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