310072214 アロンダイト・獣刻・ユニコーン 獣血『清純な仮装』
あれからしばらくして
悪党から助けた女性に ぜひお礼をしたいと言われ
マスターとアロンダイトは 女性の家を訪れていた
最初は渋っていたアロンダイトも 汗を流せるのなら、と 休息をとることに決めたようだ
【アロンダイト】 …ふぅ、さっぱりしました
アロンダイトの着替えが 終わったところを見計らい…
トリック・オア・トリート! と笑顔でマスターが現れた
【アロンダイト】 きゃわああああああああ!?
完全に油断していたアロンダイトは 絹を裂くような叫び声を上げて 部屋の隅へ逃げていった…
【アロンダイト】 ふぅん、そうですか 驚かせたかったんですね ええ、ええ、そうですか
彼女はぷりぷりと怒りながら お菓子を頬張っている
トリック・オア・トリートと言った マスターのほうがお菓子を 献上することになってしまった
マスターが誠意を持って 事情を説明すると 彼女は落ち着きを取り戻した
【アロンダイト】 なるほど… 悪党のせいで中断していたお祭りが 再開したのですね
【アロンダイト】 それで、街の人たちから 謝礼のお菓子をもらったから 私にお裾分けをしにきた、と
そうそう、とマスターは頷く
アロンダイトは包み紙の中から おもむろにチョコを取り出して食べる
【アロンダイト】 …チョコレートが美味しかったから 今回だけは許してあげます
寛大なアロンダイトの対応に マスターは胸を撫で下ろす
ふと、窓の外から 祭りを楽しむ人々の声が 二人の耳に届いた
【アロンダイト】 …賑わっていますね
せっかくだから見に行こう とマスターは誘う
【アロンダイト】 騒がしいのは苦手なのですが マスターと一緒なら、少しは…
【アロンダイト】 ですが、先ほどのように からかわないと約束してください 慣れておりませんので
ぴしゃりと釘を刺されながらも マスターは彼女と街へ向かった
夕暮れ色に彩られる街を マスターとアロンダイトは 遠巻きに見つめる
人々は今年獲れた中でも 一番大きなカボチャを囲み 手を叩き、歌い、踊っていた
【アロンダイト】 ふふっ、楽しそうです よかった、素敵なものが守れて
アロンダイトは、そう言って 柔らかい笑みを浮かべた
そんな彼女に向かって マスターはこう提案するのだった…
選択肢:
- 一緒に踊っておいでよ → select_label_01へ
- キミの歌声が聞きたいな → select_label_02へ
- やっぱり帰って水浴びしよう → select_label_03へ
そんな彼女に向かって マスターはこう提案するのだった…
select_label_01:
【アロンダイト】 騎士の嗜みとして 舞踏にも多少の覚えはありますが… いえ、今日はやめておきましょう
select_label_02:
【アロンダイト】 歌ですか? いえ、あまり自信がないです…
select_label_03:
【アロンダイト】 マスター! からかうのはやめてくださいと 約束したのをもうお忘れですか…
select_label_end:
【アロンダイト】 …そういうマスターは、 どうされるのですか?
ここで見ているよ、 とマスターは告げる
【アロンダイト】 …そうですね 楽しい空間は、共有しているだけで 価値があるものです
【アロンダイト】 私もここにいます
【アロンダイト】 …ダメでしょうか?
マスターは告げる アロンダイトは、アロンダイトが 楽しめる形でいいんだよ、と
【アロンダイト】 …はい
【アロンダイト】 …実を言うと 無理にでも周りに合わせたほうが いいのかなと思っていました
【アロンダイト】 ですが、それでも私は私で マスターはそんな私を 誇らしいと言ってくださいました
【アロンダイト】 私は、私の望む形で この祭を楽しみたいと思います
うん、と一言だけ言って マスターは優しく アロンダイトを見つめる
【アロンダイト】 ありがとうございます、マスター!
自分なりに祭と向き合い あるがままの姿勢で楽しむ
その心のあり方は 獣血『清純な仮装』となって 彼女の笑顔とともに花開く
マスターとアロンダイトは そのまま、座って祭を観賞した
祭を遠巻きに眺めながら アロンダイトは珍しく声を上げて笑う
【アロンダイト】 ふふっ 楽しいですね、マスター
2人は一緒にお菓子を摘みながら 賑わう祭の空気を 存分に楽しんだ
【アロンダイト】 …さて ゆっくりしてばかりはいられません 私は見回りに行ってまいります
そう言って アロンダイトは立ち上がろうとする
マスターは 彼女の腕を優しくつかみ もう一度座らせる
その意図を理解したのか アロンダイトは顔を真っ赤にして うつむいてしまうのだった
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