330241213 蜻蛉切・聖鎖・インドラ 豪華なる喧乱
戦闘が始まった
【蜻蛉切】 ……くっ!
だが、 お酒を飲んでいなかったストレスと
【蜻蛉切】 はぁ…はぁ…
自分は真の強者では ないのではないか…
という懊悩(おうのう)が邪魔をし、 いつものパワフルさが発揮できない
【蜻蛉切】 はぁ…はぁ… 喧嘩の華… ド派手に咲かせなきゃ!!
槍を構え直す彼女
敵に斬り掛かるが、焦りと不調から、 今日は窮地に陥った仲間が 目に入らなかった
【蜻蛉切】 しまっ――!
危機一髪! それを助けたのは……
【蜻蛉切】 殿っ!!
だが、その身を挺したことで、 軽い傷を負ってしまうマスター
【蜻蛉切】 あぁ… いつもは出来ていたことが… 出来なかった…
落ち込む蜻蛉切
そんな彼女にマスターは言う
ド派手じゃないのは君らしくない!と
【蜻蛉切】 …え?と、殿…?
ド派手に行こうよ! なんと彼女に酒を勧めるマスター
【蜻蛉切】 …え!えぇ~っ!
驚く蜻蛉切だが、 大丈夫! 君の強さ…信じてるよ!!
【蜻蛉切】 !!
真剣な目で訴えるマスター それを見た蜻蛉切は……
【蜻蛉切】 ………
【蜻蛉切】 分かったわ!
と、景気づけに酒を一口飲み干した!
【蜻蛉切】 ………ふぅぅぅぅ
俯いた彼女が、 ギン!と眼光を光らせ、 顔を上げた
【蜻蛉切】 さあっ!! ド派手に!! 行くわよぉぉぉぉぉっ!!
【蜻蛉切】 はぁぁぁぁぁぁっ!!
とんでもない速さで、 槍をぶん回す蜻蛉切
【蜻蛉切】 なんだろう、この感覚… 体の芯から力と熱が 沸き上がったような……
【蜻蛉切】 これは…ただ、 お酒を飲んだからじゃない!
【蜻蛉切】 飲み過ぎる癖や、禁酒でイラつき 周りが見えなくなったことは、 弱点と思ってた…
【蜻蛉切】 だけど… 殿はそんな私を 受け入れてくれる
【蜻蛉切】 その懐の大きさが……
【蜻蛉切】 まるで上等なお酒のように 私の心に染み入るわっ!!
【蜻蛉切】 殿の信頼を受け!! 目覚めろ!! 新たなる奥義!!
【蜻蛉切】 『豪華なる喧乱』――――ッ!!
強力な技で敵を葬り去る蜻蛉切
それは彼女が、 新たな力に目覚めた瞬間だった
【蜻蛉切】 い~い喧嘩だったわ! ありがとね! 殿!!!
その後、彼女はマスターと語らう
【蜻蛉切】 まだまだ修行が足りなかったな
【蜻蛉切】 殿のこと、 弱いって言っちゃったけど… そうじゃなかった
【蜻蛉切】 相手の弱い部分や、 良くない部分を受け入れる
【蜻蛉切】 そんな懐の深さ、 そんな“強さ”もあるんだね
【蜻蛉切】 私…もっと強くなるよ
【蜻蛉切】 真の武士(もののふ)に なりたいから!
宣言する彼女
頼りにしているよ とマスターが答える
【蜻蛉切】 よし!じゃあ…
【蜻蛉切】 今日は飲もう!
と、笑顔で杯を出す彼女
あれ?禁酒は…? たじろぐマスター
【蜻蛉切】 なによ、 ド派手に行けって 言ったじゃない!?
と、酒を杯に注ぎ、 ぐいっと飲み干す
やれやれ そう言いつつも、
ま、今日は良いお酒って ことにしておくか と微笑むマスター
【蜻蛉切】 なに、ニヤついてるの?
【蜻蛉切】 ほら、殿も一緒に飲もう!
そう言って、 酒を注いでくる彼女の目には、 真っすぐな明るさが戻っていた
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