6007041 限定クエスト ファンキル学園(学園編)(ファントムオブスクール) ファンキル学園2月ストーリークエスト ストーリークエスト「優しき剣士とバレンタイン」 4 - 第4話「砕ける甘い気持ち」 2月学園ストーリー4話 学園2月 第4話-1
放課後――
ムラマサは 緊張の面持ちで マスターを見つめていた
チョコ作り修行の成果が 今まさにマスターの口へと 吸い込まれていった…
【マスター】 うん…
【マスター】 すごいよ… すごくおいしい!
【ムラマサ】 本当…ですか?
【マスター】 うん!もちろん!
【マスター】 こんな短時間でマスターするなんて… やっぱり元々の才能があったんだね
【ムラマサ】 いえいえ、持ち上げすぎです…
【ムラマサ】 とはいえ合格点が いただけて良かったです!
【ムラマサ】 ただ、八咫鏡さんが 拙者に伝えたい真意はまだ見えず…
【マスター】 八咫鏡… ただチョコを作りたかっただけ… なんてことないよね…?
【ムラマサ】 それは、あると思います
【マスター】 えええええ!? ダメじゃないかそれ!
【ムラマサ】 でも、そこにきちんと意味を 与えられる方なんです 付き合いが長いのでわかります
【マスター】 そう、なんだ… おちゃらけてるようにしか 見えないんだけど…
【マサムネ】 …剣の鍛錬に 勤しんでいるかと思えば…
【マスター】 マサムネ!?
【ムラマサ】 マサムネ…先輩…
【マサムネ】 そなたの声が聞えたので 覗いてみれば…!
【マサムネ】 よもや…鍛錬の息抜きなどとは 言わせんぞ…ムラマサ!
【マスター】 ストップ! マサムネ、冷静に!
【ムラマサ】 これは…鍛錬なのです! 八咫鏡さんに命じられた…!
【マサムネ】 八咫鏡殿…だと…?
【マスター】 顔色が変わった…?
【マサムネ】 なるほどな… 八咫鏡殿に師事すれば…
【マサムネ】 拙者の弱点でも知れると思ったか このうつけめ!!
【ムラマサ】 まさか… そのような卑劣な手段… 拙者が選ぼうはずがありません!!
【ムラマサ】 純粋に…純粋に剣の腕を磨こうと…! 姉上を破ったという技の片鱗に 触れたいと…!!
【マサムネ】 …して その片鱗とやらは見えたのか
【ムラマサ】 その、それは…
【マサムネ】 …………
マサムネは無言で 調理台の上に残っていた チョコレートに目をやった
【マスター】 マサ…ムネ?
【マサムネ】 チョコ作りになんの意味があるのか… そなたの答えは出ているのか
【ムラマサ】 いえ…まだ…
【マサムネ】 こんなものはままごとだ
【マサムネ】 器用にできることになんの意味がある
【マサムネ】 美しく飾ることになんの意味がある
【マサムネ】 ムラマサよ お主はどうしたいのだ
【ムラマサ】 わ、わたし、は… 私は…
【ムラマサ】 姉上に…認められたくて… その一心で…
【マサムネ】 拙者に…どうやって認められる気だ? どうすれば拙者が お主を認めると思う?
一瞬だった マサムネは無の構えから ムラマサに打ち込んだ…!
【マサムネ】 せぇぇぇぇい!!
鋭い逆胴が… ムラマサのあばらを 粉砕せぬ勢いで打ち込まれた…
ように、見えた しかし…
ムラマサは咄嗟に ホイッパーの柄で マサムネの竹刀を受け止めていた
【マサムネ】 寸止めしようと思ったゆえ、 勢いを殺したが… お主、今の太刀筋が見えたのか?
【ムラマサ】 チョコを混ぜる円の動き…
【ムラマサ】 …八咫鏡さんの教えと… 修行の成果です…
【マサムネ】 …ほぅ?
一瞬、マサムネの口角が 上がったような気がした
【マサムネ】 …だがお前の剣は 私を捉えることはできない
【マサムネ】 お前の剣が 私に見切れないはずがないのだ この意味がわかるか?
【マサムネ】 己の剣が見えないお前に 決して私は越えられない
【マサムネ】 この一撃を止めた程度では なにも変わりはしない
【マサムネ】 まだ、ままごとだ… なにもかも…
それはマサムネ、 心からの宣告だった
【マサムネ】 …気が変わったぞ
【マサムネ】 一度でも拙者を破った 八咫鏡殿に師事しているのだ 拙者から一本も奪えぬ道理はない
【マサムネ】 ならば部活の破門程度では ぬるすぎるというもの
【マサムネ】 拙者に負けた暁には 剣を捨てろ
【マサムネ】 二度と竹刀を握ることは許さん
【マスター】 マサムネ!! それはあんまりだ…いくらなんでも!
【マスター】 妹なんだよな…? 成長を望むのはわかるけど…
【マスター】 もう少しアドバイスしたり 手を取り合ったり… できないのか!?
【マサムネ】 主君…拙者は武芸者 こやつも、そうあろうとする者
【マサムネ】 わかってほしいとはいわんが… 譲れぬもの、許せぬものがある
マサムネは 迷いのない背中を 二人に向けた
調理室の入り口で マスターにだけ目礼をし…
そのまま、立ち去った
【マスター】 ムラマサ…?
【ムラマサ】 う…
【ムラマサ】 ううぅ…!!!
涙を堪えながら、 調理室から走り去るムラマサ
その後ろ姿からは とめどなく黒い霧が ムラマサから溢れ出ていた…
【マスター】 待って、ムラマサ!
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