330071202 ゲイボルグ・獣刻・ケルベロス 貴様はもう胃の中
突如 攻撃を仕掛けられ、 同じ隊のケラウノスと 戦う事になったゲイボルグ
彼女が、ケラウノスに問いただす
【ゲイボルグ】 私が…弱いだと!?
そう叫び槍を振るが、 まるで歯が立たない
【ケラウノス】 どうしたの?そんなもの!?
【ゲイボルグ】 くっ!な、なぜだ…!? ケルベロスを獣刻された この私が…!?
【ケラウノス】 知りたい?
戦闘のさなか、 ケラウノスがゲイボルグに語り掛ける
【ケラウノス】 私に獣刻されたのは ガイアの“怒り”テュポーン
【ケラウノス】 その怒りの大きさは、 自分でも制御できなくなるほど
【ケラウノス】 あなたもそんな私に似て、 ケルベロスの持つ残虐性を 抑えられなくなるようだけど…
【ゲイボルグ】 …………
【ケラウノス】 でも、それでも私には勝てないよ
【ゲイボルグ】 な、なぜだ!?
【ケラウノス】 それはキミが…
【ケラウノス】 “一人”で戦っているから
【ゲイボルグ】 !!
【ゲイボルグ】 …一人…だと?
【ケラウノス】 そう
【ゲイボルグ】 ずっと…
【ゲイボルグ】 一人だったはずだ!
【ケラウノス】 …!
【ゲイボルグ】 トレイセーマでは… ずっと一人で戦ってきただろう!?
【ゲイボルグ】 使役から解放されたとはいえ、 それは今も変わらないはず! 違うのか!?
【ケラウノス】 どういうこと?
【ゲイボルグ】 私は…トレイセーマに 3つの頭を持つ三位一体の魔獣・ ケルベロスを獣刻された
【ゲイボルグ】 それがきっかけで… 私の中にも3つの人格が 棲みつくようになったんだ
【ゲイボルグ】 私は…分からなくなった 本当の自分は…どれなのか
【ゲイボルグ】 ケルベロスにより力は得たが、 己を失ってしまったんだ…
【ケラウノス】 …………
【ゲイボルグ】 そして… トレイセーマでの呼び名は 「L・◯六」だった…
【ゲイボルグ】 私は… 本当の自分を失った上に… 名前まで失ってしまったんだ…!
【ケラウノス】 …………
【ゲイボルグ】 そうなった私は、 ケルベロスの残虐性を利用し、 戦闘に明け暮れた…
【ゲイボルグ】 自分は何者でもない… ただの戦闘兵器…
【ゲイボルグ】 仲間もおらず… ただ目の前の敵を殺すだけの 兵器として…
【ゲイボルグ】 そうやって… お前も一人で戦ってきたはずだろ? 違うのか!?
【ゲイボルグ】 信じられるのは… 自分一人だけのはずだ! それは今も変わらずに!!
彼女の叫びが、 ケラウノスに突き刺さった …だが、
【ケラウノス】 そう思ってるうちは…
【ゲイボルグ】 …………
【ケラウノス】 決して私には勝てない
【ゲイボルグ】 …!
【ゲイボルグ】 ぐっ!!
【ケラウノス】 一人で戦っているうちはね
彼女に強烈な一撃をお見舞いし、 ケラウノスは去って行った
【ゲイボルグ】 く…くそっ…!
ケラウノスに敗れ、 大の字で天を仰ぐゲイボルグ
【ゲイボルグ】 なぜだ…
【ゲイボルグ】 G・〇七…お前は…
【ゲイボルグ】 変わったと言うのか…?
【ゲイボルグ】 その身にも植え付けられた 忌まわしい運命から… 逃れられたと言うのか…!?
そう呟く彼女の表情は、 とても険しく 鬼気迫っていた
また、ある日の戦闘
【ケラウノス】 うおぉぉぉぉっ!!
【ゲイボルグ】 あれが…あいつが言っていた 獣刻された“怒り”…
【ケラウノス】 …ふぅぅぅぅ
【ゲイボルグ】 …!
しかしケラウノスは、狂気にも似た “怒り”をうまくコントロールし、 目の前の敵を倒すのだった
【ゲイボルグ】 なぜだ…獣刻された… 血に刻み込まれた幻獣の性質を 抑える事など…不可能なはずだ
【ゲイボルグ】 私達は、 そうやって使役されてきた… 心がなくなるほどに…
【ゲイボルグ】 なのに…なぜ、お前は…
【ゲイボルグ】 …!…あ!
