510461213 ミュルグレス・神令・トール 樹令『紫電の術計』
あれから数日後――
ミュルグレスは嘘を……
【ミュルグレス】 あははは~、騙された~♪
ついていた
だが誰かを傷付けるような 嘘はつかなくなっていた
あははは!と笑う姫たち 騙された方もやったな~!と 笑っている
そう、彼女は 自分が楽しむ嘘ではなく、
みんなが楽しくなる嘘を つくようになっていたのだ
【ミュルグレス】 だって… 人を信用することなんて できるわけないじゃない
そう言っては可愛い嘘をつき、
【ミュルグレス】 報酬、上乗せで頼むわよ
相変わらず、 報酬や見返りは要求してきたが、 心の底では変わっていた
仲間を信じるようになっていた
その想いは伝わり、 姫たちも彼女に 信用を寄せるようになっていた
数日後、 彼女はマスターと カフェにいた
ぼ~っと外を眺める彼女に、 マスターは尋ねる なにを考えているの?
【ミュルグレス】 なんかさ… みんなとちょっとずつ 仲良くなって思うけど
【ミュルグレス】 人を疑うより… 信じて生きる方が 遥かに難しいんだなって
【ミュルグレス】 でも難しいけど… 楽しくもあるよ
【ミュルグレス】 だって信じれば、 みんなに力を貰えるからね
【ミュルグレス】 損得なしで動くのも… まあ悪いもんじゃないかな
【ミュルグレス】 それはただの 自己満かも知れないけど
【ミュルグレス】 でも、それでもいい
【ミュルグレス】 信じるだんちょーの力になれるなら
マスターを見て、微笑むも…
【ミュルグレス】 あーあ
とすぐに嘆いで見せる彼女
どうしたの?と尋ねると、 彼女はこっちを見てこう答えた
【ミュルグレス】 だんちょーに付いて行けば、 たくさんおいしい思いが できると思ってたのに
【ミュルグレス】 毎日毎日、人助けとか 面倒なことばっかりやらされてさ
【ミュルグレス】 ミュルを騙すなんて、 アンタとんでもない嘘つきね …ふふっ
言葉とは裏腹に、 その目は嬉しそうな 輝きに満ちていた
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