3602521 カリス クリスマス 望みと代償
ハルモニア教皇国、擬人区
クリスマスの熱が冷めやらぬ 街並を眺めながら、 マスターは一人で佇んでいた
マスターの目の前には、 子供に感謝されているカリスがいた
【子供】 ありがとう、お姉ちゃん!!
【カリス】 お礼なんていいんだよっ なんてったって、クリスマスだもん! ぜーんぶこのわたしに任せて!
【カリス】 ふう…街中にミラクルを振りまく! カリスちゃん、マジ天使!!
【キプル】 あの…カリス いつまで続けるつもりですか?
【カリス】 え?クリスマスが終わるまでに 決まってるじゃーん!
【キプル】 あああ…すみません、マスター 付き合わせる形になってしまって
楽しそうに張り切るカリスを 止めるつもりにはならず、 構わないよ、とマスターは笑った
【カリス】 ありがとう、マスター! もっともっとたくさんのミラクルを 起こしちゃうんだから!
そう言うカリスの笑顔につられ マスターも笑みが溢れてしまう
しかし、マスターには ふと気になることがあった
皆の望みを叶えるカリス しかし、彼女自身が望むことは ないのだろうか、と
マスターは、その疑問を カリスにぶつけてみることにした
【カリス】 え?わたしの望み? 特にないよ?
【カリス】 だって、わたしは天使だから! 他人の望みを 叶える存在なんだもんっ!
しかし、マスターはそう言うカリスの 表情の中に、少しの憂いが 含まれていることを見逃さなかった
本当は、カリスにも願い事が あるのではないか?と マスターは、カリスに問いかける
【カリス】 …やだなあ、マスターってば わたしはね、望んじゃいけないの
【カリス】 望みが叶わなかった時に、 どんな思いをするのか、 わたしは知っているから…
【カリス】 みんなにそんな思いをさせたくない だから、みんなの願いを叶えるために わたしがいるんだよっ
望んじゃいけない、ということは 何か、カリスの中にあるということ なのか、とマスターは問う
【カリス】 …ないよっ!わたしは、 みんなが笑顔になってくれれば それがいっちばん嬉しいのっ!
他人のことを優先するカリスらしい 答えだったが、どこか 無理をしているのではないだろうか
心配になり、マスターがもう一度 問いかけてみようとしたその瞬間、 子供の泣き声が聞こえてきた
【カリス】 どうしたの? 何があったのか、 わたしに話してくれるかな?
子供は泣きながら、母親に貰った プレゼントを落としてしまったと カリスに告げたのであった
【カリス】 カリスちゃんに任せてっ! すぐ見つけてあげるからねっ!
【キプル】 あっ、カリス! 待ってください!! …全くもう
あっという間にいなくなった カリスを捜索することになった マスターとキプルであった
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