330021211 トライデント・獣刻・ペガサス 鈍色の英雄譚
マスターの隊に、 また新たな姫が入隊した
【トライデント】 世界は荒れ果て、 人々は苦しんでる…
【トライデント】 だから、今 必要なのは正義の使者! 世界を救う人!
【トライデント】 つまり、 英雄だよねっ!
英雄になりたいの? と、マスターは尋ねる
【トライデント】 うん!だって…
【トライデント】 海の神ポセイドンの力、 そして獣刻されたペガサスの 空を駆ける力
【トライデント】 海と空を統べる トライデントに今必要なのは、 陸の英雄譚!
【トライデント】 でしょ?
そう言って、 元気いっぱいの 笑顔を見せるのだった
それから、しばらくして――
【トライデント】 さあ!トライデント・ 獣刻・ペガサスの英雄譚が、 今始まるよ☆
戦場に斬り込んでいく彼女
【トライデント】 英雄パワー見せちゃうぞっ!
小さな体に 似つかわしくない力強さで、 次々に敵を葬っていく
【トライデント】 どうだ!? トライデントの歩みは、 まだまだ止まらないよ☆
【トライデント】 いざっ!
彼女の大活躍により、 マスターの隊は勝利した
戦闘後、彼女の功績を称えるマスター すごかったね! どこからそんなパワーが出てくるの?
彼女は答える
【トライデント】 ふふっ!マスター、 キミは世界を救おうとしている
【トライデント】 そんなキミと一緒にいれば、 英雄になれるかも! でしょ?
【トライデント】 だから、 これからもよろしくね!
いつも明るく一生懸命な彼女に、 マスターは信頼を寄せるように なっていった
――が、
【トライデント】 もっともっと頑張って、 英雄譚を作らなきゃ!
その一生懸命さは、 次第にエスカレートしていき…
【トライデント】 え?争いごと!? 英雄たるもの仲裁もできなくちゃ!
【トライデント】 ケンカはダメ~~~!!
人間同士の揉め事に 首を突っ込んだり
時には……
【トライデント】 好きな人がいる!?
【トライデント】 トライデントに任せて! 英雄たるもの、 愛のキューピッドもできなくちゃ!
人間同士の色事にも 首を突っ込んだり
また、時には……
【トライデント】 撤退!?
【トライデント】 だったら、トライデントが 殿(しんがり)を買って出るよ!
【トライデント】 それでこそ、 英雄ってもんでしょ!?
大変な役割を自ら買って出たり…
【トライデント】 ふぅ~~~、 英雄ってのも楽じゃないね♪
そう言いながらも、 自らトラブルに首を突っ込んでいく 回数が次第に増えていくのだった
そして
【トライデント】 さっ!今日のことを、 手帳に書かなきゃ
自分の英雄譚を残そうと、 その都度 手帳に書き記していく彼女
そして、英雄になりたい気持ちは、 より強くなっていき……
ある戦闘の日には――
【トライデント】 う~ん、多いな~
遠くから、敵の大群を 視察している彼女
【トライデント】 この戦い、 もしかしたら勝てないかも…
【トライデント】 でも!
【トライデント】 負け戦を勝ちに変えてこそ! 真の英雄だよね!!
【トライデント】 うおおおおおおおっ!
戦場に斬り込むトライデント
【トライデント】 絶対に!勝つ!!
そんな感じなので、 体の傷はどんどん増えていったが、 本人にまったく気にする素振りはない
【トライデント】 勝った~~~☆
そんな彼女を、 マスターは心配の眼差しで 見つめていた
それから数日後
事件は起こった
【トライデント】 わぁ~、今日も多いな~ この前の2倍はいるかな?
眼前に広がる敵の大群
【トライデント】 これに勝てたら… 一気に英雄に近づけるよね☆
今回も相当、無茶な戦いに 身を投じようとしているトライデント
【トライデント】 よし! いざ出撃――
【トライデント】 …って、なに?!
だが、さすがに 見かねた隊の姫達に 制止される
【トライデント】 離して~~~!! これくらいで臆してるようじゃ、 英雄になんてなれないから~~~!!
【トライデント】 今度こそ!! いざ!出撃っ!!
虚を突き、敵を薙ぎ払っていく彼女
【トライデント】 いっくよ~~~っ!!
戦況を優位に進めるが、 その数に次第に不利になってゆき…
【トライデント】 …くっ! でも、これくらいじゃ負けないよ!
【トライデント】 私の英雄譚は、ここから始ま――
……が、
【トライデント】 あっ!しまっ――
背後から、 敵の攻撃が振り下ろされた
【トライデント】 あぁっ!!
…が、絶体絶命のピンチに陥った時、 ある姫がトライデントを庇って、 傷を負ってしまったのだ
【トライデント】 だ、だいじょうぶ…!?
その目は、 今までとはうって変わって、 不安でいっぱいになっていた
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