520252211 エルキュール・擬装・セイバー 私に力が無いから
【エルキュール】
災厄の芽は刈り獲ります…
そのための刃です！
【エルキュール】
いきましょう！みなさん！！
隊の姫たちを率いて戦う少女
彼女の名は、 エルキュール・擬装・セイバー
【エルキュール】
最後の最後まで、希望は捨てない！
それが私の誇りです！！
彼女の活躍のおかげで、 マスターの隊は今日も 勝利を収めるのだった
先陣を切って戦ったエルキュールに対し、 ほかの姫たちも口々にお礼を言う
【エルキュール】
そ、そんな…！
勝てたのはみなさんのおかげです
自身の力を鼻にかけることなく 仲間の長所を素直に認め、 尊敬することができるエルキュール
そんな彼女を、隊の姫たちは とても頼れる存在だと認めている
【エルキュール】
ありがとうございます
私……
【エルキュール】
みなさんの期待に沿えるよう、
もっと頑張りますね
【エルキュール】
はああああ！
もともと頑張り屋の エルキュールだったが
イミテイトの力を得て以来 さらに拍車がかかったように なっている
暇を見つけては 激しい特訓をしている
いつか体が悲鳴をあげて 倒れてしまうのでは ないだろうか？
そう心配して マスターが声を掛けようとした時、 ラグナロクが現れた
【ラグナロク】
無理してない？
【エルキュール】
し、してません
【エルキュール】
だって…
【ラグナロク】
……
【エルキュール】
世界に…
希望の灯をともすためですから
希望
そう、 彼女が司る七元徳は 『希望』だった
【エルキュール】
だから私は絶対に負けません
【エルキュール】
必ず…
世界に希望の灯を…
【ラグナロク】
…それは
いえ、なんでもないわ
何かを言いかけて止め、 彼女に背を向けて歩き出す ラグナロク
そして…
【ラグナロク】
彼女のこと、見てあげてね
すれ違い様に マスターの肩をポンと叩き、 行ってしまう
ラグナロクが言ったことの 真意はよくわからなかったが、
変わらぬエルキュールの頑張りに マスターは心配を募らせていた
それからしばらく経った、 ある日の戦闘後のこと……
【エルキュール】
ふぅ…ふぅ…
森の中、マスターは エルキュールの姿を見掛ける
【エルキュール】
…あっ！
マ、マスター！！
こんなところで 一人で何をしていたの？ 不思議そうに尋ねるマスター
【エルキュール】
特訓をしていたんです
まだ、剣の扱いに
慣れていませんから…
恥ずかしそうに語る エルキュールに対して
さっきの戦いも これまで以上に活躍できていたと マスターは褒める
【エルキュール】
そんな！
まだまだです！
【エルキュール】
みなさん、
いつも私を頼ってくれています
【エルキュール】
ラグナロクも、
私にイミテイトの力を
与えてくれました
【エルキュール】
そんな想いに応えなきゃ…
希望の灯にならなきゃ…！
【エルキュール】
私がこの鎌を使いこなせていれば
みんなの負担も
減らせるはずなんです
一人気を吐く エルキュールの前に ラグナロクが姿を現わした
【エルキュール】
ラグナロク…！
【ラグナロク】
イミテイトの力を得て
武器が変わった理由を
あなたは理解してる？
【エルキュール】
…えっ？
【エルキュール】
災厄の芽を刈り取るため…
ううん
【エルキュール】
ラグナロク、あなたのように
陣頭で剣を振るい
みんなを率いたいと思ったから…
【ラグナロク】
…縛られ過ぎよ
エルキュール
あなたはあなたでいいの
【エルキュール】
…私じゃ、
ラグナロクのようには
なれないってことですか？
【ラグナロク】
…やっぱり駄目ね
ラグナロクはそう呟くと 前と同じように、彼女に 背を向けて歩き出す
そして、また、
【ラグナロク】
彼女のこと、頼むわね
マスターにそう言い残して 立ち去ってしまうのだった
【エルキュール】
……
ラグナロクの背を見送った エルキュールは 強く大鎌を握りしめる
【エルキュール】
はあっ！
再び、彼女は大鎌を振り始める マスターは何も言うことができず ただ、見守ることしかできなかった
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