310022120 シークレットリーエバーアフター(Secretly Ever After)(SEA編) 第2章 今宵、聖域にて貴方と 第2話 今宵、聖域にて貴方と-12
【罪人】 許してくれ…! もう二度と、こんなことはしない
【罪人】 ここから追い出されたら、 俺はどうやって生きていけば…
【リットゥ】 ダメだ 私が守る地に、罪人を 置いておくわけにはいかない
【リットゥ】 ここは聖域だ 規律を守らない者を私は許さない 直ちに去れ!
【罪人】 厳し過ぎる… 何が「聖域の守護者」だ…! くそぉ…
【村人達】 …………
【村長】 リットゥよ 追放まですることはなかったのでは ないか?あの者も一人では…
【リットゥ】 この村の規律を守らせるよう 私に命じたのは、村長、お前だ いかなる理由があろうと盗みは罪だ
【リットゥ】 この村を「聖域」とするため 私は力を惜しまない それだけだ
【村長】 そなたのお陰で 村の治安は保たれておる… しかし…
【村人達】 少し…厳し過ぎるよな…
【リットゥ】 何だ!? 不満があるなら、はっきり言え 真正面からぶつかってこい!
【村人達】 …………
【リットゥ】 あの頃の私は、幾つもの村を 転々としていた
【村長】 リットゥ… すまないが、この村から出ていって くれ…警護役は解任する
【リットゥ】 ふぅ…またか 私の仕事に落ち度があったとは 思えないが
【村長】 そなたは本当によくやってくれとるよ しかしなぁ… あまりに厳し過ぎる…
【村長】 清く正しい者だけしか 生きていけないというのなら…
【村長】 きっと近いうちに、 この村は誰もおらんようになる…
【村長】 そなたの戒律に、 儂らは耐えられそうにない…
【リットゥ】 …分かった ここは聖域たり得なかったと いうだけのことだ
【リットゥ】 守って欲しいと求められ、 全力でその地を守った 清く正しい人々のために
【リットゥ】 だが、どこの村でも町でも、 そのうち私は忌み嫌われ、 やがて追放されることになった…
【リットゥ】 多くの罪人を追放してきた私が、 守ってきた地から追放される それは、あまりに皮肉なことだ
【リットゥ】 私は「聖域」たり得る地を求め 幾つもの地を転々とし
【リットゥ】 そして、ジーゲルの町に辿り着いた
【クライノート】 いやあ、キル姫が 我が家の警護をしてくれるとは 本当に心強いよ
【リットゥ】 私の名はリットゥだ ジーゲルの町長から紹介され、 ここの警護を引き受けたが
【リットゥ】 私は清く正しい者にしか頭を垂れない そのことをわきまえておけ
【クライノート】 ハッハッハ! 聞いていた通り、手厳しいな だからこそ信頼できるよ
【クライノート】 私の家族を紹介しよう ついてきたまえ
【クライノート】 …これで使用人も一通り紹介したな 最後は、ここだ
【リットゥ】 子ども部屋? 先程、居間で息子を 紹介されたはずだが
【クライノート】 娘もいるのだよ 少し事情があってね…
【クライノート】 フラン、入るよ
【フラン】 はい お父さま
【クライノート】 フラン、今日から一緒に暮らす 警護のリットゥさんだよ ご挨拶なさい
【フラン】 あ… フランと申します
【リットゥ】 リットゥだ むっ…
【フラン】 …………?
【リットゥ】 随分と生命力が乏しいな… これでは走り回ることも ままなるまい
【リットゥ】 フラン これから私がこの家を守る 安心するといい
【フラン】 よ、よろしくお願いします…
【リットゥ】 フランは病弱なようだな
【クライノート】 一目で見抜いたのか… フランは生まれつき、体が弱いのだ
【クライノート】 こんな町外れの丘に家を構えたのも あの子になるべくきれいな空気をと 思ってね
【クライノート】 リットゥ これは警護の仕事と関係ない 私の個人的な頼みなのだが…
【クライノート】 たまにでいい フランの話し相手になってやってくれ
【リットゥ】 …そうだな 時間があるときは対応しよう
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