6007011 限定クエスト ファンキル学園(学園編)(ファントムオブスクール) ファンキル学園2月ストーリークエスト ストーリークエスト「優しき剣士とバレンタイン」 1 - 第1話「不器用姉妹」 2月学園ストーリー1話 学園2月 第1話-1
【マサムネ】 …立て
【マサムネ】 立てムラマサァァ!!
【ムラマサ】 あね…うえ…
【マサムネ】 そなたの剣はその程度か…
【マサムネ】 そんな剣しか 振るえぬのか!!!
どうしてだろう なぜなんだろう
追いかけても 追いかけても
姉上の背中に触れられない 届きさえしない
そんな情けない私を 姉上は厳しく叱る
ああ、いつからだろう こんなふうになってしまったのは
いつからだろう
姉上が、 私を認めてくれなくなったのは
【マサムネ】 ムラマサ…? さっきからどうしたのだ ずっと道場の出口をうろうろして
【ムラマサ】 お、おねえちゃん!
少女は とっさに持っていたものを 後ろ手に隠した
【マサムネ】 む…? 今、なにを隠したのだ?
【ムラマサ】 なんでもないのっ!
【ムラマサ】 わ、わぁぁ!!
少女の姉は、 妹である少女の うしろに素早く回り込んでいた
少女が固く握りしめていたのは 不格好な竹刀入れだった
【マサムネ】 これは… ムラマサが作ったのか?
少女はうつむく とても恥ずかしいようだ
【ムラマサ】 おねえちゃんのしない入れ… ぼろぼろになってたから…
【ムラマサ】 あたらしいの…あげたくて… でも、ぜんぜんじょうずに できなくて…
少女の姉は、不格好な竹刀入れを 大事そうに手に取り まじまじと眺めた
【マサムネ】 ありがとう… 大変だっただろう よく頑張ってくれた
そういって、 彼女は妹の頭を 愛おしそうになでた
【マサムネ】 大事に使わせてもらう これは本当に見事な出来だ お前は拙者の自慢の妹だ…
少女の姉は 竹刀入れを本当に大事そうに うれしそうに見つめていた…
【ムラマサ】 姉上!
【マサムネ】 …先輩と呼べ ここは家ではないのだぞ
【ムラマサ】 し、失礼いたしました! あ、あの…
【ムラマサ】 これを…!
【マサムネ】 む… これは…
【ムラマサ】 先輩の竹刀入れが… かなりくたびれているように お見受けしたもので…
【ムラマサ】 よかったら新しいものをと!!
【マサムネ】 これは… ムラマサが作ったのか?
【ムラマサ】 …はい!!
私は期待していた あの時のように 笑ってくれることを
【マサムネ】 …………
【マサムネ】 この刺繍は… どういう意図で縫ったのだ?
【ムラマサ】 …へ?
【マサムネ】 意図はない、のだな
姉上の冷たい目には 静かな怒りが燃えていた
ああ、失敗したんだと 私は悟った
【マサムネ】 …ムラマサ
【ムラマサ】 は、はい!!
【マサムネ】 道場に来い…
【マサムネ】 貴様の性根… 叩き直してくれる!!!
突き返された竹刀入れを握って
私は怒りに震える 姉上の美しい黒髪を ぼーっと見つめていた
どうしてうまくいかないのだろう
どうして うまくいかなくなって しまったのだろう
「こないだみたいな感じで うちの生徒の頼みを 聞いてやってほしい」
ラグ女こと ラグナロク女学園の 生徒会長であるヴァジュラ
彼女から呼び出されて またもラグ女にやってきた マスターだったが…
【真面目そうな少女】 姉上…! もう一本お願いします!
【マサムネ】 学校で姉と呼ぶことは許さん 何度言ったらわかる
【真面目そうな少女】 失礼いたしました… マサムネ先輩! どうか、もう一本…
【マサムネ】 竹刀を収めよ 客人が参った
【マサムネ】 主君、よくぞ来てくれた こたびはご足労いただき痛み入る
【マスター】 あっと… 依頼ってのは マサムネ…なのかな?
【マサムネ】 その通り 今回ヴァジュラ会長を通じて 主君にお願いをした次第
【マサムネ】 単刀直入に申し上げると 拙者とこやつの果し合いの 立会人になっていただきたいのだ
【マスター】 は、果し合い!?
【マサムネ】 案ずるな、真剣は使わぬ この竹刀を用いて行う
【マスター】 試合…って解釈でいいよね…?
【マサムネ】 いいや、果し合いだ ムラマサの進退を賭けた 勝負ゆえな
【マスター】 賭け… え、その子が… どうなっちゃうの!?
【マサムネ】 失礼…
【マサムネ】 主君が ムラマサとまみえたのは 初めてだったか
【マサムネ】 こやつはムラマサ 剣道部の後輩であり 不本意ながら我が愚妹でもある
【ムラマサ】 ムラマサと申します! 主君のお話はかねがね… 姉う…先輩から伺っております!
【ムラマサ】 以後、どうかお見知りおきを!
【マスター】 はじめまして、よろしくね… 君も主君って呼ぶんだね…?
【マサムネ】 気に障るようなら 遠慮なく言ってやってくれ 生意気な口を叩くなとな
【マスター】 いや、いいよ!全然! むしろすごく丁寧だと思うよ!
【マスター】 ずいぶん、妹には辛辣なんだな…
【マスター】 ごめん、それで進退っていうのは…?
【マサムネ】 果し合いで拙者に負ければ ムラマサは剣道部から破門する
【マスター】 えええ!?
【マサムネ】 拙者から一本でも取れれば 破門は保留にする
【マスター】 えっと… 立会人を引き受けるのは いいんだけど…
【マスター】 なんでそんなことになってるのかを 教えてもらえるかな…?
【ムラマサ】 マサムネ先輩…
【ムラマサ】 先輩が拙者の剣に対する態度に ご立腹なさっているのは 理解しております!
【ムラマサ】 ままごとに興じていたことは 心より反省しておりますし…
【ムラマサ】 他に足りないことがあるならば ご指摘いただければすぐに 改めますゆえ…
【マサムネ】 …自ら思い至らないのであれば それはそなたの未熟さ 拙者から申すことはない
【マサムネ】 さぁ、この道場から出て行け
【ムラマサ】 …………
【ムラマサ】 …かしこまりました
【マスター】 ム、ムラマサ!
とぼとぼと校内を歩くムラマサを 追いかけるマスター
竹刀を強く握りしめ うつむくムラマサ その後姿からは無念がにじみ出て…
【マスター】 …って!! 本当に黒い霧が出てきてる…!
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