820201 天上編 第8章 王都決戦 第2話 王の都 バトル開始前の会話
【デュリン】 …どう?
【ティルフィング】 ひとまず… なんとか、切り抜けたみたい
【リベリオン】 まったく、たいしたもんだな… あの乱闘で、 一人として殺めちゃいないだろう?
【ティルフィング】 気を失わせているだけです …彼女達も仲間ですから
【リベリオン】 仲間か…。やれやれ… 命を狙って来てる相手だってのに…
【リベリオン】 その慈悲深さ、 さすがはエイレーネの娘だな
【ティルフィング】 え…? い、いえ…
【エドガー】 とはいえ、ここは向こうの本拠地… 気を抜かないほうがいい
【エドガー】 …ディーン、 君の隊も負傷者はなしかい?
【ディーン】 クソッ… なんなんだよ、この状況は…?
【エドガー】 え…?
【ディーン】 ずっと夢見てた王都だってのに…
【ディーン】 まさか教会に背き、 キラープリンセスに追われる立場に なるなんてよ…
【ディーン】 ヘッ… マスターとしての未来も これでパァだ…笑っちまうぜ
【デュリン】 …ディーン
【リベリオン】 なに… そんなに、たいしたもんじゃねぇよ
【ディーン】 …あ?
【リベリオン】 そもそもラグナロク教会は、 キラープリンセスを 育成するためだけに創設した組織だ
【リベリオン】 そうまでして 嘆くほどの価値はないさ
【ディーン】 …なに言ってんだ、お前? よそ者になにが わかるって言うんだよ?
【ティルフィング】 ディーンくん…!
【リベリオン】 よそ者か… まぁ、今のお前らにしてみりゃあ、 そうなるんだろうな
【ティルフィング】 え…?
【リベリオン】 そう言う意味でいうなら、 嘆きたいのはむしろこっちだぜ
【リベリオン】 なんでこの俺が、 キラープリンセスや教会に 追われなけりゃならないんだよ
【リベリオン】 …ったく、少しは敬えってんだ
【デュリン】 敬う…? どうして、アンタを…?
【リベリオン】 どうしてって… 普通、創設者ってのは 敬意を払われるもんだろう?
【ディーン】 …は?
【リベリオン】 ラグナロク教会は、 俺が創設したんだよ…
【リベリオン】 …ある程度、想定はしていたが こうも敵視されると、 さすがに泣けてくるぜ
【一同】 はい…!?
【デュリン】 ちょ、ちょっと待って…!? アンタ、いったいなんの話を してるのよ!?
【エドガー】 …! マズい…来たぞ、 キラープリンセス達が…!
【リベリオン】 チッ、おちおち話もしてられねぇ… 行くぞ
【ディーン】 お、おい! ちょっと待て…なぁ!
【ティルフィング】 リベリオンさんが… ラグナロク教会の創設者…!?
【レン】 へぇ… 王都にもこんな路地があるんだ…
【ノーブル】 うむ。この裏道ならば、 極力人目につかず大聖堂まで近付ける 王都の道ならば、私に任せてくれ
【リベリオン】 頼むぜ 俺には一刻の猶予もないんだ
【ティルフィング】 それより…。さっきの ラグナロク教会を創設したという話、 あれは本当なんですか?
【リベリオン】 …言っただろう、 ずいぶん前にここへ訪れていると
【リベリオン】 その時、フレンネルとともに ラグナロク教会の基礎を作ったんだ
【デュリン】 フレンネルって… フレンネル大公の ご先祖ってこと…!?
【ノーブル】 彼の話はおそらく真実だ 大公からも同様の話を伺っておる
【リベリオン】 まったく… 時の流れってのは、 つくづく恐ろしいもんだな
【リベリオン】 どれだけ綿密に計画を立てて 組織を作っても、想像もつかない形に 変貌を遂げちまう…やれやれだぜ
【ディーン】 …マジかよ
【デュリン】 いったい、なんなのアンタ…?
【デュリン】 得体の知れない悪魔かと思えば、 アタシ達が属する組織の 創設者だっていうの…?
【リベリオン】 他人事みたいに話してるけどな… お前もいちおう、その場にいたんだぞ
【デュリン】 は…?
【リベリオン】 この世界へ来て、 記憶を失った状況だったけどな…
【リベリオン】 そもそも、俺がこの世界へ来ることに なったのは…お前の発案した計画が 元になってるんだぜ?