【ゲイボルグ】 しまっ…!
ケラウノスに気を取られ、 眼前に迫った敵に気付かなかった彼女
【ゲイボルグ】 くっ…!
しかし、その時… 彼女の危機を救ったのは
【ゲイボルグ】 マ、マスター!!
彼に庇われ、窮地を脱するゲイボルグ
【ゲイボルグ】 す、すまない… 私のために…
【ゲイボルグ】 でも…
【ゲイボルグ】 一つわかった
【ゲイボルグ】 あいつの言っていた意味が
【ケラウノス】 それはキミが…
【ケラウノス】 “一人”で戦っているから
【ゲイボルグ】 たとえ3つの頭… 3つの人格があろうとも…
【ゲイボルグ】 誰も信用せず、心を消して 一人で戦っているうちは… 弱いということか
【ゲイボルグ】 「誰も信用しない」ということは 「諦める」ということ
【ゲイボルグ】 自分だけの殻に閉じこもり、 強くなれるチャンスから 逃げるという事
【ゲイボルグ】 私は…トレイセーマでの記憶から、 今までずっとそうやって…
悔やんだ表情を見せる彼女に マスターが語り掛ける
弱い自分と向き合える人は、 強くなれるチャンスが 広がるってことだよ
そうだろ? ゲイボルグ
【ゲイボルグ】 !!
【ゲイボルグ】 ゲイボルグ… 私の…名前を…
名前を呼ばれるという 日常ではごく普通の出来事が、 彼女の中のなにかを変えた
【ゲイボルグ】 兵器ではなく… 私を… 1人の仲間として…!
【ゲイボルグ】 私の中で… 蓋をしていた力が目覚める…!
【ゲイボルグ】 新技『貴様はもう胃の中 -ディケイグルプ-』!!
トレイセーマ時代には 決してなかった感覚
一人の戦士として、 一つの人格として、 名前を呼ばれた経験
それによりゲイボルグは、 マスターのバイブスと激しく共鳴し 新たなる力を手にしたのだ
その強力すぎる一撃に敵は消滅した
【ゲイボルグ】 はぁ…はぁ… この…感覚か…
そんな彼女に、 ケラウノスが声を掛ける
【ケラウノス】 強くなったじゃん♪
【ゲイボルグ】 …あ
【ケラウノス】 なんか…見えた?
【ゲイボルグ】 …あぁ
【ゲイボルグ】 あなたは…怒りという名の狂気を 自分の中に収めることが出来た それは…
【ゲイボルグ】 自分から目を逸らさずに、 自分と戦ったから
【ゲイボルグ】 自身を見つめ、乗り越えようと… 自ら苦しい場所に足を踏み入れたから
【ゲイボルグ】 私には…そんな考えも… 勇気も覚悟もなかった
【ゲイボルグ】 トレイセーマで刻まれてしまった 忌々しい記憶から… 自分自身を放棄してた
【ゲイボルグ】 それじゃ…あなたに勝てるわけない 前を向いた者にかなうはずがない
【ケラウノス】 …………
【ゲイボルグ】 永い眠りから ようやく目覚めた気分だ…
【ゲイボルグ】 これからは…
【ゲイボルグ】 この世界で…この隊で生きていく トレイセーマにいた頃の 私はもうここにはいない!
【ケラウノス】 そうよ!私達は、 G・〇七でもL・◯六でもない! そうでしょ?
【ケラウノス】 ねっ? 『ゲイボルグ』!!
【ゲイボルグ】 …!
【ゲイボルグ】 …ふっ
【ゲイボルグ】 ああ、そうだな
と、そこにまた敵の群れが現れる
【ゲイボルグ】 行きましょう、ケラウノス
【ケラウノス】 そうね!
構える2人
かつては、お互いに 向き合っていた武器が、 今は同じ敵に向いていた
【ゲイボルグ】 ありがとう、ケラウノス 私はもう一人じゃない すぐそばに…あなた達がいる!!
【ゲイボルグ】 どんな相手だろうが関係ない このゲイボルグが愛槍をもって 敵を貫く!
彼女の目は力強い決意に満ちていた
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