241520130 インテグラルノア編サイド インテグラルノア サイドストーリー インテグラルノア編サイドストーリー「やがて大樹の姫巫女達よ-後編-」ストーリー やがて大樹の姫巫女達よ 4話 4 - 尽くす者-3 尽くす者-3 尽くす者-3
【イチイバル】 そうだったんだね… 手当てをしてくれてありがとう 本当に助かったよ
【ロジェスティラ】 いえいえ、そんなそんなっ… わたしなんか全然です…
【イチイバル】 キミは随分と謙虚なんだね 良かったら、名前を教えて くれないかな
【ロジェスティラ】 はわわわわっ… あのあのっ… ロジェスティラ、です…
【イチイバル】 ロジェスティラ…良い名前だね この恩義は決して忘れない
【ロジェスティラ】 あ、あの… あなたのお名前は…?
【イチイバル】 ああ、そうだった… つい名乗るのを忘れてしまうな ボクはイチイバルだ
【ロジェスティラ】 やっぱり、この方が村の人達が 話していたイチイバルさんなんですね
【イチイバル】 それじゃ、ボクはこれで…うっ!
【ロジェスティラ】 まだ動いちゃダメです…! ちゃんと治るまで寝ていて下さいっ
【イチイバル】 しかし…これ以上、キミに迷惑を かけるわけには…
【ロジェスティラ】 あのあのっ わたしは全然、迷惑ではないので のでっ…!
【ゴーレム】 …………
【ロジェスティラ】 あ、ゴーちゃん スープ作ってくれたんですね
【イチイバル】 土人形? キミが操っているのかい? すごい魔術だねっ
【ロジェスティラ】 あの…えへえへ♪ この子はゴーちゃんです
【ロジェスティラ】 あなたのお世話をしますので、 何でも言いつけて下さいね
【イチイバル】 …感謝するよ なるべく早く出ていくから
【ロジェスティラ】 そんなそんなっ… 本当に、迷惑ではないのでっ
【ロジェスティラ】 ずっといていただいても 良いくらいで… いえ、何でもないですですっ
【イチイバル】 …そういうわけにもいかないんだ
【ロジェスティラ】 あ…ごめんなさいっ わたし、勝手なことを…
【イチイバル】 いや… ボクはね 世界を救わないといけないんだよ
【ロジェスティラ】 えっ… 世界、ですか…?
【イチイバル】 ごめんね 大げさだと思うよね
【イチイバル】 でも…この使命感がずっとボクの 中にあるんだ
【イチイバル】 ボクは世界を救わなくてはいけない そのために存在しているんだって…
【イチイバル】 理由は分からないけれど、 そんな使命感に突き動かされて いるんだよ
【ロジェスティラ】 イチイバルさんも、 世界を救う使命感を抱いてる…! これって…偶然なんでしょうか
【イチイバル】 世界を救うために何をすれば いいのか…少し前まで具体的なことは 分からなかったんだ
【イチイバル】 だから、この世界を放浪しながら、 人々の役に立てることなら 何でもやってきたよ
【イチイバル】 ただ…少し前に気づいたんだ ボクは異族を討たなければならない この世界のために
【ロジェスティラ】 異族を…
【イチイバル】 うん 異族は世界を崩壊させようとして いるんだよ
【ロジェスティラ】 ええっ…! そんなそんなっ…
【イチイバル】 幾つかの地で、ボクは異族が空間に 「穴」を開けるのを見た…
【イチイバル】 それは異族を倒しても消えなかった んだよ… 試しに小石を放ってみたら…
【イチイバル】 粉々に砕けて「穴」に吸い込まれた んだ そして「穴」は塞がった…
【イチイバル】 あんなものが世界中に作られつつ あるのだとしたら…一大事だよ
【イチイバル】 以来、ボクは率先して異族を 倒して回っている でも、そのせいなんだろうな…
【イチイバル】 異族もボクを殺そうと寄ってくる ようになった そんな気がするんだよ
【イチイバル】 だから、なるべく一つ所に留まらない ようにしているんだ
【イチイバル】 さっきも、急いで村から離れたんだ けれど…自分が情けないよ
【ロジェスティラ】 情けなくなんか、ない…ですですっ イチイバルさんは勇敢です わたしは…怖くて…
【イチイバル】 怖いのは当然だよ 誰だってそうだから 無理をすることはない
【イチイバル】 やれる者がやればいいんだよ 今回はそれが、ボクだったってだけさ
【イチイバル】 人々の代わりにボクが戦う 傷つくのもボクだけで済めば 問題ないからね
【ロジェスティラ】 そんなそんなっ… イチイバルさんも自分を大切にして 下さいっ
【イチイバル】 自分を大切に、か… ロジェスティラは優しいね
【ロジェスティラ】 はううっ… あ…あのあのっ… わたし、ちょっと失礼します…
【ロジェスティラ】 はぁ… イチイバルさん、綺麗で物腰が 柔らかくて…素敵…
【ロジェスティラ】 そういえば、ゴーちゃん以外と お話ししたの… いつ以来でしょう…?
