780110123 限定クエスト タガタメコラボ 喪失の月を照らして 喪失の月を照らして ストーリークエスト 3 - EP2 喪失の月を照らして 2話 喪失の月を照らして 2話 戦闘後
【アハト】 “ソード”
【アハト】 くっ! それなら…
【イージス】 ちょっと待ったあああ!
そう叫びながら魔物の前に 立ちはだかったのは 巨大な盾を持ったイージス
【アハト】 イージス、それは魔物ですよ?
【イージス】 違うの、カオちゃんは… このカオスリーパーは 私の仲間だから!
【アハト】 魔物なのに?
【イージス】 魔物だとしても私の相棒だ 独りでいつ来るかもわからない 仲間を待っていた時からの
【アハト】 怖くないんですか?
【イージス】 怖くないだろ! 愛嬌があるだろ!
カオちゃんと呼ばれた異形は イージスの後ろで 不思議そうに首を傾けている
【アハト】 ……まあいいです あなたが倒すなという相手を 倒す必要もありません
【イージス】 カオちゃんは一度死んだ
【アハト】 え?
【イージス】 貴様はきっと独りになったんだろう そんな相手に何を言うべきか 私にはわからない
【イージス】 貴様の世界が別の世界なら 別の世界には別の世界の 理があるんじゃないか?
【イージス】 その理の中でカオちゃんのように 生き返らせることができる 人がいるかもしれない
【アハト】 何が言いたいんですか?
【イージス】 諦めるな、と言いたい
【アハト】 アナタに私の 何がわかるんですか?
【イージス】 …貴様は昔の私に似ているから
【アハト】 とんだお節介ですね
【イージス】 とりあえず部屋に戻ろう 貴様の力はカオちゃんを 怯えさせているようだ
【アハト】 なるほど…わかりました
出ていった時と同じように アハトはゆっくりと扉を開け 静かに部屋に入っていく
【イージス】 なあ、カオちゃん カオちゃんも私がお節介だと思うか?
カオスリーパーは 賛同とも否定とも取れない 曖昧な角度で首を傾げる
【イージス】 私にはみんなを待つ間、 カオちゃんが一緒にいてくれた
【イージス】 独りで歩みを止めずにいられるほど 強い人なんてそんなにいないよな
イージスは一人掛けの椅子に 腰掛けるアハトの前で 右往左往していた
【アハト】 なんなんですか、アナタは…
【イージス】 なんなんでしょう…
【アハト】 変な人ですね、本当に 言いたいことがあるなら 言ってください
【イージス】 そ、そうか? でも、何から言えばいいのか こんな場合の台本の用意がなくて…
【アハト】 はあ… 一つ聞きます
【アハト】 アナタの仲間の コマンドキラーズは 亡くなっているんですか?
【イージス】 いや、生きている
【アハト】 …… なんなんですか、本当に それなら…
【イージス】 この世界には終焉が近づいている
【アハト】 どういうことですか?
【イージス】 そのままの意味だ この世界の限界は近いんだ
【イージス】 コマンドキラーズは 世界を支えし大いなる世界樹の神徒 その終焉を防ごうとしている
【イージス】 全てのキル姫とバイブスを ユグドラシルの元に還し 力を取り戻させることでな
【アハト】 それは…アナタも? あのふたり、ルーンや フラガラッハも?
【イージス】 ああ、自分達も ユグドラシルの元へ還す そうして、この世界を永らえさせる
【イージス】 それが使命 ユグドラシルを、世界を 終わらせないための唯一の手段だから
【アハト】 それだと、アナタが… あの二人を還すということ?
【イージス】 ああ、旅の行きずりで仲良くなって 私のやるべきことを善意で 手伝ってくれている二人をな
【アハト】 コマンドキラーズの人たちが… いえ、アナタが、いつか二人を 還そうとすると知っているのですか?
【イージス】 いや… だが、時が来たら私は そうすることになるだろう
【アハト】 悪者ですね
【イージス】 誰にも理解されないかもしれない でも世界を救う唯一の方法と信じて 彼女達は進むと思う
【アハト】 それでいいんですか?
【イージス】 何もかもがなかったことに なるくらいなら、 一部でも残すために悪者になる
【イージス】 それが最善かはわからない でも信じてる 彼女達は最善の道を行くと
【アハト】 あなたの最善の道は?
【イージス】 今は境界を守る。世界のために
【アハト】 それで一緒に死ぬと?
【イージス】 いいや、場合によっては 彼女達を止める… かもしれない
【イージス】 そうはしなければならない事態に ならないとは思っているけど
【イージス】 例えどんなに手を汚したとしても 彼女達は別の最善手にたどり着けると
【アハト】 そうですか… 信じているんですね
【イージス】 そう信じられるのは まだ私が誰も喪っては いないからかもしれないが
【イージス】 ねえ、アハト これ、大切なものなんでしょ?
イージスは盾の裏側から アハトの落とした紙束を取り出し 彼女に手渡した
【アハト】 仲間が私に 残してくれたものです
【イージス】 ルーンとフラガラッハが 拾い集めてくれた
【アハト】 そうですか…
【イージス】 それで貴様の仲間は みんな死んだのか?
【アハト】 騙したところで 意味はないので言いますが、 生きていると言っては嘘になります
【アハト】 こういう言い方も仲間が死んだと ただ信じたくないだけの 方便なのかもしれませんが…
【イージス】 じゃあ、私も返すわ それでいいの?
【イージス】 かつて私ひとりが犠牲になって 仲間を助けようとした時に こう怒られたわ
【イージス】 「助かる可能性は残されていたのに、 それを自ら手放すなんて、 許せません」って
【イージス】 あなたは自ら手放すの?
【アハト】 …… それが諦めるな ということですか
そこにドンッと 勢いよく開かれる扉の音が響く
【フラガラッハ】 イージス! やはり裂け目がありました!
【フラガラッハ】 ルーンが対処してますが 少し数が多すぎますわ!
【イージス】 わかった
【イージス】 アハト、すまない 私達は行ってくる
【アハト】 ……
【フラガラッハ】 イージス、急ぎましょう!
まだイージスは 何かを言いたそうだったが すぐに踵を返した
駆けていく二人の後ろ姿 消え去る物音と人の気配
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