350201214 タスラム・獣刻・バンシー 獣血『愛憐の涙雨』
数日後――
あの件以来、 タスラムは少し変わった
【タスラム】
戦いと飯以外は、
ぜ～ったいに余計な
行動はしないと決めている
そう言っていた彼女が…
【タスラム】
掃除すんのか？
あたしも手伝ってやる
隊の姫たちを 積極的に手伝うように なったのだ
【タスラム】
え？おまえも
あの店のパン、好きなのか？
気が合うな
みんなと打ち解け、 話をするようになった
【タスラム】
へ～、そのパンは
食べたことないな
今度一緒に食べようぜ
元々は、おしゃべり好きな彼女
隊の姫たちとも、すぐに仲良くなれた
それに嬉しいこともあった
仲間から、 不吉な予感を 一人で背負い込むことは無い
みんなで協力すれば、 絶対に回避できるよ！ と言ってもらえたのだ
【タスラム】
…！
【タスラム】
そうかな…？
【タスラム】
みんなで協力すれば…か
【タスラム】
へ、へへ…
【タスラム】
ありがと
嬉しくて、 つい涙を流してしまうタスラム
それを見て、 泣き虫タスラムと 笑う姫たち
【タスラム】
な、なんだよ、おまえら！
バカにするなよっ！
悪態をつきながらも、 なんだかんだ嬉しい
彼女はマスターに今の胸の内を話す
【タスラム】
不幸を運ぶ死神だと思ってた
こんなあたしが…
【タスラム】
仲間の大切さや、
温かさを知ることができたよ
【タスラム】
マスターのおかげでさ
【タスラム】
こういうのって…
なんだか力がもらえるんだな
仲間との絆を得たことで、 彼女は新たなるスキル 獣血『愛憐の涙雨』を習得する
【タスラム】
マスターのおかげで…
【タスラム】
居場所が出来た
【タスラム】
トレイセーマにいた時から…
ずっとひとりぼっちだった、
こんなあたしに居場所が
【タスラム】
ここは…とても心地がいい
そう言って、彼女が微笑む
【タスラム】
あたしは不幸を呼び込む死神…
【タスラム】
そう思ってたから、
ずっと感情を押さえつけ、
殺し、生きていた
【タスラム】
でも…おまえとなら
不思議と自然体でいられるんだ
【タスラム】
そのお礼って言うか、
なんていうか…
【タスラム】
これからも…
守ってやるからな
恥ずかしそうに語る彼女 その瞳は潤んでいるように見えて…
また、うれし涙？ と、からかうマスター
【タスラム】
バカッ！泣いてなんかない！
慌てて目元を拭う彼女
【タスラム】
そ、それより、
話してたら腹が減ったな！
飯にしようぜ！！
うれし涙を悟らせまいと、 明るく大きな声で叫ぶのだった
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