【ロジェスティラ】 村の人達とは上手くお話しできずに いましたし…それに…
【ロジェスティラ】 わたしはすぐ、皆さんに忘れられて しまいますから…
【ロジェスティラ】 いつの間にか、他の人とお話しする のが怖くなっていたのかも しれません
【ロジェスティラ】 でも、イチイバルさんとお話しするの すっごく楽しいです♪
【ロジェスティラ】 ずっと…一緒にいられたら いいのに…
【ロジェスティラ】 あうっ… そうではなくなくっ
【ロジェスティラ】 イチイバルさんの怪我が早く治るよう 願わないといけないのにっ…
【ロジェスティラ】 世界を救うため、異族を倒して 回っているんですから、 引き留めたりできません…
【ロジェスティラ】 イチイバルさん… たった一人で戦って、傷ついて…
【ロジェスティラ】 わたしにも… 何かできることは ないのでしょうか…?
【ロジェスティラ】 たとえ明日、イチイバルさんが わたしのことを忘れてしまうと しても…
数日後――
【イチイバル】 フッ! …うん、弓の調子も万全だ これで全快したかな
【ロジェスティラ】 弓を射るイチイバルさん…素敵…
【ゴーレム】 …………
【ロジェスティラ】 あ…ゴーちゃんっ? 押さないで下さいーっ…
【イチイバル】 ああ、ロジェスティラ ゴーちゃんも おはよう
【ロジェスティラ】 はううっ… おはようございますますっ
【イチイバル】 …ふふっ まだ慣れないね
【イチイバル】 こうして当たり前のように、 おはようを言える相手が いるなんて
【ロジェスティラ】 わたしも、まだ少し信じられなくて… 毎朝、ドキドキしてます
【イチイバル】 うん まさかキミがボクのことを 覚えていられるなんて
【イチイバル】 望外の喜びだったよ、 ロジェスティラ
【ロジェスティラ】 それは…わたしもですですっ イチイバルさんも、 わたしと同じように…
【ロジェスティラ】 他の人の記憶から消えてしまう 「呪い」を受けていたなんてっ
【イチイバル】 どうやら同じ呪いを受けている キル姫同士は互いに覚えていられる ようだ
【イチイバル】 長く放浪していると、こんな奇跡にも 巡り会えるんだね
【ロジェスティラ】 奇跡…! わたしなんかとの出会いを そんなふうに思ってもらえるなんて…
【イチイバル】 「わたしなんか」ではないよ キミは素晴らしいキル姫だ
【イチイバル】 キミの作る薬も魔道具も見事な もので、皆を助けている それに何より
【イチイバル】 いつも村の人達を気遣う優しさ 日々、研鑽を惜しまない努力家な ところもボクは尊敬しているんだ
【ロジェスティラ】 はううっ… そんなそんなっ えへえへっ♪
【ロジェスティラ】 でもでもっ イチイバルさんの方がすごいです!
【ロジェスティラ】 誰かのために戦えるって、 すごいことだと思いますっ わたし、尊敬してます!
【イチイバル】 それは…使命感に突き動かされての ものだからね…
【ロジェスティラ】 使命感があっても… 動けないことはあります
【ロジェスティラ】 迷いなく戦えてるのは、 やっぱりイチイバルさん自身が すごいからですっ
【ロジェスティラ】 わたしは、そんなイチイバルさんを 尊敬してるんです!
【イチイバル】 何だか、気恥ずかしいね でも、嬉しいよ キミに会えて本当に良かった
【イチイバル】 うん… だから、やはり少し寂しいかな
【ロジェスティラ】 あ…
【イチイバル】 キミのお陰ですっかり回復したよ 本当にありがとう
【イチイバル】 ロジェスティラ 今日、ボクはここを――
【奏官1】 魔女が住む村というのは、 ここか!?
【奏官2】 世界に仇為す魔性の者は 断じて生かしておかない!!
【イチイバル】 ん? 村の方が騒がしいね
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