413011021 ロストラグナロク編サイド 未分類 ロストラグナロク サイドストーリー 凶器の舞台 2 - 父の手 3月月初討伐戦3 父の手 第2話
【ベガ】 あれから何日経ったんだろう…
【ベガ】 私達は助けられたわけじゃなかった 白衣を着た人達の実験台として 集められただけだったんだ…
【ベガ】 なんの実験をしているのかは知らない 知りたくない…怖い… 早くここから出たい…
【ベガ】 でも…出ていくのも怖い… 白衣の人達に連れ出された人達は 誰も帰ってこなかった
【ベガ】 いつか私達も部屋の外に出されて… どうなっちゃうんだろう…? 怖いよ…お姉ちゃん…
【ベガ】 あれから毎日泣いてる…
【ベガ】 そのたびに お姉ちゃんが慰めてくれる… やっぱりお姉ちゃんはすごいな…
【ベガ】 双子なのに、私はいつもダメな子で お姉ちゃんに頼ってばかりだ…
【所長】 よし、今日はそこのお前と… それから、そこの娘…
【所長】 なんだ双子か? ならどちらか一方だ
【ベガ】 とうとう私達の番が来た…! 嫌だ!!行きたくないよっ…! だけど…
【モラ】 大丈夫… 大丈夫だからね
【ベガ】 お姉ちゃん…! お姉ちゃんが行っちゃう… そんなのダメ!絶対にヤだっ!
【ベガ】 ダメーーーっ!
【モラ】 こ、コラッ しがみつかないで… 歩けないからっ
【ベガ】 お姉ちゃん、行かないでっ… 一緒じゃなきゃヤだよ…
【モラ】 そんなこと言っても… 大丈夫だよ、私は必ず戻ってくるから ここで待っていて
【ベガ】 そんなの信じられないよっ…!
【ベガ】 今までここを出ていって 帰ってきた人なんて いないじゃない!
【モラ】 それはっ… でも、私は必ず戻ってくるから…
【ベガ】 ダメ!放しちゃダメなのっ… 手を放したらお姉ちゃんも いなくなっちゃう…
【ベガ】 あのとき私が手を放したから… お父さんは殺されちゃったんだ… 絶対に放しちゃダメなんだっ…!
【所長】 やれやれ面倒だな よし、予定変更だ そこの双子を二人とも使うぞ
【研究員】 二人ともですか? しかし実験用の素材が…
【所長】 先日発見されたアレがあるだろう 一人では上手くいかなかったが 二人ならあるいは
【研究員】 なるほど、あの妙なキラーズを… 試す価値はありそうですね
【モラ】 なんなの…? 実験するなら私一人だけにしてよ! 妹に手を出さないでっ
【所長】 黙れ!その妹がお前から離れないから こっちが譲歩してやったんだろうが! せいぜい良い実験データになれよ
【ベガ】 良かった… お姉ちゃんと一緒だ… きっと、最後まで…
【ベガ】 お姉ちゃん、ずっと手を握っていてね 放さないでね
【モラ】 大丈夫よ どんなことがあっても 二人一緒だからね
【所長】 よし、イレギュラーキラーズを 活性化させろ あの双子が適合するか試す
【研究員】 はい!実験を開始します …これまで100人以上失敗して いますし、望み薄ですけどね
【ベガ】 どうせ私達はここで死ぬんだ… せめて最後はお姉ちゃんと一緒に…
【ベガ】 えっ…? なに…なにが起きてるの…? 怖いよ、お姉ちゃん…
【モラ】 大丈夫よ、私がずっと側にいるからね
【ベガ】 あぐぅっ…!? 胸になにかが…入ってくる!?
【ベガ】 私の中に気持ち悪いのが… おええっ…
【ベガ】 お姉ちゃん…! 助けて、お姉ちゃん…! 痛いよ苦しいよ気持ち悪いよぉっ…
【ベガ】 これが実験なの…? なんの実験なのっ…? あああアアアアアアアアアアアア…
【ベガ】 私の体ガ変質シテイク… ワタシガワタシデナクナッテイク…
【ベガ】 アア…胸ニポッカリ穴ガ開イテ シマッタミタイナノ…食ベナキャ… コノ空虚ヲ埋メルタメニ全テヲ…
【ベガ】 全テヲ私ノ中に取り込まなきゃぁ!!
【ベガ】 みんな…そこにいたんだね… 私が全て飲み込んであげるね…!
