350321213 ティファレト 降臨せし神威の暁光
そして…
しばらく進むと、 すぐに頂上が見えてきた
さすがティファレト！ おだてるマスター
…と、次の瞬間！
【ティファレト】
あ、主様！！
うわぁぁぁぁぁっ！ 足を踏み外し、マスターが 急な山道を転げ落ちる
【ティファレト】
て、手に…！！
手を差し伸べるティファレト しかし、それは届かず…
【ティファレト】
あぁ…やはり私は……
誰かを幸福には導けぬ存在………
彼女が諦めかけたその時、 マスターがティファレトに手を伸ばす
助けて！と
【ティファレト】
！！
【ティファレト】
た…助けて…？
【ティファレト】
この私に…
【ティファレト】
こんな私に…
【ティファレト】
助けを！！
彼女の中で何かが爆ぜた
【ティファレト】
はぁぁぁぁぁっ！！
山道を滑り落ちてゆくマスターを 追いかけてゆく彼女
【ティファレト】
も…もう少し…！
【ティファレト】
掴まって！！
再び手を差し出す彼女
マスターはなんとか その手を掴むことに成功するのだった
【ティファレト】
よ…良かった…
…と思ったのも束の間
【ティファレト】
！！
そこは崖になっており、 ２人は落下！！
下はまるで剣山のような 尖った岩肌が
落下しながら、ティファレトは…
【ティファレト】
やはり私は……
誰かを幸福には導けぬ存在…
【ティファレト】
そう思っていた…
【ティファレト】
でも！
【ティファレト】
守りたい！この人を！！
私のこの手で！！
次の瞬間、彼女の体が光に包まれた
そして、天使の羽が舞い、 そこから彼女が姿を現す
【ティファレト】
新技！！
『降臨せし神威の暁光』！！
土壇場で彼女の新たなる力が覚醒！
彼女は剣山を砕き、 マスターを抱えたまま、 ふわりと着地するのだった
【ティファレト】
はぁ…はぁ…
た、助かったよ… 彼女に語りかけるマスター
【ティファレト】
………
しかし、彼女の顔は浮かなかった
【ティファレト】
結果的に助けることが
出来たとは言え…
主様を危険な目に…
【ティファレト】
近いという理由だけで獣道を選び、
主様の身体能力を
考慮できていませんでした…
【ティファレト】
選ぶ道を…
間違えてしまいました…
でも、そのおかげで 新しい技に目覚めたんだから！ と笑顔で言うマスター
【ティファレト】
…！
【ティファレト】
あ…あなたという、お人は…
その後も、山道を歩く２人
【ティファレト】
…こ…これは……！
山を登り切った先にある丘の上
マスターが見せたかったのは、 そこから見える大きな夕日だった
【ティファレト】
なんと…美しいのでしょう……
マスターは語る
ここまで一緒に歩いて来たからこそ、 一緒に選んで辿り着いたからこそ、 喜びを分かち合えるのだと
そして、こう続ける
どんな道を選んだとしても、 ２人一緒なら絶対に辿り着けると 信じていた…と
【ティファレト】
まさか…事前に
道のりを調べていたのですか…？
例えティファレトがもう片方の道を 選んでいたとしても、道が 途切れていたことを知っていたのだ
【ティファレト】
つまりは…どちらの道を
選んでいたとしても…
苦労することがわかっていたと…
【ティファレト】
でも…
あえて、私に…
マスターは 彼女に間違いを選ばせたと 思わせることで、
『自分で選ぶ』… その恐怖を 乗り越えて欲しかったのだ
【ティファレト】
…そうだったのですね
【ティファレト】
もし、また間違った選択を
したとしても…
【ティファレト】
主様と一緒であれば…
もう怖くはありません
彼女が優しく微笑んだ
それを見た後、 丘にゴロンと寝転ぶマスター
するとティファレトが 視界の上から覗き込んでくる
【ティファレト】
もう…
自ら誰かに手を差し伸べることは
ないと思ってました…
【ティファレト】
でも、あの時…
咄嗟に手が出てしまった…
【ティファレト】
それは…なにがなんでも
主様を救いたいと思ったから…
【ティファレト】
もう付き従うだけはやめます
これからは手を差し伸べ、
共に手を取り合い…
【ティファレト】
そして共に戦いましょう
そう言って、言葉通り 手を差し伸べる彼女
いつもとは違う逆さに見る彼女は いつも通りに綺麗だ
その笑顔は、 とても穏やかで温かだった
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