290103130 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第1章 エデンクライシス-始動- 第3話 理想に殉じる者達よ-13
【プタハ】 それ以上、そなたの手を汚しては ならん 我が認めん
【パラシュ】 君は守りに 徹するんじゃなかったのかな?
【パラシュ】 こんなところにまで 出張ってくるなんて…
【プタハ】 今回ばかりは 我も出ざるを得なかったのだ
【プタハ】 全てはそなた達を思うてのことだぞ
【パラシュ】 そういう話は聞きたくないよ …行こう、ティルフィング
【プタハ】 何故だ? 何故、そなた達はそれほどまでに 頑ななのだ?
【プタハ】 我にそなた達の抱えているものを 多少なりとも分けてはくれぬか?
【プタハ】 心の内を吐き出せば、ささやかなり とも気持ちが軽くなろう
【ティルフィング】 …ここはじきに崩れますね 離脱を優先させましょう その命、今は散らさずにおきます
【ティルフィング】 いずれ全ては摘み取られ、 再生へと至ります そのときまで
【プタハ】 ああ…行ってしまった…
【プタハ】 我では、あの者達を救うことは できぬのか…
【プタハ】 悲しみはひとまず胸にしまおう 今は先に為すべきことがある
【住人達】 助けてーっ…! 地面がっ…地面が崩れるぅっ…!
【デオン】 落ち着くのである! 誘導に従い、粛々と避難すれば 必ず助かるのである!
【アスクレピオス】 ほら、そこ押さない! 無理に通ろうとしても、 逆に遅くなるだけよっ
【アルマス】 ギルドの人達のお陰で、 パニックにならずに済んでは いるけど…
【ラグナロク】 フェルカの町だけじゃなくて、 ここも崩れるだなんて… かなり大規模な崩壊になりそう
【ブリューナク】 アルマス、ラグナロク、 全ての住人の退去を確認した
【ラグナロク】 ありがとう 私達もいきましょう、アルマス
【アルマス】 ええ… あれっ?
【アルマス】 花びらが舞い落ちてきた…! 何なの、これっ?
【ラグナロク】 アルマス、あそこよ!
【アルマス】 ええっ? 庭園が…丸ごと宙に浮いてる…!
【ラグナロク】 あそこに咲いている花が風に散って 舞っているのよ
【アルマス】 他は全て崩れていくのに、 どうしてあそこだけ…
【ラグナロク】 理由は分からないけれど… 綺麗ね
【アルマス】 うん まるで… 散りゆく者への手向けみたい
【アルマス】 フェルカの町だけじゃなく、 その周辺がごっそり失われた…
【ラグナロク】 全て反転世界に 持っていかれたようね…
【アルマス】 今回は…何もできなかった…! パラシュの…彼女達の執念に… 負けてしまったわ…
【プタハ】 そこまで気を落とすこともないぞ
【プタハ】 人々は皆、無事逃げおおせたのだ アルマス達も無事で我は嬉しい
【ヴァジュラ】 いや~! 今回ばかりは死んだと 思ったんだけどね~!
【ブラフマーストラ】 まぁさ、こういうこともあるよ! 気持ちアゲてこ~っ♪
【アルマス】 何であなた達まで助かってるの!? そして、その軽さは何なのっ?
【ヴァジュラ】 はっはっは! 細かいことは気にすんなって
【ブラフマーストラ】 アタシ達、プタハに 助けられちゃった系なのよね~ これも縁ってやつ~?
【アルマス】 このっ…!
【プタハ】 アルマスよ この子らを許しておくれ
【プタハ】 そなたは心根の優しい子だと 我は知っておるぞ
【アルマス】 母親感出してこないでよっ
【プタハ】 我らは魂の母娘ではないか
【アルマス】 ラグナロクが余計なこと言うから!
【ラグナロク】 魂の母娘…良い喩えだと思うわよ
【アルマス】 時々、あなたのセンスを疑いたく なるんだけどっ
【ケラウノス】 はいはい お取り込み中のところごめんね~
【ケラウノス】 マスターが呼んでるよ 二人と今後のことについて 話し合いたいんだってさ~
【ラグナロク】 今後のこと、ね…
【デオン】 余はしばらく動けぬのである!
【アスクレピオス】 フェルカ周辺の町や村に住んでた 人達が難民化したのよ その対策に追われてるの
【アスクレピオス】 こっちも怪我人やら病人やらで 猫の手も借りたいくらいよ!
【デオン】 だが、ラグナロク殿は急ぎの旅である ここに留め置くわけには いかないのである
【アルマス】 つまり、ここで別れたいって 言いたいんでしょっ
【デオン】 で、ある
【ラグナロク】 仕方ないわ 幸い、ネスとも出会えて戦力的には 充実してきてる
【ラグナロク】 むしろ手伝えなくて 申し訳ないくらいよ
【デオン】 で、あるか 恩に着るのである
【ケラウノス】 ま~、色々片付いたら すぐに追いかけるよ! ユグドラシルを目指せばいいんでしょ
【デオン】 必ず再会するのである! 武運を!
【アルマス】 ありがと! そっちも気をつけてねっ
【ネス】 早く出発しましょう! 善は急げですっ
【フライシュッツ】 ネスちゃん どうしてそんなに焦ってるの~?
【ネス】 焦ってなどいません! 私はただ…
【プタハ】 もう行ってしまうのか、アルマスよ
【アルマス】 プタハ、ここの人達をお願いね
【プタハ】 無論だ 我はそなたらの帰る場所を 守っておるからな
【ダモクレス】 母の愛とは偉大なものだな! クレスも母になってみようかなっ
【アルマス】 意味、分かって言ってる?
【ダモクレス】 うんうん 愛さえあれば問題ない!
【プタハ】 ネスよ 寝る前は歯磨きを忘れるでないぞ 添い寝してやれなくなるが…
【ネス】 大丈夫です! 私は子どもじゃありませんから!
【ラグナロク】 いいのよ、ネス 思い切り甘えても しばらく会えないのだから
【ネス】 ラグナロクまで…イジワルは 規律違反です!
【アルマス】 そろそろ行くわよ 世界をかなり奪われて しまったわ…
【アルマス】 必ず、取り戻してみせる!
【プタハ】 アルマスよ お弁当を作っておいたのだ 冷めても美味しいぞ
【アルマス】 せっかくの気合いが抜けるわよ! どうも、ありがとう!
【ラグナロク】 はぁ…やっぱり前途多難かも
パラシュの手によって天上世界の 一部が大きく崩壊した
加速する崩壊を止めるため、 アルマス達は旅路を急ぐ
その先に予想だにしない 困難が待ち構えていることを 二人はまだ知らない――
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