290101130 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第1章 エデンクライシス-始動- 第１話 魔弾の錬成-13
【マスター】 …というわけだ お前がいると隊の空気が悪くなる 出ていってくれ、パラケルスス
【パラケルスス】
それがマスターの判断なんだね
いいだろう
わたくしも清々するよ
【パラケルスス】
まったく…キル姫というのは
厄介なものだな
【パラケルスス】
キラーズが適合するバイブスをもつ
マスターに出会うと
従わざるを得なくなる
【パラケルスス】
あんなものは鎖だよ
キル姫の自由を奪う害悪だ
【パラケルスス】
元々、あのマスターとの共鳴率も
大したことはなかったんだ
追い出してもらえてラッキーだった
【パラケルスス】
探求者はいつだって孤高なものだ
凡百のキル姫達のようにマスターの
下で群れたりしない
【パラケルスス】
やっとバイブスの鎖から解き放たれた
わたくしはわたくしの好きなように
生きるとしよう
【パラケルスス】
そうだ…
わたくしは自由なんだ！
【フライクーゲル】
へ～い！
ヘァッピィしてるぅ？
【パラケルスス】
いきなり話しかけるなっ
…フライクーゲルか
【パラケルスス】
君のようなキル姫は好みじゃないんだ
あっちにいってくれ
【フライクーゲル】
ノンノン！
そんな顔した子、放っておけないよ
ヘァッピィな顔見せて♪
【パラケルスス】
わたくしの言うことが
理解できなかったようだな
【パラケルスス】
君のように浅はかで愚劣なキル姫とは
関わり合いになりたくないから、
今すぐ消えろと言ったんだ
【フライクーゲル】
オッケー！
レッツ、シンギン！
歌うと笑顔になれるよ☆
【フライクーゲル】
ラララララ～♪
【パラケルスス】
やめろ
どうやら本格的に言葉が通じない
ようだな…だったら――
【ヘルマン】 どうした、ヘアピン？ 迷子かのう？
【パラケルスス】
！？
【パラケルスス】
最悪だな…
やっとマスターから解放されたと
思ったのに…
【パラケルスス】
何ですぐにわたくしのキラーズと
適合するバイブスに出会うんだ…
【フライクーゲル】
マスター♪
この子が寂しそうにしてたから
ヘァッピィにしてあげようと思って
【ヘルマン】 そうかそうか ヘアピンは優しいのう
【ヘルマン】 よし、うちにおいで ご飯を食べよう
【ヘルマン】 お腹が空いていると気持ちも 沈んでしまうものなんじゃよ
【パラケルスス】
勝手なことを言うな！
わたくしは君達と行動をともに
するつもりはない！
【ヘルマン】 そうかそうか 儂はヘルマン この村で医者をしておる
【ヘルマン】 まあ、半分隠居したジジイじゃ ゆっくりしていきなさい
【フライクーゲル】
レッツゴー、パラケルスス！
今夜は特製シチューだよっ
【パラケルスス】
おい、だから…引っ張るな！
わたくしは君達と…
【ヘルマン】 そうかそうか パラソルというのか
【パラケルスス】
パラケルススだ！
パラしかあっていないぞ
【フライクーゲル】
マスターは名前を全然覚えられない
んだから仕方ないよ！
わたしもヘアピンって呼ばれてるの
【パラケルスス】
不服だ
パラソルと呼ばれるのは
断固拒否する！
【ヘルマン】 パラソルや おかわりはいらんかね？
【パラケルスス】
話を聞け！
【住人１】 よお！お二人さん 今日も仲良く買い物かい？ 安くしとくよっ
【フライクーゲル】
ワオ！センキュー♪
おじさんもヘァッピィしてるぅ？
【パラケルスス】
不満だ
わたくし達は仲が良いわけではない
こいつはただの荷物持ちだ
【フライクーゲル】
へ～い、パラケルスス！
これも買っていこうよ♪
【パラケルスス】
余計なものを買おうとするな！
何度言ったら理解できるんだっ？
【住人２】 ハッハッハ！ 本当に仲が良いねえ
【パラケルスス】
ありえない
今の発言は訂正を要求するっ
【パラケルスス】
まったく…
マスターもフライクーゲルも
世話が焼ける
【パラケルスス】
すっかり居着いてしまったが、
わたくしがいなくなったら
あの二人は生活していけるのか？
【パラケルスス】
…………
【パラケルスス】
わたくしがいなくなったら、か…
【パラケルスス】
そういうわたくしも、この生活に
すっかり馴染んでしまったんだな
【パラケルスス】
…まあ、好きなように研究をして
いられるし、もうしばらくいて
やってもいいか
【ヘルマン】 ヘアピン ヘアピンはどこいったんじゃ？
【パラケルスス】
何だいマスター？
フライクーゲルなら…そういえば
今日は顔を見ていないな…
【パラケルスス】
どうせ適当に
外を散歩しているんだろう
買い物がてら探してくるよ
【パラケルスス】
いつも騒がしい奴だからすぐに
