902010002 地上編 2章 怠惰は意思を飲み込むのか? 第1話 畏怖の矛先 終了後
【アルン】 ここなら雨が降ってきても大丈夫です 今夜はここに泊まりましょう
【ヴァリン】 やっと荷物を下ろせるわ…
【ヴァリン】 ちょっと! ダグダとアスカはどこに行ったのよ?
【ティルフィング】 大丈夫です、ヴァリン 二人は外でなにか話してるだけですよ
【アスカ】 おじさん! さっきは助けに来てくれて、 ありがとう
【アスカ】 おじさんは優しい人なんだね …怖がったりして、ごめんなさい
【ダグダ】 構わんよ。この図体だから仕方ない ところで、アスカ これは君の物だろう?
【アスカ】 お母さんの髪飾り!? 良かった…拾ってくれてたんだね
【アスカ】 ありがとう、おじさん …これ、お母さんの形見なんだ
【ダグダ】 そうか もう落とさないよう、 しっかり持ってなさい
【アスカ】 うん!
【アスカ】 …ねえ、おじさん おじさんは本当はなんて名前なの?
【アスカ】 ダグダっていうのは 本当の名前じゃないんでしょ?
【ダグダ】 ああ…。すまない、アスカ 本名は忘れてしまったんだ
【ダグダ】 キラーメイル手術の 後遺症みたいなものでな
【ダグダ】 だから、俺のことは ダグダと呼んでくれ
【アスカ】 あ! ごめんなさいっ…
【ダグダ】 いいんだ まだ覚えていることもある
【ダグダ】 大切な、家族の思い出が… 俺にも君くらいの娘がいてね
【アスカ】 そうなんだ! じゃあ、いつか紹介してねっ わたし、友達になりたいっ
【ダグダ】 …ああ。いつか、な
【ヴァリン】 …………
【アルン】 アスカはすっかり ダグダに懐いたようですね
【アルン】 …ダグダのご家族は、 今、ラグナロクにいるんですか?
【ヴァリン】 …死んだわ 奥さんも娘さんも魔獣に襲われて
【ヴァリン】 ダグダ自身も死にかけてたところを、 ゼロに助けられたの
【アルン】 えっ…? それじゃあ…
【ヴァリン】 ダグダの体内には、 家族を殺した魔獣の血肉が 埋められてる
【ヴァリン】 彼自身がそう望んだのよ 魔獣への恨みを忘れないように…
【ヴァリン】 少しでも長く、 家族の記憶を留めておけるように…
【ヴァリン】 それでも徐々に人間だった頃の記憶は 失われていくの…
【ヴァリン】 ダグダはアスカを守ることで 自分を保っているのかもしれないわね
【アルン】 そんなっ…
【ヴァリン】 このこと、 絶対アスカに言うんじゃないわよ
【ヴァリン】 ダグダは、 あの子を気遣って 黙ってるんでしょうから
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