401722014 スイハ ウェディング 『零式・雨上がりの花嫁』
【スイハ】 射抜きます… やあっ!!
雨がちな季節の合間の 晴れの戦場 スイハの弓はいつにも増して冴える
【スイハ】 残敵なし… 撤収です、マスター (やった!おつかれさまでした!)
なぜか時折、スイハの心の声が 聞こえるようになった気がする マスター…
寡黙でクールに見えるスイハも 素直になってくれたと いうことだろうか
【スイハ】 あの…なにか (どうかしました?どきどき)
今日もその婚礼衣装…綺麗だね
【スイハ】 ありがとうございます (わあ!ほめられてしまった… 顔が火照ってしまう…)
【スイハ】 決して何者にもこの衣装を 汚させたり破かせたりはしない… 守り抜く、と己に誓っています
【スイハ】 厳しく誓いを立ててこそ 強い願いや想いも、叶うものです (わたくし、そう信じてます!)
そうなのか…とマスター感心しつつ 彼女の心と口調のギャップを 少々面白く感じて…
今日もきちんとその誓いを 守りぬけたかな?と 訊いてしまう
【スイハ】 もちろんです 万事ぬかりなく… (あれ?だ、だいじょうぶかな)
【スイハ】 あ…! (い、いやあああああああ!?)
突然、スイハは マスターや他の姫達を置いて どこかへ走り去ってしまう
急にどうしたんだスイハーっ!? 叫びながら、マスターは彼女を追う
いつしか 小雨が降り始めていた――
雨音響く夜… マスターは、スイハが部屋の隅に 閉じこもっているのを発見した
【スイハ】 マスター…ご用でしょうか (あああ、見つかってしまった…)
どうしたの?と問うマスター
【スイハ】 …守れなかった (服に、ほつれが… 小雨にも濡れてしまった…)
【スイハ】 衣装に込めた願いが…誓いが… (自分で願掛けをしたのに… もう、わたくしのばか…!)
一見して服に乱れはないものの スイハはショックを受けているようだ どう声をかけたものか…
【スイハ】 くっ… (…ち…違うんです…わたくしは…)
…え?
【スイハ】 こ、婚礼衣装とはすなわち 平穏な家庭への象徴で… (本当は、そんなの元々関係なくて)
【スイハ】 平穏を破る敵に、あえて この姿で立ち向かうことに意義が… (ただマスターの隣にいたくて…)
【スイハ】 それなのに…守りきれなかった (どんな理由でもいい… 仲良くなりたかっただけ…)
なんてことだ 心と言葉、どちらを信じればいいのか …いや…
彼女の気持ちは隠されることなく 間違いなく、ここに一つある 失われたわけじゃない
【スイハ】 え…マスター? これは…
マスターはスイハに てるてる坊主を差し出しながら 心に念じた
【スイハ】 晴天の…願掛け…
スイハの行く手にこれ以上 無用な雨のないように、と… その思いは果たして通じたのか
【スイハ】 …そうですね 衣装がどうあれ、 わたくしの気持ちには偽りなく…
【スイハ】 今はただ…心に小雨があるだけ… (そ、そうだ…ずっと泣いてなんて… いられない…!!)
ああ、きみ一人で抱えることはない きみの想いを、僕も大切にしよう… そして…
次の晴れ間を目指して ともに歩んでいこう… マスターはスイハにそう告げた
【スイハ】 …ありがとう…ございます… (うううっ、嬉しい…)
『零式・雨上がりの花嫁』 スイハは見つけた 新たな希望と願いの力――
【スイハ】 マスターとなら… アジサイの咲く庭に、また一緒に 歩み出て行くことができそうです
スイハはマスターと支え合いながら 再び、一つのてるてる坊主を 軒先に掲げた
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