6005011 限定クエスト ファンキル学園(学園編)(ファントムオブスクール) ファンキル学園12月ストーリークエスト ストーリークエスト「真冬のアングレカム」 1 - 第1話「お姉ちゃん大好きです!」 12月学園ストーリークエスト1 1話「お姉ちゃん大好きです!」戦闘前
ここは ラグナロク女学院のグラウンド その隅で植物を育んでいる温室――
例えば今日みたいに 肌を突き刺すような冬の空気が 街を芯まで冷やしても
いつでもここは 外界から隔絶された ささやかな楽園だった――
いつでも私を迎えてくれる 大切な場所だった
私の、居場所だった
【おとなしそうな女の子】 いつまで見上げてても… なにも、変わらないよね
【おとなしそうな女の子】 時間は… 戻らない…
気丈なあの人は立ち上がって、 行ってしまった
その頬は こらえきれなかった涙で 濡れていた
【おとなしそうな女の子】 私は…どうしたらいいのだろう
気づけば私は、 いつもの場所にかがんでいた
いつもの、白い花
【怖そうな女の子】 …どいて
つっけんどんに声をかけられ びっくりして飛び退く
顔や膝のあちこちに絆創膏をはった 少し幼い印象をうける 怖そうな女の子が立っていた…
その子は私をジロリとにらんでから 白い花の前に座ると 熱心に世話をし始めた
【優しそうな女の子】 あら… 今日もちゃんと来たのね
【怖そうな女の子】 や、約束だから!
恐そうな子は 優しそうな子に声をかけられて 言葉とは裏腹に目を輝かせていた
【優しそうな女の子】 約束をきちんと守れるなんて さすが私の自慢の妹です!
優しそうな子が、 彼女の頭を愛しそうに撫でる
もくもくと花の世話をしながら 怖そうな子はとてもとても うれしそうにしていた…
【おとなしそうな女の子】 私… 大好きだったんです…
【おとなしそうな女の子】 まぶしかった… いつも、いつでも どんな花より輝いていて…
【おとなしそうな女の子】 でも、まぶしすぎました… 一緒にはいられないと思った… 私には近づけないって…
【おとなしそうな女の子】 …だから ラグ女、諦めたんです
【おとなしそうな女の子】 眩しいくらいにきれいな花は… たまに見るくらいがいいんです…
一緒にいたらつらいと思った 憧れているのに 本当は仲良くしたいのに
彼女は臆病な自分を見つめるのが 怖かった
【おとなしそうな女の子】 やっと… 勇気が出せたと思った…
【おとなしそうな女の子】 仲良くなれたと… 思ったのに…
彼女は温室の天井を見上げた なんて現実は残酷すぎるのだろう、と
【おとなしそうな女の子】 わ、私を… 知ってるんですか…?
【優しそうな女の子】 ええ! だって、ほぼ毎日 ここに来てくれていますよね?
【おとなしそうな女の子】 み、見てたんです…か…?
【優しそうな女の子】 ふふっ …何度か声をかけようかと 思ったこともあるのですが
【優しそうな女の子】 植物とお話しているあなたは とても邪魔できる雰囲気ではなくて…
【おとなしそうな女の子】 …変、です…よね、やっぱり…
【優しそうな女の子】 いいえ、とても素敵だと思います
【おとなしそうな女の子】 へ…?
【優しそうな女の子】 あなたのように真摯に 植物と向き合う人… 私、見たことありませんから
あの人は穏やかに微笑みながら 私をまっすぐに見つめていた
【おとなしそうな女の子】 わ、私…そんな… たいしたものではありません…!
【おとなしそうな女の子】 私が植物を好きな理由は… 決して褒められるようなものでは…
【優しそうな女の子】 それでいいのではないですか? だって…
【優しそうな女の子】 誰かから褒められるために 植物を愛でているわけでは ないですよね?
