290602100 インテグラルノア編(擬彩されし不可逆世界編) 第6章 アナザー・コンフリクト―交錯― 第２話 相容れぬもの-10
【ロンギヌス】
盗人なんてっ…
私達は理想郷の永続を願っている
だけなんですっ
【ロンギヌス】
全てを救うことはできなくても…
愛に溢れた新世界を未来に残すことは
できます
【フォルカス】
盗人猛々しいとはこのことですね
自分達の行いを正当化するなんて…
【フォルカス】
あの反転した世界だけを生き存え
させて、残りの世界は見殺しですか！
【フォルカス】
世界の一部が奪われたせいで、
助けられる者すら助けられなくなる
ことを考えていませんねっ
【フォルカス】
今、ユグドラシルがどれだけ
傷み、苦しんでいるのか…
まるで分かっていない！
【ロンギヌス】
分かっています！
ティルフィングだって…
とても悩んで…苦しんで…
【ロンギヌス】
それでも決断したんです
私はそこに“愛”を感じました
【ロンギヌス】
世界に対する愛
そして世界樹に対する愛です
だからこそっ
【ロンギヌス】
ユグドラシルを…もう一度、
作り直そうとしているんです…！
【フォルカス】
それが、あの紛い物ですか？
独善的ですね
【フォルカス】
どんな屁理屈を並べようと、
あなた達がこの世界を見限ったことに
違いはありません！
【ロンギヌス】
あううっ…
【フォルカス】
何か反論は？
【ロンギヌス】
…………
【モニカ】 ロンギヌスを悪く言わないで！
【フォルカス】
なんですか、あなた
【モニカ】 あなた達だって、偉そうにして いられる立場じゃないでしょ ユグドラシルの神徒さん
【モニカ】 全てのバイブスとキラーズを ユグドラシルに還すつもりなんだよね
【フォルカス】
それが、最善だからです
【モニカ】 でも、それって奏官もキル姫も 皆殺しにするってことだよね
【フォルカス】
そうなりますね…
【モニカ】 だったら、あなた達だって この世界を見限ってるじゃない！
【フォルカス】
…………
【モニカ】 この世界は奏官がいて、キル姫がいて そうやって回ってきたの！
【モニカ】 色々問題もあるし、争いも続いてる だけど、そういう世界なんだよ それを頭ごなしに否定して…
【モニカ】 皆殺しにして…なかったことにして… それで本当に世界を救ったって 言えるの！？
【モニカ】 あたしはそうは思わない そんなのに“愛”は感じない それに何より…
【モニカ】 全てを救ってみせるって、 真剣に戦ってるキル姫達を あたしは知ってるから
【モニカ】 全てを救うなんて… そんなの無理だって分かってる… でも、彼女達は本気だよ
【モニカ】 この世界の真実を知っても、 きっと「それでも」って言ってくれる 何でか、そう信じられるの
【モニカ】 彼女達に比べたら、あなただって 十分、独善的だよ！
【フォルカス】
はぁ…
誰のことを言っているのか、
大体察しはつきます
【フォルカス】
残念ながら、彼女達の理想はじきに
潰えます
私達が潰えさせます
【フォルカス】
悲しいことですが…
彼女達には何かを成し遂げるための
力が足りていませんから
【モニカ】 なっ… そんなことっ…！
【フォルカス】
お喋りは終わりです
皆、大樹の贄となりなさい
【ロンギヌス】
はああああーーーっ！
【フォルカス】
ぐっ！
【フォルカス】
…驚きましたね
あなたから攻撃してくるなんて
【フォルカス】
先程までの弱気はどこにいったん
ですか？
【ロンギヌス】
愛です…
【フォルカス】
えっ？
【ロンギヌス】
何かを愛する気持ちは、
強い原動力になるんです
大きなことを成し遂げるための
【ロンギヌス】
私達とは相容れませんけれど…
あの方々には…ラグナロク達には…
確かに愛がありました！
【ロンギヌス】
愛を否定するのなら…
立ち去ってください…
私の前から…！
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