【研究員】 なにが起きているんだっ…? お、おい!?実験サンプルが… あの双子に引き寄せられていくぞっ?
【所長】 これは…そうか!
【所長】 あのイレギュラーキラーズが 二つに分割されたことで 互いに引き合っているんだ
【所長】 例えるなら磁石のN極とS極… あの双子ならあらゆる特性を 取り込むことができるかもしれん!
【所長】 実験続行だぁ!
【所長】 私達はついに、 究極の生命体を作り上げる 手がかりを手に入れたぞ!
【ベガ】 あの日から私達を取り巻く環境は 大きく変わった
【ベガ】 毎日毎日、私達は化け物の力を その身に取り込まされた… 中には人間もいた…
【ベガ】 私の胸にはたくさんのものが入って きたけれど、空虚さは埋まらない… それなのに頭の中で変な声が聞こえる
【ベガ】 それはきっと同じ部屋に閉じ込められ ていた人達の声…僕達オレ達ワタシ達 の声…我の声、妾の声、あたしの声…
【ベガ】 いつしかボク達は混じり合って、 どれが誰だか曖昧に なってしまっていたの…
【ベガ】 白衣の人達はやけに上機嫌でいた けれど、わたしには本当に どうでもいいことだった
【ベガ】 お姉ちゃんが、モラの存在だけが 私の心の支えだったわ…
【モラ】 ただいま、みんな! 今日も楽しい実験だったよ♪
【ベガ】 ただいま、みんな… 今日も酷い実験だったよ
【モラ】 ベガは相変わらずネガティブだなあ もっとこの力を楽しみなよっ
【ベガ】 でも…ボクは怖いよ… モラはどうして平気なの…?
【ベガ】 モラはいつも楽しそう… 手に入れた気味の悪い力も楽しそうに 使ってる…それに比べて僕は…
【ベガ】 やっぱりワタシはモラの 邪魔になってるんじゃないかな… わたしなんかいない方が良いんじゃ…
【モラ】 アハハハハ! 楽しいね!楽しいね、みんな! あたし…あれ?私…?俺…?
【モラ】 我…?あたち…?おいら…? 儂…?ボク…?わたし…?余…? 吾輩…?私…私…わたしワタシワタシ
【モラ】 アレアレアレアレアレェ? どれだっけ?私、どれだっけ? どれだれどれだれドレダレドレェ!?
【ベガ】 モラ! …お姉ちゃん…お姉ちゃん
【モラ】 ああ、ベガ… そっか、そうだそうだ
【ベガ】 モラは時々、こんなふうになっちゃう 私もそうだけど、自分が誰なのか 分からなくなるんだ…
【ベガ】 きっと近いうちに、ボク達は心が 壊れてしまうに違いない… 怖いよ、お姉ちゃん…
【モラ】 アハハハ…ふふふ…くくくくっ… 楽しいなあ…みんな一緒で…俺は僕は ダレだっけ…?ワタシハ…
【ベガ】 モラ!モラ!しっかりして! モラは…私の…大切なお姉ちゃんだよ たとえ、どんな人格になっても…!
【ベガ】 モラの錯乱は日に日に酷くなっていく …ボクだって多分、とっくにおかしく なっている
【ベガ】 ねえ、やっぱりこんなところ出よう ここにいちゃダメなんだよ
【モラ】 …そうだね よーし!こんなところぶっ壊して 外に出るぞーっ!
【ベガ】 さすが、お姉ちゃんは決断が早いな でも、わたしは本当にここから 出ていけるのかな…?
【ベガ】 私にはお姉ちゃんが必要だけど、 お姉ちゃんにとって私はただの 足手まといなんじゃないかな…
【ベガ】 それに…私の中にはワタシじゃない ものもいっぱいいる…ボク達は モラの邪魔になるんじゃないの…?
【モラ】 ほら、行くよベガ! 早く立って、立って!!
【ベガ】 うん…ねえモラ… あたし邪魔じゃない? きっと足手まといにしかならないよ…
【モラ】 あははは! ベガは心配性だなあ! 足手まといなわけないじゃん!
【モラ】 ベガは私の大事な妹だよ! どんなベガでも大丈夫!あたしが ど~んと受け止めるから!
【ベガ】 どんな私でも… 双子の私、たくさんの私… 全員を貴方は受け止めてくれるのね…
【ベガ】 なんだろう… 胸が暖かくて心地よい…
【ベガ】 私の中に新しい力が 湧き上がってくる
【ベガ】 うん…行こう、モラっ 二人でここから出ていこう
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