【おとなしそうな女の子】 あ…う…
普段、あまり人と関わらない私は 自身を認められた恥ずかしさを ごまかすようにとにかくしゃべった
【おとなしそうな女の子】 …しょ、植物は 言葉を発しません
【おとなしそうな女の子】 なにか不満を言うでもない 毎日せっせとお世話をしても お礼を言ってくれるわけでもない…
【おとなしそうな女の子】 ですが、話しかけると、こう… 心がとても穏やかになるんです!
【おとなしそうな女の子】 そ、そんな…感じで…
急にべらべらと話し、 相手が引いてしまったのではないかと 私は不安になった
しかし、優しそうな女の子は 静かに笑ったままだった
【優しそうな女の子】 じゃあ… この温室を、好きでいてくれますか?
【おとなしそうな女の子】 好きです… 植物も、この温室も… だから…守りたかった…
【おとなしそうな女の子】 でも違う、違うんです… 私が一番守りたかったものは… そうじゃない…
【おとなしそうな女の子】 あなたもそう… 温室を守りたい理由は…
【おとなしそうな女の子】 本当に守りたいものは… 別に、ある…!
【おとなしそうな女の子】 このままでは終われない!
絶対に 終わらせてはいけない
私は立ち上がり 温室の天井を見上げ、 行動へと移した
【ヴァジュラ】 いや~! いそがしいところ悪いね! 来てもらっちゃって!
【マスター】 いえ、いつも理事長の 雑用を押し付けられてる だけなので…
【ヴァジュラ】 そっかそっか! じゃあこれも一つ雑用と思って… 相談に乗ってくれ!
【マスター】 ということは… 理事長が僕の名前を…?
【ヴァジュラ】 「生徒の悩みをなんでも解決! 困ったらマスターに相談だ!」 ってな!
【マスター】 ダメだもうイヤな予感しかしない!
【マスター】 ええと… 今回はどんな問題が?
【ヴァジュラ】 うちは体育祭で知っての通り 運動部が活発な学校だ
【ヴァジュラ】 だから…どうしても やんちゃな生徒が多いんだよ ある程度は目をつむってるんだけど…
【マスター】 問題児がいる…とか?
【ヴァジュラ】 さっすが! 察しがいいねぇ!!
【ヴァジュラ】 ラグ女イナンナシスターズ… 聞いたことはない?
【マスター】 いえ、初耳です
【ヴァジュラ】 転校してきたばかりで無理もないか とにかくこの二人が問題児なんだ
【ヴァジュラ】 まずは姉のシタ そりゃもう穏やかな性格で 一部じゃ聖母なんて言われてる
【ヴァジュラ】 だが… 裏の顔がある
【マスター】 ゴクリ…
【ヴァジュラ】 まず、会長のあたしを脅かすほどの 影の実力者でね…
【ヴァジュラ】 もしあたしとあの子が対立したら 全校生徒の半分はシタにつくだろう!
【ヴァジュラ】 でも普段は、決して驕らず威張らず… いつも女神みたいな笑顔で ニコニコしてやがる…
【ヴァジュラ】 先人は言った… 「脳ある鷹は爪を隠す」 …笑顔の裏には爪あり、だ
【ヴァジュラ】 あの子から微笑みかけられるとね… なぜか寒気がするんだよ!! あたしは!!
【マスター】 一番怖いタイプの人種だ…
【ヴァジュラ】 もう一人は妹のミトゥム これはもう絵に描いたような 猪突猛進の暴れん坊!
【ヴァジュラ】 正直手に負えない! とにかく本能のまま あっちこっち引っかき回す!
【ヴァジュラ】 あのありあまる元気を 運動部に入って 発散してくれればいいんだけど…
【マスター】 なるほど…一番面倒なタイプだ…
【マスター】 シスターズってことは… その二人仲がいいんですね?
【ヴァジュラ】 いや…
【ヴァジュラ】 むしろ、正真正銘の姉妹だ!!
