350172214 グリモワール・獣刻・ニーズヘッグ 四法『冥府竜の賛美歌』
グリモワールと一緒に プレゼントを配った次の日
マスターの隊では クリスマスパーティーが 開かれた
【グリモワール】 …あ、ありがとう
グリモワールが 他の姫たちに衣装が可愛いと 褒められ、照れている
【グリモワール】 キミの衣装も可愛いと思うわ とても似合ってる…
まだ、若干ぎこちないが 笑顔で他の姫たちと 話しているグリモワール
楽しそうにしている彼女を見て マスターも、思わず嬉しくなる
【グリモワール】 あら? 料理が足りなくなったわ 持ってくるわね
グリモワールは 準備をあまり手伝えなかった分 物を運んだりしている
他の姫たちも彼女の変わりように 不思議そうに首を傾げているくらいだ
他者との繋がりの大切さを知った グリモワール
これからは少しずつ 仲間たちとの心の距離を 縮めていくだろう
【グリモワール】 あ、マスター! やっと見つけたわ
マスターの姿を見つけるなり 駆け寄ってくるグリモワール
【グリモワール】 ちょっと来なさい!
マスターの手を握って 引っ張っていく グリモワール
グリモワールに連れられ 外に出るマスター
空には満天の星が 輝いていた
【グリモワール】 はい、これ
そう言って リボンが巻かれた 箱を渡してくる
…これって? 不思議そうな顔をする マスターに、
【グリモワール】 クリスマスプレゼントに 決まってるでしょ
どうして…? なおも戸惑うマスターに 彼女は大きくため息をつく
【グリモワール】 …マスターが言ったんじゃない クリスマスには プレゼント交換の風習があるって
【グリモワール】 昨日、マスターから プレゼントをもらったでしょ だからワタシも用意したのよ
キミと過ごした時間が プレゼントだったって言ったよね?
【グリモワール】 釣り合わないのよ!
グリモワールは顔を真っ赤にして 口を尖らせて プイっと横を向いてしまう
【グリモワール】 ワ、ワタシも… 楽しかったから
【グリモワール】 マスターと プレゼントを配ったのは… マスターと一緒にいた時間は
【グリモワール】 ワタシにとっても プレゼントだったのよ
【グリモワール】 マスターからプレゼントを もらっちゃったら、 釣り合わなくなっちゃうじゃない!
【グリモワール】 だ、だから、 受け取ってもらわないと 困るのよっ…
マスターは微笑み、 ありがとうと言って プレゼントを受け取る
【グリモワール】 あ、言っておくけど 中身は期待しないでね
【グリモワール】 マスターからのプレゼントは 大したことなかったから、 ワタシも、つまらないものにしたから
もらえただけで、嬉しいよ マスターの言葉に さらに顔を真っ赤にする彼女
【グリモワール】 あー、もう! なんで、そんな歯の浮くセリフを さらっと言うのよ!
【グリモワール】 ホント、調子狂うわ!
照れたり、怒ったり 表情がコロコロ変わる彼女を見て マスターはにこりと微笑む
【グリモワール】 さ、そろそろ戻るわよ
二人は並んで 仲間が待つパーティ会場へ 向かう
さても、彼女の本棚では 冬の白い光を浴びて うっすらと輝きながら…
まるで寄り添いあうように マスターからのプレゼントと 彼女のお気に入りの本が並んでいた
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