906070001 地上編 6章 妬みの海 第7話 崩壊への序曲
【キリュウの部下】 大変です!
【キリュウの部下】 下層の奴らっ、 すぐ下の階まで制圧しやがりました! 魔獣どももまるで役に立ちません!
【キリュウの部下】 ボス!逃げましょうっ…! 俺、死にたくねぇよぉっ…
【キリュウ】 …………好きにしろ 俺はここに残る
【キリュウの部下】 ボスっ? …し、失礼しやすっ
【キリュウの部下】 ギャアアアアアアアアッ……!
【キリュウ】 !?
【レヴィアタン】 覚悟も信念もない愚民は、 いつ見ても哀れだ そうは思わないか、キリュウ?
【キリュウ】 レヴィアタン様… 殺すことはなかったのでは?
【キリュウ】 あの者はただ 自分の命を惜しんだだけです
【レヴィアタン】 逃げたところで暴徒に掴まり、 リンチに遭うだけだ
【レヴィアタン】 それならば、 我の手にかかる方が 何百倍も幸せなことだろう
【キリュウ】 くっ…レヴィアタン、様っ… あなたの作り上げた階級社会は 崩壊しつつある
【キリュウ】 じきに暴徒はこの階層にも達しよう このままではあなたとて、 ただでは済むまい
【キリュウ】 ラグナロクの者達が あなたを討ち滅ぼすぞ
【レヴィアタン】 クハハハハハ! キリュウ、お前、 本気で言っているのか?
【レヴィアタン】 我があのような 卑賤の者共に敗れると?
【レヴィアタン】 そんな下らぬ妄想をする暇があったら 自分の身を案じたらどうだ?
【キリュウ】 そうだな… 俺は、ここで終わりのようだ…
【レヴィアタン】 なんだ、その悟ったような顔は?
【レヴィアタン】 心残りがあるのだろう? やせ我慢は体に良くないぞ もっと素直になれ
【キリュウ】 なんのことだ?
【レヴィアタン】 あの女のことだ 哀れだなあ、キリュウ
【レヴィアタン】 結局、本当に欲しかったものは なにも手に入れられず終わる しかも人間の手によって奪われて
【キリュウ】 …………
【レヴィアタン】 そら、見てみろ お前を殺そうと躍起になって 駆け上がってくる連中の目を
【レヴィアタン】 あれは“嫉妬”に狂った目だ
【レヴィアタン】 他人を羨み、妬み、嫉み、 陥れようとする目だ
【レヴィアタン】 素晴らしいぞ あれこそ人間の本性 我の最も好む目だ
【レヴィアタン】 “嫉妬”こそが 社会を発展させる力の源
【レヴィアタン】 思い出せ、キリュウ お前もかつてはそうだったろう?
【レヴィアタン】 全てを自分のものにしたくて ギラギラと眼を 輝かせていたではないか
【レヴィアタン】 我はそんなお前を 気に入っていたんだ
【キリュウ】 俺はっ…俺はただっ… 魔獣の脅威から皆を守ろうと…っ
【レヴィアタン】 綺麗事を並べるなよ、キリュウ そうじゃないだろう?
【レヴィアタン】 お前が欲しかったのは そんなものじゃなかっただろう? お前が欲しかったのはたった一つだ
【レヴィアタン】 だが、それは お前の手を取らなかった
【レヴィアタン】 なぜだ? なぜ、そんなことになった? 誰のせいだ?
【レヴィアタン】 分かっているはずだぞ お前はもう分かっている そうだ、奴らだ
【レヴィアタン】 地面を這いずり回る 下層民共のせいだ あいつらがお前から奪ったんだ
【キリュウ】 やめろっ… やめてくれっ…!
【レヴィアタン】 取り戻せ、キリュウ! 奪われたものを取り戻すんだ!
【レヴィアタン】 お前にはその権利がある そして力も 我が与えてやろう
【キリュウ】 なにを…言っているんだ… レヴィアタン!?
【レヴィアタン】 ククククク さあ“嫉妬”に狂え、キリュウ! 我に最高の舞台を見せてくれぇっ!!
【キリュウ】 ぐあああああアアアアアアアッ……!
【ゼロ】 レヴィアタン! さっさと出てこい! 決着をつけるぞ!
【マサムネ♂】 キリュウさん! もう終わりにしよう 大人しく出てきてくれっ
【キリュウ】 グウウウウ……
【マルガリーテ】 キリュウ! …どうしたの? なんだか、様子が…
【ティルフィング】 下がって下さい! 彼は…魔獣化していますっ
【ゼロ】 なんだと!? くそっ…やるしかねえか
【キリュウ】 ガアアアアアアアアアアアアア!!
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