350171211 グリモワール・獣刻・ニーズヘッグ 誰が為の怒り
トレイセーマ共和国から解放された姫 グリモワール
これは彼女がマスターの隊に入って、 しばらくしてからのお話──
【グリモワール】
………
今日は彼女の入隊後、 初めての休息日
【グリモワール】
………
彼女は魔導書を読み、 魔術の勉強をして過ごしている
…と、そんな彼女に
【グリモワール】
…え？お菓子作り？
隊の姫たちは、 お菓子作りをしようと 誘ってくるのだった
【グリモワール】
うぅん、ワタシはいい
目線も送らず、 言葉だけを返すグリモワール
【グリモワール】
魔術の勉強があるから
トレイセーマにいた頃は、 残虐で狂暴だったグリモワール
仲間意識はほとんどなく、 邪魔をする者は味方であっても、 容赦のない性格だった
だから、すぐに みんなと折り合えないのも、 無理のないことかも知れない
しかし、その後 事件は起きた…
【グリモワール】
いいって言ってるでしょ！
しつこく誘う姫に、 怒りを露わにする彼女
【グリモワール】
どうして…って？
【グリモワール】
遊んでいる暇はないの
魔術を極めることが、
世界を救える唯一の道だから
そう答える彼女に、
遊びかも知れないけど… それでチームワークが良くなるかも 知れないよ
と返す姫
【グリモワール】
チームワーク…？
【グリモワール】
キミたちはそうするのが
最適な方法なんだろうけど…
【グリモワール】
だからって
ワタシを巻き込まないで！
その言葉に、 遂に姫たちが強く反発する
【グリモワール】
なによ…？
文句あるわけぇ！？
魔導書を置き、にらむ彼女
一触即発！
…と、間に割って入ったのは マスターだった
【グリモワール】
なに？マスター
「グリモワールは怒りっぽい」 とマスターに詰め寄る姫たち
【グリモワール】
怒りっぽい…？
ピクリと瞼を震わせたのも束の間 グリモワールは口を結び…
やがて口を開いた
【グリモワール】
……そうよ
【グリモワール】
でも、それは
ワタシだけの怒りじゃない…
ワタシだけじゃない…？ マスターが聞き返す
【グリモワール】
これは死者の怒りの具現よっ！！
静寂に包まれる一同
『死者の怒り』 みんなにはその言葉の意味が よく分からなかったのだ
【グリモワール】
別にいいわ…
【グリモワール】
あなたたちに理解されようとも、
あなたたちが理解できるとも
思ってないから
そう言い放つ彼女に、 また反発する姫たち
マスターはこのままでは より孤立しそうな グリモワールの手を引き外に出る
【グリモワール】
なによ！？
なんで、ワタシが悪者なわけ！？
と、彼女の怒りは 大きくなるばかりだった
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