250322212 ティファレト・誓約・ミカエル 誓約されし熱砂の天陽
楽園に突如押し寄せた 海賊の大軍
【ティファレト】 少なく見積もっても… 100人はいますね
【ティファレト】 しかも、この島の民を 人質に取るなんて…!
人質を盾に、 宝をよこせと迫る海賊達
【ティファレト】 主様、どうしましょう…?
人質を取られている以上、 迂闊な行動は取れない
マスターは作戦を考え、 好機を窺うことを姫達に告げた
【ティファレト】 ……了解しました
夕刻―――
【ティファレト】 この楽園(エデン)を守りたい…! でも…どうすれば…!
何もできない自分に 悔しさを滲ませるティファレト
すると……
【ティファレト】 ……あれは
【ティファレト】 待って、 どこに行くんですか?
彼女が声を掛けたのは、 あの日の少年だった
その小さな手には、 武器が握られている
【ティファレト】 まさか、海賊船に 一人で乗り込もうというのですか?
目に涙を浮かべ、少年は答える 人質に取られたのは、僕の家族だ だから僕が助けるんだ!と
【ティファレト】 そう…あれは、 あなたのお父様と お母様だったのですね…
【ティファレト】 でも、なぜ人質に…?
少年は答える 僕達の一族は、代々 この島の宝を守ってきたんだ
【ティファレト】 なるほど…、 海賊は宝の発掘に協力させるため、 あなたの家族を……
海賊が家に押し寄せてきた時、 父ちゃんと母ちゃんは 僕を逃がしてくれた……
だから…、今度は僕が 2人を助けるんだ!! 少年の目から涙がこぼれ落ちた
【ティファレト】 ………
【ティファレト】 海賊が狙っている島の宝とは 一体、なんなのですか…?
……来て 少年に手を引かれ、 ティファレトは海に潜る
【ティファレト】 !!
そこで、驚くべき光景を 目の当たりにした
【ティファレト】 なんと……美しい
【ティファレト】 島の宝とは… 海中に咲くこの美しい サンゴ礁だったのですね
海から上がって、少年は言う 海賊はこれらを残らず奪って、 貴族に売って大儲けしようとしている
このサンゴは僕達が大事に育てた、 この島の…島の人達全員の宝だ! 絶対に渡したくない!!と
【ティファレト】 ………
だから…助けたい…宝を…家族を…… でも……僕には… 武器を握る彼の手は震えていた
【ティファレト】 ……悔しいですよね? 大切なものを奪われるのは
【ティファレト】 分かります…
【ティファレト】 ……大丈夫、 あなたの大切な宝と家族は…… 私が必ず守ってみせます!!
彼女の中で、なにかが弾けた
【ティファレト】 行ってきます!
迷いのない表情で、 海賊船に向かうティファレト
なんだ、てめぇ!? 奇襲に驚く海賊達
【ティファレト】 はぁぁぁぁぁっ!!
人質を奪還すべく、 次々に海賊を打ち倒していく
【ティファレト】 早く…あの子の両親を!!
だが、次の瞬間……
そこまでだ!! 怒号が彼女に浴びせかけられた
【ティファレト】 ……ッ!!
少年の両親に突きつけられた銃 それを持つのは、この海賊団の船長だ
これ以上やると、 こいつらをぶっ殺すぞ! と、声を荒げて彼女を脅す
【ティファレト】 ……
【ティファレト】 私は望みます
【ティファレト】 力ある者が支配するのではなく、 弱き者を守るために力を使える
【ティファレト】 そのような、 争いのない愛に満ちた世界を
【ティファレト】 それが、私とミカエルの 目指す楽園なのです
この楽園は俺達のものだ!! 宝もすべて俺達のものなんだ!! 尚も凄む海賊の船長
【ティファレト】 ……宝?
【ティファレト】 確かに、この島のサンゴは 素晴らしい宝です だけど……
【ティファレト】 大切なものを守りたいと流した あの少年の涙こそが…… 真の宝なのです!
【ティファレト】 私利私欲に駆られたあなた達に、 その宝を汚す資格はありません!!
うるせぇ!先にテメェから、 楽園に送ってやるぜ! 船長はティファレトに銃を向け直した
【ティファレト】 あっ!!
――と、その時! マスターが現れ、 少年の両親を助け出した
そして、ティファレトに向かって叫ぶ 人を慈しむ、君の美しき心こそ… 僕の宝だよ!と
【ティファレト】 …! 宝……
【ティファレト】 ありがたき御言葉
【ティファレト】 全身に力が…漲ってきます!!
【ティファレト】 くらいなさい! 新技! 『誓約されし熱砂の天陽』!!
新たな力に目覚めた彼女は、 海賊の船長を打ち倒すのだった
その後ティファレトと マスターの活躍により、 海賊船は島から逃亡
だが……
【ティファレト】 島の人達にキル姫であることが バレてしまった以上……、 もう、ここにはいられませんね
【ティファレト】 すみません、皆さん……
出立の準備をする姫達
【ティファレト】 ! ……あ、あなたは
ティファレト達の元に現れたのは、 あの少年だった
少年は言う 父さんと母さんを助けてくれて、 ありがとう!!
行かないで! もっとこの島にいてよ!!と
【ティファレト】 ……!
そして、島の人達も、 ティファレトを強き英雄…
いや、愛深き天使と崇め、 受け入れてくれたのだった
【ティファレト】 ……ありがとう
【ティファレト】 本当に… ありがとうございます、皆さん!
その後――
ティファレトは 美しい海を眺めながら、 マスターと語り合っていた
【ティファレト】 この島に来て、 大きな発見がありました
【ティファレト】 本当の宝とは…
【ティファレト】 家族を想う少年の心や、 私達がキル姫と知っても怖がらず、 受け入れてくれる……
【ティファレト】 そのような、人々の大きな愛 …なんですね
【ティファレト】 私、思ったんです
【ティファレト】 こんなにも 優しい心を持った人達を 守っていきたい
【ティファレト】 主様、これからも… 戦いのない楽園(エデン)のため、 一緒に頑張りましょう!
笑顔で海を見つめる彼女
その瞳もまた、 この海に負けないくらい 美しく澄んでいた
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