905080001 地上編 5章 嫉み渦巻く 第8話 危険な選択
【キリュウ】 マサムネ。君には本当にがっかりだ 大切なお客人を 逃がしてしまうだなんて
【キリュウ】 こういうの、なんと言ったかなあ? 『恩を仇で返す』だったかな?
【上級魔獣】 『飼イ犬ニ手ヲ噛マレル』 ジャネエカ、ボス?
【キリュウ】 飼い犬か… 確かに躾がなっていなかったようだ
【キリュウ】 それにしても、よく戻ってきたな まさか、私が 許すとでも思ったのか?
【マサムネ♂】 …キリュウさん 俺はどうなっても構いません ただ、妹だけは助けてくださいっ
【マサムネ♂】 そのために戻ってきました! あいつはここで、 今まで通り暮らさせて欲しいんです!
【キリュウの部下】 クソガキがぁっ! そんな都合の良い話が あるわけねぇだろうが!
【キリュウの部下】 ナめるのも大概にしやがれよ!
【キリュウ】 まあ、待て。美しい兄妹愛じゃないか そもそも私を完全に裏切る気なら、 お客人を連れ出すとき…
【キリュウ】 チトセちゃんも 一緒に連れて行ったはずだ
【キリュウ】 こいつはよく理解しているんだよ ここでの生活の価値というものを
【キリュウ】 マサムネ 私も君を失うのは非常に心苦しいよ
【キリュウ】 だから君の最後の願いを聞き届けよう チトセちゃんのことは 私に任せておきなさい
【マサムネ♂】 ありがとうございます それが叶うなら、 もう心残りはありません
【上級魔獣】 ヘエエ ボス、随分ト優シイコッタナア
【キリュウ】 私は寛大な男なんだよ
【キリュウ】 だから処刑の前に感動のご対面も 演出してやるんだ おい!連れてこい
【チトセ】 お兄ちゃんっ…
【マサムネ♂】 …チトセ!? キリュウさん、話が違うだろっ?
【キリュウ】 なにも違いはしない チトセちゃんに危害は加えないし、 今後のことも保障する
【キリュウ】 ただ、お兄さんの最期を 見届けられないというのは 可哀想だろう?
【キリュウ】 彼女には君の処刑を 特等席で見せてあげようと思ってね
【マサムネ♂】 き…キリュウぅぅぅっ…! なんでだ!?
【マサムネ♂】 あんた、 そんな人じゃなかっただろっ?
【マサムネ♂】 俺達を助けてくれたあんたは、 こんな酷いことするような人じゃ――
【キリュウ】 黙れ、クソガキぃっ!! そんな人じゃなかった? 知ったふうな口を利くなよ
【キリュウ】 ほんの数ヶ月、 飼ってやっただけで図に乗りやがって おい!やれ
【上級魔獣】 ヘヘヘ、任セロ ジックリ嬲リ殺シテヤルゼェ
【上級魔獣】 妹トヤラノ記憶ニ 一生残ルヨウニ惨タラシクナア
【チトセ】 イヤァッ! お兄ちゃんに 酷いことしないでぇっ…!
【アルン】 待って下さい!
【マサムネ♂】 なっ…? お前、なんで戻ってきてるんだ!?
【アルン】 キリュウさん、 マサムネを殺すのは早計ですよ
【キリュウ】 ほほう。お客人、お一人ですかな? こいつの命乞いなら、 あいにくと人数が足りませんなあ
【キリュウ】 もう一人、 ティルフィングとかいう キラープリンセスもいないと
【アルン】 ですから、 命乞いではなく提案に来ました
【アルン】 この階層社会において キリュウさんの立場を より高めるために…
【アルン】 最後まで マサムネを使うべきです!
【キリュウ】 …面白いことを言う そこのクソガキに、 どんな利用価値があると言うんだ?
【アルン】 ゼロを、人類の希望を、 殺させるんです
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