520311212 如意金箍棒・神令・フリッグ 目の前の“いのち”
数日後――
町に遊びに出掛けるマスターの隊
みんなで買い物をしたり、 お茶をしておしゃべりしたり、 楽しく平和な時間が過ぎていく
だが……、
【如意金箍棒】
注文？
みんなと同じで大丈夫っ
お任せするわ
自分の好みを言おうとしない
やはり如意金箍棒は どこかみんなと距離を 取っているように見える
【如意金箍棒】
ごちそうさまでした
じゃ、行こっか
お茶も終わり再び街に出た時、
【如意金箍棒】
…え？
【如意金箍棒】
ワタシに……？
マスターは彼女に、 紫のリボンをプレゼントした
【如意金箍棒】
…知ってたんだ
ワタシの好きなもの
マスターは気づいていた 彼女が武器や色んなものに 可愛いリボンを巻いていることに
【如意金箍棒】
ありがとう…
とても嬉しいわ
でも…
【如意金箍棒】
これで、マスターを
心底信じるっていうのは
別だからね
あくまでマスターを 見定めようとする彼女
別にそんなつもりで… と、マスターが反論しかけた時…
【ビコウ】 キキ～ッ♡
向こうの青果店で バナナを食べていたビコウ
慌ててお金を払いに行こうとする マスター
その刹那！
【如意金箍棒】
あっ！ビコウ！！
突如、街に現れた魔獣が、 牙を剥きビコウに襲い掛かった！
【如意金箍棒】
あ、危ないっ！！
【ビコウ】 キ、キキ～～～ッ！！
魔獣の鋭く尖った牙が、 ビコウの喉元に 食い込みそうになった瞬間…
【如意金箍棒】
！！
【ビコウ】 キ…キィ……
身を挺しビコウを救ったのは…、
【如意金箍棒】
マスターっ！！
牙が掠め傷ついた腕で ビコウを抱きかかえている マスター
【如意金箍棒】
マスター…
怪我してまで、どうして…？
マスターは答える 理由なんてないよ…
危険に晒されている 目の前の命を助ける… それだけだ、と
【如意金箍棒】
…！
【如意金箍棒】
目の前の…命を……
思わぬ邪魔が入ったことで怒り狂い、 尚も襲い掛かろうとする牙を剥く魔獣
【ビコウ】 キ、キ～～～ッ！！
【如意金箍棒】
…まるで法師様みたい
あの人も、他人のために
自分の身を危険に晒してた
【如意金箍棒】
あなたのためなら…
一肌脱ごうって思えたわ！
瞬時に武器である 巨大な斧を取り出す彼女
【如意金箍棒】
はぁっ！！
【如意金箍棒】
これが仙人の武威よ！！
新たに目覚めた力で、 魔獣を一瞬で葬り去る
【ビコウ】 ウッキーーーーーッ！！
涙を流し、胸元に 駆けてくるビコウを抱き、 彼女がマスターに手を差し出す
【如意金箍棒】
…大丈夫だった？
その後、草原で 休憩をとるマスターの隊
如意金箍棒は、 マスターの隣に腰掛け、 こう告げる
【如意金箍棒】
驚いたわ
【如意金箍棒】
バイブスは信じてなかったけど…
あなたの己の身を挺しても
誰かを救おうとする行動
【如意金箍棒】
そして、危険に晒されている
目の前の命を助けるんだという
強い気持ち
【如意金箍棒】
そんな、あなたなら…
信じてみてもいいと思えた
【如意金箍棒】
法師様を、師と仰いだ
あのときのように…
【如意金箍棒】
人は繋がれないと思ってたけど
あなたのような心を持った人となら
繋がれるかも
【如意金箍棒】
だから、
これからもよろしくねっ、
お師様
それは彼女が、 マスターを本物の『師』と 認めた瞬間だった
【如意金箍棒】
ワタシに任せて
これからはお師様のために、
一肌脱がせてもらうから
決意の表情と共に 立ち上がろうとした彼女の 裾を掴むビコウ
【如意金箍棒】
キャッ!?
胸元がはだけそうになり、 あわや別の意味で 一肌脱ぎそうになる
【如意金箍棒】
ビコウ！どうしてあなたは
用事があるとワタシの服を
何度も引っ張るの？
【如意金箍棒】
……って、お、お師様、
今はこっち見ちゃ
だめだから～～～っ！
かっこよく決まりそうで、 決まり切らない愛すべき 如意金箍棒だった
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