530262211 グラーシーザ・擬装・ウォーリアー 手にしたものの重さ
【グラーシーザ】 さて、いこうか!
【グラーシーザ】 うおぉぉぉぉぉっ!
小さな体には不釣り合いな 大きなハンマーを振り上げ、 一人の姫が戦場を駆ける
【グラーシーザ】 《せいぎ》のてっつい、 うけてみるがいいっ!
彼女の名は、 グラーシーザ・擬装(イミテイト)・ ウォーリアー
マスターの元に新しく入隊した姫だ
【グラーシーザ】 さあ、《せいぎ》を見せるときっ!
叫びと共に、 ハンマーを振り上げる彼女
……だが、
【グラーシーザ】 ―と、おっとと…
その威力は強烈だが、 重量に振り回され、すっ転び、 仲間に助けてもらうこともしばしばだ
【グラーシーザ】 す、すまん!
【グラーシーザ】 《せいぎ》のため、 なんどでもたちあがるぞ! それこそがちょうじょう!
慌ててハンマーを担ぎ直し、 敵陣に突っ込んでいくのだった
そんなある日――
【グラーシーザ】 はっ!はっ!
マスターは、 一人で特訓している グラーシーザの姿を見掛けた
【グラーシーザ】 はあぁぁぁっっ!
巨大な岩を砕く彼女
マスターはそんな彼女に とても熱心だね、と声を掛ける
【グラーシーザ】 …あ、マスター
【グラーシーザ】 と、とうぜんだ
でも、頑張り過ぎじゃない? と尋ねるマスター
【グラーシーザ】 そんなことはない!
【グラーシーザ】 なぜなら、あたしのつかさどる しちげんとくは《せいぎ》だからな
【グラーシーザ】 《せいぎ》のため、 たんれんするのはとうぜんだ
その言葉通り――
彼女は正義のため、 いつも戦場に一番に飛び出していく
【グラーシーザ】 あたしがやらなくて、 だれがやる!?
そう豪語するグラーシーザを 頼もしく思うマスター
…と、そこにある姫が現れた
【グラーシーザ】 あ!ラグナロク…
【ラグナロク】 グラーシーザ 言葉は強気だけど、本当は… 不安があるんじゃない?
【グラーシーザ】 !?
【グラーシーザ】 どうしてだ!?
【ラグナロク】 だって、ほら
と、彼女は グラーシーザが砕いた岩を指さす
【グラーシーザ】 ん?こっぱみじんだろ? あたしのハンマーに くだけないものはないんだ
【ラグナロク】 ええ、確かに砕けている でも…
【ラグナロク】 まだまだ粒が荒いわ
【グラーシーザ】 …え?
【ラグナロク】 そのハンマーは、 私があなたのイメージを 具現化したものよ
【グラーシーザ】 そうだな
【ラグナロク】 でも… あなたの力があれば、 もっと粉々に砕けるはず
【グラーシーザ】 …!
【ラグナロク】 あなたは新しい武器を 使いこなせていない それは…
【ラグナロク】 心に“揺らぎ”が あるからよ
【グラーシーザ】 !!
【グラーシーザ】 な、なぜ、それを…
見透かされ、 驚くグラーシーザ
そうなのかい? マスターが彼女に尋ねる
【グラーシーザ】 ……
【グラーシーザ】 …まいったな
【グラーシーザ】 ほんとうは…
【グラーシーザ】 擬装(イミテイト)したものの、 思いどおりにたたかえないことを ずっとなやんでるんだ……
落ち込む顔を見せる彼女に、 マスターが声を掛けようとする
【グラーシーザ】 だけどっ!
【グラーシーザ】 おちこんでるヒマはないぞ! あたしは《せいぎ》を止めるわけには いかないんだっ!
【グラーシーザ】 はあぁぁぁっっ!
ぐらつきながらも、 ハンマーで岩を叩き続ける彼女
【グラーシーザ】 はぁ…はぁ… つよくなる… 《せいぎ》のために!
そんな彼女を、 マスターは心配そうに見守るのだった
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