310101212 フラガラッハ・聖鎖・イオフィエル その身に宿る使命は…
数日後――
【フラガラッハ】
………
平原に一人佇み、 考え事をしているフラガラッハ
【フラガラッハ】
……せっかく
【フラガラッハ】
マスターとは
上手くやっていけると
思っていたのに…
【フラガラッハ】
ちょっとガッカリですわ…
【フラガラッハ】
世界から戦争をなくすためと
言いながら、
戦闘を辞さない姿勢…
【フラガラッハ】
そして…
神の遣いではなく、
一人の人間として行動する姿…
【フラガラッハ】
確かにマスターはいい人だけれど…
あれでは真の救世は難しいかも…
【フラガラッハ】
わたしも本気で救世を考えるなら…
新しいマスターが必要なのでは……
そんなことを考えていた時……
【フラガラッハ】
！！
【フラガラッハ】
しまっ…！
いつの間にか、 魔獣に囲まれていた彼女 しかし――
【フラガラッハ】
…丁度、いい機会
今こそ、わたし自身の
救世を証明する時ですわね
【フラガラッハ】
お鎮まりください
荒ぶる魂に安寧の時間を…
だが、魔獣相手に そんな言葉は 受け入れられるはずもなく…
【フラガラッハ】
…くっ！
待ってください…！
否が応でも、戦闘が始まってしまう
【フラガラッハ】
わたしの美しさは、
神から預かりしもの…
この身を傷つけられるわけには…！
その想いがあるため、 どうしても動きに精彩が無い彼女
【フラガラッハ】
はぁ…はぁ…！
こ、こんなところで…！
【フラガラッハ】
あっ！！
だが敵の攻撃が、 遂に彼女を捉え……
【フラガラッハ】
！！
……ようとした時、 それを救ったのは……
【フラガラッハ】
マ、マスター！！
だ、大丈夫…？ 尋ねるマスター
【フラガラッハ】
なにを言っているのです…
マスターこそ…！
彼女を庇った時、 傷を負ってしまったのだ
【フラガラッハ】
な、なぜ…
マスターは、彼女に告げる 戦いの前に停戦を求める 君の心は素晴らしい
できることなら、 僕もそうやって戦いをなくしたい
【フラガラッハ】
だ、だったら…
でも、世の中には… 話しても分かり合えない連中がいる
理不尽な力で 押し潰そうとする連中がいる
僕は、神の遣いのような 大きな力を持っていない… ただのちっぽけな人間だから……
小さな拳を握り締めて、 傷つく人達を助けるためには 戦うしかないんだ…と
【フラガラッハ】
……小さな…拳を…
拳を握り締め、 魔獣に立ち向かおうとするマスター
その姿を見て、フラガラッハは思う
【フラガラッハ】
ようやく…
分かりましたわ
【フラガラッハ】
マスターは
神の遣いとしてではなく、
一人の人間として…
【フラガラッハ】
か弱き存在として、
大きな理不尽を叩き壊し、
世界を救おうとしているのですね
【フラガラッハ】
それに比べて、わたしは…
神の美しさなどと思い上がり、
傷つくのを嫌がり……
【フラガラッハ】
なんと…愚かな……！
マスターに迫る魔獣の攻撃
【フラガラッハ】
はぁぁぁぁっ！！
それを受け止め、 彼女はマスターに宣言する
【フラガラッハ】
あなたが
一人の人間として
戦うように…
【フラガラッハ】
わたしも一人のキル姫として、
あなたをお守りします！！
【フラガラッハ】
この身が…
どれほど傷つこうとも！！
その想いが、 彼女に新たな力を授ける
【フラガラッハ】
くらいなさいっ！！
『神美讃える四剣舞』―――ッ！！
その力により、 魔獣の群れを撃破するのだった
その後、彼女はマスターと語り合う
【フラガラッハ】
わたしが間違ってました
【フラガラッハ】
神の遣いじゃなくても…
世界は救える
【フラガラッハ】
マスター、あなたのような方がいれば
【フラガラッハ】
だから、これからも…
あなたと共に戦いたい
【フラガラッハ】
たとえあなたが、
神の遣いでなかったとしても…
【フラガラッハ】
わたしは、あなたの作る
未来が見たいのです
【フラガラッハ】
それが、わたしの…
キル姫としての願い
そう呟き微笑んだ彼女は、 とても穏やかな 美しさに包まれていた
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