906080001 地上編 6章 妬みの海 第8話 最後の言葉
【ティルフィング】
マルガリーテさん！！
【キリュウ】
ガアアアアアアあああっ…！
ハアッ…ハアッ……
【ゼロ】
なっ…？
キリュウが動きを止めた？
【ゼロ】
まさか意識を
取り戻したっていうのか？
【マルガリーテ】 お帰りなさい…
【キリュウ】
…その声、マギー…なのか？
…いや、まさかな
【マルガリーテ】 私よ！ 私…ここにいるわっ …キリュウ、ごめんなさい
【キリュウ】
ああ…そうか…夢でも嬉しいよ
また、君に会えた…
【マサムネ♂】 キリュウ… あんた、見えてないのか…？
【キリュウ】
その声はマサムネか？
どうにも暗くて判別がつかん…
【キリュウ】
俺は、もうダメのようだ
今まで堪え続けてきたんだがな
あの悪魔にとうとう誑かされた
【マルガリーテ】 キリュウ！私よ！ 夢じゃないわ！ ちゃんとあなたの側にいるっ…
【キリュウ】
なんだか温かいな…
懐かしい香りだ…
ああ、マギー
【キリュウ】
君に会ったら
伝えなきゃいけないことが
たくさんあるんだ
【ゼロ】
チッ…もう聞こえてもねぇな
【マサムネ♂】 …………
【キリュウ】
君のためにピアノを手に入れたよ
学校も作ったんだ
【キリュウ】
音楽教師の夢、
こんな世界でも必ず叶えられるって、
言っただろう？
【キリュウ】
うちの生徒達に
君のピアノを聞かせてあげてくれ
【マルガリーテ】 キリュウ…私の夢なんて、 どうでも良かったのにっ…！
【キリュウ】
ああ、分かってる
【キリュウ】
君は優しい人だから、
自分だけ上層階で暮らすことなんて
出来なかったんだ
【キリュウ】
だから、
俺の手を取ってはくれなかった…
【キリュウ】
分かっていたんだ…
分かっていたのに、
他に方法が思いつかなかったんだよ…
【マルガリーテ】 私は、みんなで 幸せになりたかったのっ…
【マルガリーテ】 あなたには、 みんなを守って欲しかった…
【キリュウ】
不思議だな…
まるで本物のマギーに
会えているようだ…
【キリュウ】
マサムネ、近くにいるんだろう？
頼みがある、最後の頼みだ
聞いてくれないか
【マサムネ♂】 キリュウ、さん…なんだよ？
【キリュウ】
悪いが、もう限界だ…
また魔獣に意識を奪われる…
その前に、殺してくれ
【マルガリーテ】 そんな！？ どうしてあなたが 死なないといけないのっ…
【キリュウ】
マサムネ…
お前にも随分酷いことをした
【キリュウ】
すまない、と
謝るのは卑怯なんだろうな
【キリュウ】
せめて、その手で
存分に恨みを晴らせ
【マサムネ♂】 …ゼロ、すまん マルガリーテをどけてくれ
【ゼロ】
…分かった
【マルガリーテ】 やめて！ 斬るなら私も一緒に斬って！ それが彼へのせめてもの償いだから！
【ゼロ】
悪いな…
【マサムネ♂】 キリュウさん あんたには言いたいことが 山ほどある
【マサムネ♂】 でも、時間もなさそうだから 一言だけにしておくぞ
【キリュウ】
そうか
盛大にぶちまけると、いい…
【マサムネ♂】 キリュウさん… 今までありがとうございました！！
【マルガリーテ】 キリュウっ…！！
【レヴィアタン】
クハハハハハハハハハ！
なかなか面白い見せ物だったぞ
【ゼロ】
レヴィアタン
煽るだけ煽って
高みの見物してたってわけか
【レヴィアタン】
しかし、今ひとつ
悲劇性が足りなかったな
【レヴィアタン】
我としてはキリュウに
そこの女を殺すところまで
期待していたのだが…
【レヴィアタン】
片目だけとはいささか興醒めだよ
まあ、所詮は
その程度の人間だったということか
【ゼロ】
おい、てめえ――
【マサムネ♂】 レヴィアタン、 会いたかったぜ
【マサムネ♂】 今、一番会いたい奴に会えた 今、一番… 叩っ斬りたい奴になぁっ！！
【レヴィアタン】
クハハハハ！
怒るか、混り者！
【レヴィアタン】
卑賤の分際が、
我に勝てるなどと思い上がるなよ！
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