360281212 ロフィア 三度目の決意
【ロフィア】 例えば このクッキーが貴方だったとしてね?
ロフィアの発言通り 宿営地の近くに現れた異族を 待ち伏せて片付けたマスター達
ロフィアは開けた草原ですぐさま 丁度良い木陰を見つけると 手早くレジャーシートを広げる
お菓子のバスケットを受け取ると これまた手早く シート上に展開させ…
あっという間に そこはお茶会の場へと変貌する
マスターは インドア派だとばかり思っていた ロフィアへの認識を改める
かと思えば ちょっとよくわからない例え話を 持ち出す彼女
【ロフィア】 貴方がクッキーだったとして それを食べたら もう取り返しがつかないでしょ…?
選択肢:
- 誰か、いなくなったことが? → select_label_01へ
- そんなことがあったの? → select_label_02へ
- 自分はクッキーじゃないよ? → select_label_03へ
貴方がクッキーだったとして それを食べたら もう取り返しがつかないでしょ…?
select_label_01:
【ロフィア】 誰も、いなくなっちゃったんだ
select_label_02:
【ロフィア】 …一度だけね
select_label_03:
【ロフィア】 …例え話だからね?
select_label_end:
ロフィアはクッキーを 口元まで近づけるも 食べることを避ける
【ロフィア】 ここには、いっぱい、優しい人がいる
ロフィアは持参したお茶を飲みながら ぽつりぽつりと 身の上を話し出す
【ロフィア】 元の世界で私、宮廷魔道士になって だけど、この歳だったから
【ロフィア】 同年代の子は少なくて 友達も多くなくて…
ロフィアの目線は 目の前に広がる草原に移る
【ロフィア】 でも、その友達を巻き込んで 戦わなきゃいけない時が来たんだ
【ロフィア】 全てを失って…一度はそれでも 生きていかなきゃって決意して…
【ロフィア】 その友達が味方してくれなかったら きっと今の自分はいなかったんだ けど………
羽織っていた法衣の裾を きゅっと掴むロフィア
【ロフィア】 こんなに多くの人と 一緒に行動したことがなくって
【ロフィア】 今は、少しだけ、怖い
【ロフィア】 新しい友達を作るのに ちょっと臆病になっているのかも…
自分を達観したような諦めたような 大人びた思考と 子供じみた口調で言葉を紡ぐロフィア
【ロフィア】 また、過去みたいに 自分の覚悟が足りなくて… 巻き込んでしまわないか不安で…
【ロフィア】 もう やり直せないんだと思うと………
【ロフィア】 故郷から離れて 帰れないこの環境で 余計に怖くなってるみたいで…
【ロフィア】 みんな、優しいのに
風が凪ぎ 沈黙が続く
マスターはロフィアのコップに お茶を注ぎ、自身も飲み出す
【ロフィア】 あ、それ…!
想像以上の苦みが口の中に広がる 渋くて苦くて、濃い…!
【ロフィア】 あ、甘いモノと一緒に飲みたくて 持ってきたお茶だから…
マスターはグイッと お茶を流し込み、言う
キル姫たちが優しいのは 文字通り“自分”と 戦い続けているからだと
【ロフィア】 …うん。聞いた イミテーションとの淘汰…
自分の“過去”や 自分の許せない面を見続けて それを越えて“今”を生きている
“今の自分”を受け入れてくれる 自分ではない誰かの存在が 何より大切だと彼女らはわかっている
きっと誰もが、苦しい“今”を 一緒に生きてくれるはず 味方になってくれるはず
マスターはそう言うと ロフィアの膝元に置かれた クッキーを拾い、彼女に手渡す
【ロフィア】 ………!
ロフィアは渡されたクッキーと 飲み干されたお茶のコップに 目を落としながら、呟く
【ロフィア】 苦しい今を、一緒に…
【異族】 グギャアアア!!
その時、突如襲来する異族の群れ 驚くマスター
草原を踏みにじり ロフィア達に迫る異族達
【ロフィア】 ………遅かったね
ロフィアは、手の中のクッキーを パクリと食べると その指を空で踊らせる
ロフィアの魔力に呼応するように 広がっていたお菓子達は ひとりでにバスケットへ収まり…
レジャーシートは パタパタと綺麗な四つ折りにされ マスターの傍らに着地する
【ロフィア】 …ここに陣取ったのは そういうことだよ ピクニックついでにね
【ロフィア】 やっぱり、道連れにしちゃったけど…
【ロフィア】 味方してくれる…?
強く頷くマスター
ロフィアは嬉しそうに微笑む
【ロフィア】 えへへ やさしい
【ロフィア】 ………もう一度ちゃんと、 あとでお茶会しようね
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