【マスター】 うわぁ…
【ヴァジュラ】 しかもミトゥムはシタが大好きで シタはミトゥムを溺愛している!
【ヴァジュラ】 この姉妹が、生徒会と運動部を 目の敵にしているんだよ
【マスター】 え… それは一体どういう理由で?
【ヴァジュラ】 来年度の生徒会予算案が 気に食わないとか温室がなんとか… とにかく色々だ!
【マスター】 ずいぶんアバウトですね…
【ヴァジュラ】 色々こんがらがってるんだって… とにかくな!?
【ヴァジュラ】 ミトゥムがすさまじくうるさい!!
【ヴァジュラ】 あと、シタがなんかコワイ!!
【マスター】 うわぁ…
【ヴァジュラ】 わかってくれよ~! あの二人は敵に回すと 本気で大変なんだって!!
【ヴァジュラ】 さっきも言ったけど あたしとシタが揉めると 学園が分裂しかねない!
【ヴァジュラ】 とにかく… もろもろ穏便に済ませたいわけよ…
【マスター】 わ、わかりました… とにかく二人に会ってみないと
【ヴァジュラ】 ああ、それならミトゥムからだな
【ヴァジュラ】 シタは、分別のある人間だ
【ヴァジュラ】 今だって生徒会の批判はしても なにか際立って 特別妨害したりするわけじゃない
【ヴァジュラ】 だけどミトゥムは… 今回はもう暴れ過ぎというか なんというか…
【???】 ヴァジュラ! 会長は! いるか!!
生徒会の引き戸が 砕け散らん勢いで開いた
【マスター】 な、なにごと!?
【ヴァジュラ】 噂をすれば… 奴さんのご登場だよ…
【ミトゥム】 会長!いたーーーー!! やっと会えたぞ!
【ミトゥム】 今日という今日は ぜっっったい 話聞いてもらうからな!!
でかい とにかくでかい
声が…
小さい体には似合わない大声が 生徒会室にガンガンと 響き渡る
【マスター】 これは、その… なんというか…
【ヴァジュラ】 ああ、モンスターだよ…
【ミトゥム】 聞いてんのか会長! いいか、まずは予算だ予算! なんだよあれ、おかしいだろ!
【ミトゥム】 なんで運動部だけあんな…
【ミトゥム】 ふが! ふがふが!?
突如ミトゥムの口が 背後から抑えられる!
そしてミトゥムの顔の横から… 穏やかな笑顔がのぞく
【マスター】 あんなに穏やかな笑顔なのに…
【マスター】 なんという殺気!?
【シタ】 ミトゥムちゃん? 生徒会室への殴り込みは禁止… 昨日約束しましたね?
【ミトゥム】 ふふが! ふふんが!!
【シタ】 執務中失礼しました、ヴァジュラ なにか問題はありませんでしたか? …ありませんでしたよね?
【ヴァジュラ】 ない!ないです! 全然なかったです! むしろ未然に防がれた!
【ヴァジュラ】 な!? マスター! 今日も生徒会は平常運転だよな!?
【マスター】 痛い痛い痛い! 肩叩き過ぎなんだけど!?
【シタ】 それはよかった♪ はい、ミトゥムちゃん… 行きますよ?
口を抑えられたまま ミトゥムがシタに 引きづられていく…
【マスター】 あれが… イナンナシスターズ?
【ヴァジュラ】 ああ、その通り… 怖かっただろ!?
【マスター】 シタにビビりすぎでは!?
【マスター】 とにかく、顔はわかりましたから 話を聞い…ん!?
イナンナシスターズが向かった ほうから黒い霧が流れてくる!
【マスター】 早速、二人に話を聞いてみます!
マスターは生徒会室を飛び出して イナンナシスターズを追う
【マスター】 ミトゥムの体から… 黒い霧が!?
【ミトゥム】 なんでだよ…姉ちゃん!
【ミトゥム】 あいつらは…ガツンと 言ってやらないと わかんねぇんだよ!
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