330281203 ヘレナ・D. plug・ロキ 理砕『巨人の機転』
【ヘレナ】 串刺しだっ!
ヘレナの持つ槍が 最後の敵を貫く
【ニール】 この辺りに敵はもういないね
【ヘレナ】 だが、先輩の安全のためにも 油断は出来ない
【ニール】 あはっ、 張り切っちゃって
【ニール】 この前のことが そんなに嬉しかった?
【ヘレナ】 ……そんなことはないぞ
【ヘレナ】 ヘレナを隊の一員として 祝ってくれた先輩のためにも もっと頑張らないと
そんなことを考えていると…
【ヘレナ】 先輩、どうしたんだ?
笑いかけるヘレナに対して、 マスターは心配そうに ヘレナの体を見やる
【ヘレナ】 もしかして、この膨らみが 気になるのか? 触ってみるか? …くふっ
冗談めかして言われた言葉に、 マスターは慌てて手を振る
そうじゃなくて、 怪我してるから心配で… と、マスターは呟く
【ヘレナ】 これぐらいなら平気だぞ?
【ニール】 ケイオスリオンにいた頃は もっとヒドかったよね
【ヘレナ】 先輩のためなら、 ヘレナはどうなっても 構わないぞ?
ヘレナがそう自信を持って 答えると…
違う、そうじゃないんだ… と首を振った
戦ってくれるのは嬉しい、 でも、ヘレナに傷ついてほしくは ないよ…
マスターはそう呟いた
【ヘレナ】 ヘレナのことを 心配してくれるのか…?
ぼんやり呟くヘレナに マスターは頷き返す
ヘレナも僕達の仲間だから 傷つく姿は 出来るだけ見たくないんだ
【ヘレナ】 っ、うん 努力しよう
小さく返事をして、 ヘレナは突然走り出した
【ニール】 ヘレナ!? 置いていかないでよっ!
突然のことに 驚くマスターを置いて、 二人はいなくなってしまった
【ヘレナ】 先輩が… 急にあんなこと言うから…
【ニール】 あははっ、 あんなに素直に心配されたこと、 なかったもんね?
【ヘレナ】 う、うるさいっ…
胸の中で温かい気持ちが 渦巻いていた
【ヘレナ】 …ニール
【ニール】 なぁに、ヘレナ?
【ヘレナ】 …もっと、強くなろう 先輩を心配させないぐらい… 隊の皆を守れるぐらい…
【ニール】 ヘレナ、やる気ね? いいわよ、 アタチも協力してあげる
ヘレナとニール、 二人の決意が新たなスキル
理砕『巨人の機転』を 目覚めさせた
【ニール】 でもよかった この隊なら昔みたいなことには 絶対ならないよ
【ヘレナ】 …そうだな
そうして二人頷く中…
ヘレナ! ニール! と、遠くからマスターの 声が聞こえてきた
どうやら、 二人を心配して 追ってきたらしい
【ニール】 もうっ、 マスターのせいで ヘレナが泣いちゃったじゃない~
【ヘレナ】 ニール!? なにを言って…
【ヘレナ】 先輩も、 今は来るんじゃないぞっ
恥ずかしさに顔を覆うヘレナは、 マスターを遠ざけようと 声を荒げた
胸を満たす今の気持ちを 気付かれないように―
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