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青空が広がる昼間の町、 マスターは買い出しを兼ねて 町中を散歩していると――
【???】 あら、こちらの食べ物 そんなに珍しい品なの? どんな味がするのかしら
【???】 え、こんなに安くしていただけるの? そうね、それなら買わない方が損よね 全ていただくわ
マスターは会話が気になり、 店を覗いてみると、大量の食べ物を 手に持った美しい女性を見つける
【???】 あら、何か私にご用かしら ……え、私が騙されているって? そんなことはないわよ
【???】 ……ああ、完全に理解したわ あなたもこれが欲しかったのね いいわよ、分けてあげましょう
【パンドラ】 名乗るのが遅れてしまったわね 私はパンドラよ、よろしくね
結局、彼女のマイペースさに流され 一緒に近くの草原で 昼食をとることになったマスター
上品でどこかミステリアスな彼女は、 どうやら、この世界のことを あまり詳しく知らないらしい
【パンドラ】 いいのよ、気にしないで 私があげるって言ったのだから
【パンドラ】 それに、あなたと出会えたおかげで、 こんな素敵な場所で食事ができるもの 終わりよければすべてよし
【パンドラ】 ……でも、少し食べ過ぎたわね 何だか眠くなってきちゃったわ
いい天気だし、 寝転がったら風が気持ちいいよ と、マスターは草原で仰向けになる
【パンドラ】 まあ、それは素敵ね 草原で横になるなんて初めてだわ なんだか悪いことをしている気分
【パンドラ】 …いいわね、これが普通なのかしら
【パンドラ】 穏やかな時間を過ごしていると、 あの頃、赤い空の下にいた時間が 夢だったみたい…
【パンドラ】 ……空って、青いのよね 私の知る空は赤かったもの 本当に、まだ知らないことばかり
【パンドラ】 私、この世界のことを もっと知りたいと思うの きっと素敵な世界なのでしょうね
【パンドラ】 あなたがそう教えてくれたから 大丈夫、この先何があっても どうにかなるでしょう
そう呟いてこちらを見つめる パンドラの表情には、曇りのない 美しい微笑みが浮かんでいた
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