530311211 カシウス・誓約・ウロボロス 空っぽの心
これは カシウスがマスターの元に、 入隊したばかりの頃のお話
【カシウス】 あなたが御館様?
【カシウス】 わたしの名前は、 カシウス・誓約(コール)・ ウロボロス
【カシウス】 カシウス、そう呼んでほしい
【カシウス】 空っぽの心を満たす、 変わらない穏やかな日常
【カシウス】 そう、“不変”を求めて、 思考を巡らせ世界を巡るの
【カシウス】 それが輪廻の蛇と交わした “久遠の契り”
【カシウス】 わたしは知りたい、 旅路の果てに何があるのかを
【カシウス】 そして、見届けるの 世界が生まれ変わる瞬間を
まるで詩を詠んでいるかのような 独特な言い回しのため、 理解が追い付かない姫達
【カシウス】 みんな、御館様と共に行きましょう… 不変を求めて、 闘争の世界を変える旅に
不変を求めて、世界を変える…? 変えるのか、変えないのか…… ちんぷんかんぷんの姫達
話が少し難しいというか、 言葉が遠回しで分かり辛いというか、 哲学的というか…
【カシウス】 どうかした……?
ミステリアスな印象が強い彼女は、 その後、 姫達と馴染めない日々が続いた
【カシウス】 この溝は… まるで久遠の如く……
そうして、彼女も そんな姫達と距離を 置くようになってゆくのだった
そんな、ある日……
【カシウス】 ………はぁ
一人で佇む彼女に、 なにをしているの? マスターが声を掛ける
【カシウス】 御館様…
【カシウス】 不変を求めて、 思考を巡らせ、 想像の世界を巡っていたの
【カシウス】 万物は流転する…… 青く澄み渡った空が 紅に染まるように
【カシウス】 それは世界の理、 人も自然も、 時は平等に刻まれていく
【カシウス】 だからこそ… その時を不変にするための 思案を重ねていたの
なるほど、つまり世界を平和に したいってことだよね? と、尋ねるマスター
【カシウス】 そうね その認識で間違ってはいないわ
はは、良かった と、微笑むマスター
【カシウス】 それよりどうしたの? なにか用?
彼女の問いに、マスターは 気に掛かっていることを切り出す 最近、みんなと話していないよね?
【カシウス】 ………
【カシウス】 …うん
【カシウス】 きっとわたしは、 みんなから見れば 変わり者なんだと思う
【カシウス】 わたしの話は、 人に理解されづらいから
マスターは尋ねる
でも、『空っぽの心を満たす、 変わらない穏やかな日常』を 作りたいんだよね?…と
【カシウス】 そうだけど……
【カシウス】 わたしがいないことで、 みんなの穏やかな日常が 流れるのなら、その方がいい
【カシウス】 その方が…幸福だから
そう言って去っていく背中を、 心配そうに見つめるマスターだった
次の日―――
マスターは姫達にある提案をした
【カシウス】 いつもは作らないような 凝った料理……?
そう、みんなで挑戦しようよ! と、マスター
そんな料理、誰も作れないよ と、答える姫達に、 マスターは言う
なにを言ってるんだ、 ここにいるじゃないか 指されたのは……
【カシウス】 …え? わたし……?
驚くカシウス そして、姫達
だがマスターは、 そんなのお構いなしで
みんなに教えてあげて欲しいんだ、 君の言葉で!と、 カシウスに頼むのだった
【カシウス】 ………
【カシウス】 別に……いいけど
彼女指導の下、 姫達全員での 料理作りが始まるのだった
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