見つかると思ったんだが…
村にはいないのか？
【パラケルスス】
少し村の周りも見てみるか
【パラケルスス】
いないな…
まったく
どこをほっつき歩いて…ん？
【パラケルスス】
何だ、この「穴」は？
何が起きている？
【パラケルスス】
フライクーゲル、妙なことに
巻き込まれていないだろうな…？
【ヘルマン】 パラソルや ヘアピンはどこいったんじゃろう？
【パラケルスス】
はいはい、お爺ちゃん
おやつは棚の中だよ
【ヘルマン】 う、うむ… そうじゃったか…
【パラケルスス】
…………
【パラケルスス】
あれ以来、フライクーゲルは帰って
こない…
【パラケルスス】
しかも「穴」は他にもあちこちで
見つかった
恐らく今後も増えていくだろう…
【パラケルスス】
これは確信に近い
あの「穴」とフライクーゲルの失踪は
関係している
【パラケルスス】
必ず解明してやる
あの「穴」の正体を
そして…
【パラケルスス】
絶対に見つけ出すんだ
フライクーゲルを
【住人１】 お、おい！ ありゃ何だ！？
【住人２】 大樹様がっ… 逆さまになった大樹様が… 空から降ってくるわ！！
【住人達】 うわあああああああ…！
【パラケルスス】
あれは…もう一つの世界…？
では、ひょっとしてあの「穴」は…
【アルテミス】 皆さん、お静かに 天上世界に住まう全ての者達に 大切な話があります
【フライクーゲル】
わたし達は、ヘアピィな世界を
創りたいだけなんだから
【パラケルスス】
フライクーゲル！？
いや…同種のイミテーション
という可能性も…
【パラケルスス】
…自己欺瞞だな
勘に頼るのは研究者にあるまじき
姿勢だが…
【パラケルスス】
分かる…分かってしまう！
あれはフライクーゲル…
ヘアピンだっ
【パラケルスス】
何をしているっ…
マスターを放っておいて…
そんなところで…
【パラケルスス】
何が「選定」だ
何が「永遠の理想郷」だっ
【パラケルスス】
マスターは…君の帰りをずっと
待っているんだぞ…！
【ヘルマン】 パラソルや ヘアピンはどこにいったんじゃろ？ 見当たらんのう…
【パラケルスス】
はいはい、お爺ちゃん
もう寝るといいよ
【ヘルマン】 ううむ… そうかのう…
【パラケルスス】
…安心してくれ、マスター
フライクーゲルは絶対にわたくしが
連れ帰るよ
【パラケルスス】
全ての謎を解明して、彼女を
正気に戻す…そのためには
サンプルが必要だ…
【パラケルスス】
再び現れた異族だけでは不十分だな
もっと根本的な解決に至るような
サンプルがあれば…
【パラケルスス】
ふむ…キル姫とは厄介なものだ…
【パラケルスス】
マスターのために…
いつの間にか必死になっている
【パラケルスス】
マスターが必要としているのは
フライクーゲルの方なのに…
何て理不尽なんだ…
【パラケルスス】
フライクーゲル…早く帰ってこい
わたくしじゃダメなんだ…
わたくしじゃマスターを癒せない
【パラケルスス】
マスターに必要なのは、
君の奔放な笑顔なんだよ
【パラケルスス】
わたくしじゃ、ないんだ…
【ヘルマン】 パラソル！ パラソル、目を開けておくれっ
【パラケルスス】
あ…マスター…？
何で…
【アルマス】 意識が戻ったわ！ お爺さん、あなただって医者 なんでしょ！早く治療を！
【ヘルマン】 分かっとる！ 分かっとるが…儂は…
【アルマス】 ちょっと！ どうしちゃったのよ…？
【パラケルスス】
騒がしいな…
【ラグナロク】
パラケルスス、この魔弾は何なの？
あなたの体内に深く食い込んで…
蝕み続けている…このままだとっ…
【パラケルスス】
分かってる…
わたくしが作ったんだ…
ちゃんと理解して…いる…
【パラケルスス】
すまない…マスター…
フライ…ヘアピンに…会わせて…
あげられなくて…
【パラケルスス】
ああ…悔しいな…
この弾丸が当たっていれば…
今頃…マスターに…
【ヘルマン】 おお！おお！ 何ということじゃっ…
【ヘルマン】 儂がいらんことを言ったせいで… あああ、すまぬっ…
【ヘルマン】 会えたぞ！ ヘアピンには会えた！ じゃから、謝らんでくれっ
【ヘルマン】 すまんかった… すまんかった、パラソル…
【パラケルスス】
マスター…
わたくしの名前はパラ――
【アルマス】 パラケルスス！？
【ラグナロク】
そんなっ…
【アルマス】 ダメよ、パラケルスス！ しっかりしてーっ！！
【？？？】 うるさい！ 重症患者の前で騒がないで！
【？？？】 さっさとそこをどきなさい 治療の邪魔よ！ 一分一秒が命取りになるんだから！
【アルマス】 …誰？
【ラグナロク】
あなた…アスクレピオス！
どうしてこんなところに…
【アスクレピオス】
説明は後！
いいから、私に治療させなさい！
Next: 290101140