901050001 地上編 1章 大樹を目指して 第5話 夢の国
『夢の国』に連行された人々を 助け出すため、ゼロ一行は 魔獣の痕跡を追った
そして一軒の建物に辿り着く
建物内に潜入したゼロ一行は、 二階大広間で異様な光景を目にした
【ゼロ】 なんだ、ここは…?
【ヴァリン】 連れてきた人達を なにかの繭にくるんで、 ここで眠らせているみたいね
【ティルフィング】 イヤな感じがします… とてもおぞましい気配が…
【アルン】 !? …あれを見て下さいっ
【アルン】 天井から繭に向けて 細い管が伸びてきました あれは一体…
【ベルフェゴール】 あれはねぇ、 人間の“意思”を吸い取る管よぉ
【ベルフェゴール】 美味しい“意思”を チュウチュウ吸うのぉ
【ゼロ】 ベルフェゴール!? 貴様、いつの間にっ…
【ベルフェゴール】 うふふふふ 小ネズミが入り込んだと思ったら、 木偶(でく)どもだったのねぇ
【ベルフェゴール】 ようこそ私の研究所へ この間はゆっくり お話しできなかったから、嬉しいわぁ
【ヴァリン】 人間の“意思”を吸うって、 どういうことよ!?
【ベルフェゴール】 言葉通りの意味よぉ 人間の脳みそに管を挿してぇ、 美味しいところを吸って、味わうのぉ
【ヴァリン】 なんですって… なんのためにそんな残虐なことを…!
【ベルフェゴール】 だって、人間の“意思”って 複雑な味わいで とっても美味なんですものぉ
【ベルフェゴール】 こんな美味しいものを 無駄にしてる人間の代わりに 私達が美味しく吸ってあげてるのよぉ
【ヴァリン】 無駄にしてる? そんなわけないわ!
【ヴァリン】 “意思”は 人間にとって大切なものよ!
【ベルフェゴール】 あらぁ、そうかしら? 私、長いこと人間を 観察していたことがあるのだけど…
【ベルフェゴール】 人間は堕落したがる生き物よぉ
【ベルフェゴール】 自分の“意思”なんて持たず なにかに流されたがる、 お馬鹿な生き物
【ベルフェゴール】 そんな不完全な存在に、 “意思”を与えても 勿体ないだけよねぇ
【ゼロ】 黙れ、クソ悪魔 お前を叩き斬って、 こいつらを解放する!
【ベルフェゴール】 木偶(でく)は 頭が空っぽみたいねぇ
【ベルフェゴール】 それじゃ、 自分の目で確かめてみる? 特別に一人、解放してあげるわぁ
【男】 ううっ…俺は…? ここは、どこだ…?
【ヴァリン】 ちょっと、しっかりしなさい! アンタは今まで悪魔に捕まって “意思”を吸い取られていたのよ!
【男】 悪魔に捕まって…? ここは…ここは現実なのかっ…?
【ヴァリン】 そうよ! もう大丈夫だから、しっかり立って…
【男】 なんてことしてくれたんだ! せっかく『夢の国』で 幸せに暮らしていたのにっ…
【ヴァリン】 正気に戻りなさい! アンタはただ夢を 見ていただけなのよっ
【男】 だったらなんだ! …もう辛いだけの現実なんていらない“意思”が欲しいならくれてやる
【男】 俺はこのまま 『夢の国』で過ごすんだ 放っておいてくれ…
【ヴァリン】 …そんなっ
【ベルフェゴール】 アハハハハ! ほぉら、ご覧なさい
【ベルフェゴール】 人間は元来、怠惰な生き物なのよ お馬鹿なお嬢さん
【ヴァリン】 …………
【ゼロ】 ヴァリン!騙されるな!
【ゼロ】 さっきの奴は “意思”を吸い取られてるせいで あんなことを言っただけだ!
【ゼロ】 ベルフェゴール! 人間を怠惰にしているのは、 お前自身だろうが!
【ベルフェゴール】 うるさい木偶(でく)ねえ そろそろ消えてもらおうかしらぁ
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