560111214 ヴァナルガンド・聖鎖・サリエル 解罪『許された安息』
数日後――
戦場に ヴァナルガンドの声が 聞こえてくる
【ヴァナルガンド】 全ては 主(しゅ)の命を果たすため… 共に頑張りましょう
彼女は変わった
今迄みたいに、 隊の姫に厳しく当たることは なくなっていた
最近、穏やかになったんじゃない? と、マスター
【ヴァナルガンド】 そうですか?
【ヴァナルガンド】 それは、自分の中の“怠惰”を 認めたことで、心に余裕が 生まれたからかも知れませんね
そう言って見せた微笑みも、 とても穏やかなものだった
【ヴァナルガンド】 マスターさんも隊のみなさんも、 わたしの中の“怠惰”を 受け入れてくれました
【ヴァナルガンド】 本当にありがとうございます
深々と頭を下げる彼女に、 姫たちは言う
大丈夫!もし“怠惰”に飲み込まれて 怠けそうになったら、今度は私たちが あなたをちゃんと導くから、と
【ヴァナルガンド】 ありがとう その優しさに… 力をもらえます
仲間の思いやりが、 彼女にさらなる力 解罪『許された安息』を与えていた
それから、また数日が経った
【ヴァナルガンド】 ……とても穏やか
草原で巨熊と 寝転がっているヴァナルガンド
【熊】 …!
【ヴァナルガンド】 …あっ!
そこにマスターがやってくる
【ヴァナルガンド】 すみません! サボってないで、 ちゃんとやります!
慌てて起き上がろうとする彼女を 制するマスター
【ヴァナルガンド】 …え?これはサボってるんじゃなく、 自分を見つめ直している時間 …ですか?
隣に腰掛け、 なにしてたの? と尋ねるマスター
【ヴァナルガンド】 思い出してたんです
【ヴァナルガンド】 わたしを突然、 街に連れ出してくれた あの日…
【ヴァナルガンド】 楽しかったなぁ
【ヴァナルガンド】 あれがなかったら… わたしは本来の自分から永遠に 逃げるところでした
【ヴァナルガンド】 本当に自分がやりたいことを 押し殺して、無理して 突っ走るところでした
君の本当にやりたいことって? マスターが尋ねる
【ヴァナルガンド】 …っ! そ、それはぁ…
顔を赤くして答える彼女
【ヴァナルガンド】 今まではサボってると思われるのが 怖くて言えなかったけど… 今だったら言えます
【ヴァナルガンド】 のんびりしたり、遊んだり、 色々ありますけど…
【ヴァナルガンド】 マスターさん
【ヴァナルガンド】 膝枕させてもらえませんか?
【ヴァナルガンド】 ふふふっ…こうして穏やかな 日々をマスターさんと二人で 過ごしたかったんです
恥ずかしそうに、 悪戯っぽく微笑んだ彼女は、 とても可愛らしかった
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