310142211 ティルフィング・リンク・エイレーネ 再会と愁色
……不安かい?
【ティルフィング】 赤い海……いえ、赤い雲に 飛び込む前、マスターが 私に投げかけてくれた言葉
【ティルフィング】 マスターのその声に 私の不安は無くなっていた
【ティルフィング】 たくさんの出逢いとたくさんの別れ そして託された、たくさんの思い
【エイレーネ】 『我が…愛しき娘よ』
【ティルフィング】 お母さん…
【ティルフィング】 お母さんとお父さんが 遺してくれた希望… 私が必ず、この世界に!
【ティルフィング】 地上を救う!
ふと、ティルフィングは 自身を包むような温かさを感じる
【ティルフィング】 ああ、これはきっと そう、みんなの思いの形
【ティルフィング】 そして、マスターとの繋がりの証
手を握られたような感触 それに呼応するように ティルフィングは拳を握る
【ティルフィング】 マスター、私は大丈夫です
【ティルフィング】 行きましょう、私達を待つ人達の元へ
【ティルフィング】 これが…地上
【デュリン】 想定以上の惨状ね なんとか持ちこたえた…にしては あまりにも酷い景色…
【ティルフィング】 それでも、私達を信じて 送り出してくれたみんなが 待っているはずです
そのためにここへ来たんだからね マスターは力強く答える
【ティルフィング】 …はい! 私が天上世界で得た力が この地上を救うんです!
【???】 …う、あ
【ティルフィング】 何者ですか!?
【???】 お前達は…
【ティルフィング】 ゼロ!!!
【ゼロ】 ア…、うぅ
【デュリン】 消耗しきってる ずっと…戦ってたんだ、この地上で
【ティルフィング】 ゼロが…こんなになるまで でも、大丈夫です、希望はここに!
【ゼロ】 …は、はは、やっと、か
【ティルフィング】 マスター、ゼロの保護を最優先に! 彼の話が聞ければ地上で 何があったかわかるはずです
うん、そうだね とマスターは返す
だが、マスターはそれと同時に 殺気に満ちた気配を感じていた
【ティルフィング】 どうやら、私達が戦うべき相手の おでましのようですね
【???】 あらぁ~? ベルちゃんがおねだりするからって こ~んなところに来てみれば…
【???】 本当に可愛い可愛い邪魔者が 戻ってきちゃったみたいねぇ?
【ティルフィング】 あなたは…… アスモデウス
【アスモデウス】 さあ、玩具は玩具らしく、 大人しく私に 遊ばれるのがいいわ
【ティルフィング】 みなさん、下がっていてください 私がアスモデウスは抑えます
【デュリン】 …本当に大丈夫なの、 ティルフィング
【ティルフィング】 ええ、大丈夫です それに、私にはマスターもいます!
強大な敵を前にしているというのに 可憐に笑うティルフィング
マスターはその笑顔へ 信頼を込めて笑みを返す
【アスモデウス】 余裕たっぷりって感じね …その笑顔、歪ませたくなっちゃう!
【ティルフィング】 …来ます!
【ティルフィング】 はあっ!
【アスモデウス】 あら、やるじゃない
【デュリン】 これがティルフィングの力… まさに、天使と悪魔の戦いみたい…
ティルフィングの剣先が アスモデウスの頬を 薄く切り裂く
【アスモデウス】 ……ふん 今日のところは退いてあげるわ 次はちゃんと殺してあげる
【ティルフィング】 …随分あっさりと退いていきましたね
何か企んでいたとしても ティルフィングがいれば大丈夫 と微笑むマスター
【デュリン】 ティルフィングがいれば 世界が救える、そう確信しちゃった?
デュリンも同じことを 考えていたのか、とマスターは笑う
【ティルフィング】 マスター、 ゼロの様子はいかがですか?
【ゼロ】 …………
【デュリン】 苦しそうな顔じゃなくなった って程度には回復したみたいね
【デュリン】 ほんっとにボロボロの状態で ここまで来れたのが奇跡ね
【デュリン】 休める場所が早くに 見つかったのは運がよかったわね
【ティルフィング】 ここであれば迎撃も容易ですし いざとなれば退路も 確保できますから
【デュリン】 ティルが悪魔みんなやっつければ こんな風にこそこそする必要も ないんじゃない?
ティルフィングの力は確かだが そう簡単な話じゃないよ とデュリンを諭すマスター
【デュリン】 それはそうだけど…
【ティルフィング】 平和への道のりは 一歩一歩確実に、ですよデュリン
【ティルフィング】 魔獣が現れたようです!
【ティルフィング】 様子を見てきます
頼んだ とマスターはティルフィングを 送り出す
【ゼロ】 …う、く ここはどこだ…?
【デュリン】 目が覚めたのね!
【ゼロ】 なんだ、この小さい うるさい奴は 妖精…か?
【デュリン】 誰が妖精よ! 失礼ね、 鼻にナッツ詰めるわよ!
【ティルフィング】 マスター!
音がした方へ 向かったはずのティルフィングが マスター達に駆け寄ってくる
【ティルフィング】 魔獣の行動は明らかに ここを狙ってきています …しかも、その数は膨大です
【ゼロ】 いつもそうだ あいつらは俺らを弄ぶように 襲ってくるんだ…
【ゼロ】 ベルゼブブと アスモデウスはいたか?
【ティルフィング】 いえ、アスモデウスは少し前に あっさりと退いていったままです ベルゼブブは…
【ゼロ】 まだ見ていないのか だが、あいつも 絶対に近くにいるはずだ
【ティルフィング】 …ゼロが目覚めたのであれば、 ここに長居するのは 危険です、移動しましょう
目が覚めたとはいえ すぐに動くのは…とマスターは ゼロの身を案ずるが…
【ゼロ】 …大丈夫だ 俺はそんなにやわじゃない
【ゼロ】 誰だか知らんが助かった ジリ貧になる前に移動しよう
【ティルフィング】 では、マスター達はこちらへ!
ティルフィングの案内で 逃げ道へと移動を始めた マスター達だったが…
【デュリン】 嘘でしょ…
【魔獣】 グガアアアアアアアア!
【ティルフィング】 …くっ、こんなところにまで!
いくよ、ティルフィング マスターは声に力を込める
【ティルフィング】 …はい! なんとしてもここは通ります!
【デュリン】 …………
……デュリン、どうかしたの? マスターがそう問いかけるが
【デュリン】 ううん、なんでもないわ さあ、いくわよ!
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