【デュリン】 は…!? アタシが…!? なに、バカなことを言ってんのよ!?
【リベリオン】 事実を伝えてるんだよ
【リベリオン】 言ってしまえばこの天上世界に 存在するラグナロク教会は、
【リベリオン】 お前の計画を遂行するために 設立したものなんだ
【ティルフィング】 デュリンの計画のために…!?
【デュリン】 ちょちょ、ちょっと待って!! …はぁ!? それって、どういうこと!?
【リベリオン】 今のお前に言っても、 信じてはもらえないかも しれないけどな…
【リベリオン】 こっちの世界じゃ、 お前は腕利きの科学者… 俺達の組織の幹部なんだよ
【デュリン】 か…科学…者!?
【ディーン】 組織ってなんだよ…?
【リベリオン】 “特務機関ラグナロク”
【リベリオン】 …地上にはびこる悪魔に 対抗するために設立された、 特殊軍事組織だ
【ティルフィング】 な…!?
【ティルフィング】 “特務機関ラグナロク”…!?
【リベリオン】 ああ
【リベリオン】 “ラグナロク教会”もそうだが、 とあるキラープリンセスにあやかって 名前をつけたんだ
【ティルフィング】 …先ほどおっしゃられていた、 悪魔に対抗するためって、 それはどういう意味ですか?
【リベリオン】 比喩じゃない、その言葉の通りだ
【リベリオン】 俺達が暮らす地上世界は、 本物の悪魔によって 蹂躙されているんだよ
【リベリオン】 …この世界が、 神々に虐げられているようにな
【ティルフィング】 …!
【リベリオン】 その悪魔の支配に対抗し、 人々が生き抜いてゆくためには キラープリンセスの力が不可欠なんだ
【リベリオン】 だが、彼女らを育成しようにも キラーズを宿した“神器”は、
【リベリオン】 この天上世界へ 召し上げられてしまっていたんだ
【ティルフィング】 “神器”…! この世界で祀られている、 あの“神器”ですか…!?
【リベリオン】 そうだ お前達キラープリンセスの 礎となっている、あの“神器”だ
【ディーン】 それを取り戻すために この世界へ来たってことなのか…?
【リベリオン】 いや、それは容易なことじゃない なにより俺達の世界は、 常に危険に晒されている…
【リベリオン】 のんびりキラープリンセスを 育成できるような状況にないんだ
【デュリン】 …! けれど…別の世界であれば、 その猶予が生まれる…?
【リベリオン】 そう、お前のその思い付きから、 全てが始まったんだ
【リベリオン】 “神器”を取り戻すことが困難なら、 逆に“神器”が存在するこの世界に 彼女らを送り込み、
【リベリオン】 悪魔に対抗しうる キラープリンセスを育成しようと… それが…お前が、打ち立てた計画だ
【デュリン】 !!
【エドガー】 …つまり、ラグナロク教会は 送り込んだキラープリンセス達の 受け皿として、創設された?
【リベリオン】 ああ。そもそもキラープリンセス達が 記憶を失ってさえいなければ そんな組織は必要無かったんだがな…
【リベリオン】 自分達の出自も 課された使命も忘れ、
【リベリオン】 てんでバラバラに 行動するキラープリンセス達を 取りまとめる必要があったんだよ
【ディーン】 それがこの、ラグナ大陸の人々が信じ 俺達が属している 教会の真の姿だっていうのか…?
【リベリオン】 教会と銘打ったのは、 神々と組した王政府に目を つけられぬため。それだけのことだ
【リベリオン】 キラープリンセスの保護・育成を 目的に設立した組織… それがラグナロク教会の真の姿なんだ
【ティルフィング】 !!
【デュリン】 ラグナロク教会の設立も… そもそも、キラープリンセスを この世界に送り込んだのも…
【デュリン】 このアタシ…!? …ダメ!!全っ然、整理できない!!
【???】 …その者の言葉は、 世を混沌へといざなう お前も、理解できたのではないか?
【ティルフィング】 !? 伏せて!!!
【ラース】 フン…
【ティルフィング】 マサムネ…!
【黒奏官】 もっとも… 今さら気付いたところで、 後の祭りというものだがな
【ディーン】 王都の部隊も…! ヤベェ…この狭い路地じゃ、 逃げ場を失うぞ!?
【ノーブル】 こっちだ…! 表通りへと抜ける路地が… 早く!!
【ティルフィング】 クッ…!
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