290202020 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第2章 エデンクライシス-覚醒- 第2話 愚者の進行-2
【???】 覚えているのは炎に包まれた家…
【???】 それから…母の声…
【???】 ×××…! ×××、早く…逃げてっ…
【???】 必死に叫ぶ母にすがりついて… 嫌だと泣きじゃくった
【???】 母は、もうダメだった… 崩れ落ちた柱に足を挟まれて…
【???】 幼い自分にはどうすることも できなかった… それでも懸命に助けを求めた
【???】 やがて見つけた大人達に駆け寄り、 母を助けてくれるよう頼んだ 煙が立ちこめる中で、必死に…
【???】 でも…その大人達は頼みを聞く どころか…殴りつけ、蹴飛ばした…
【???】 そして金品を漁り、 笑いながら去っていった
【???】 火事場泥棒という言葉はまだ 知らなかったけれど、彼らがひどく 汚れたものだということは…
【???】 しっかりと胸に刻みつけられた
【???】 母は、助からなかった 炎に呑まれて…
【???】 父の遺体も書斎で見つかったらしい …焼死体ではなく、刺殺されたと いうことを後で知った
【???】 しばらくは涙すら出なかった ただただ呆けたように過ごした
【???】 それからしばらくして… 眠れない夜と泣き続ける昼が訪れた
【???】 そんなある日、 信じられないものを見た
【???】 あの火事場泥棒が貴族のような 出で立ちで偉そうに歩いていたのだ
【???】 こっそり後をつけ、 さらに衝撃的なものを見た
【???】 父の友人と火事場泥棒が 高そうな店で 仲良く話をしていたのだ
【???】 いや、その男は父の友人では なかったのだろう…初めから
【???】 この世界には表と裏がある 誰もが表では善い人ぶった仮面を 被っているけれど
【???】 裏ではひどく醜悪な本性を晒し、 飢えた獣のように獲物の匂いを 嗅ぎ回っている
【???】 そのことに気づけたのは、 今にして思えば僥倖だった
【???】 真面目に正しく生きるより、 密かに汚い手を使ってずる賢く 生きる方がずっと効率が良い
【???】 全ては“欲”だ 大半の者達は自分の欲求を満たす ことに執心している
【???】 それを満たしてくれる者には 意地汚く尻尾を振るし、 そうでない者には平気で噛みつく
【???】 それが本性なのだろう そう理解するのに大した時間は かからなかった
【???】 だから――
【ロンギヌス】 …………
【ロンギヌス】 はぁ…
【ロンゴミアント】 そのようなため息を吐いて… 何を思い煩っておられるのですか?
【ロンギヌス】 ロンゴミアント… いえ、いいんです…
【ロンギヌス】 それより、何かご用ですか?
【ロンゴミアント】 はい… マスターからの伝言です
【ロンゴミアント】 選定の間に、 新たな方々をお連れしました …とのことです
【ロンギヌス】 ありがとうございます… 新世界へ…お送り致しますね
【ロンゴミアント】 では、私はこれで…
【ロンギヌス】 …あのことを考えるのは、 もう意味がないのでしょうね
【ロンギヌス】 私はただ…“愛に満ち溢れた世界”に したいと願っているだけなんです
【ロンギヌス】 “果てなき慈愛”… 輝く想いを動力に変えて、 救済の航路を進みましょう
Next: 290202030