907060003 地上編 7章 絶望の世界で 第6話 アルン 終了後
【サタン】
クフフフフ
良いねえ、
その怒りすごく良いよ
【サタン】
キミ達のお陰で
ボクはかなり強化された
【サタン】
だから、
いくら攻撃しても無駄なんだよねぇ
【ゼロ】
くそっ…刃が全く通らない
どうなってやがる！？
【アスクレピオス】
少し落ち着け、イライラ王子
奴も魔王だ
【アスクレピオス】
ルシファーのようになんらかの
方法で力を得ているんだよ
【ゼロ】
うるせえ、腹黒メガネ！
お前はアルンの傷を治すことに
集中してろ！
【アスクレピオス】
最善は尽くしてるよ…
でも、あまり良くないね…
【ゼロ】
…チッ
【サタン】
良いねえ
キミは本当に良いよ、ゼロ
【サタン】
そこの木偶が
死にそうになっていて、
すごく怒っているんだろ？
【サタン】
ボクが作り出した、
ただの木偶人形なんかに
感情移入しちゃって
【ゼロ】
木偶人形だと？
アルンは人間だろうが！
【サタン】
クフフフフ
アルンを作った甲斐があったなあ
【サタン】
ボクは人間に
とても興味があるんだ
神魔契約で地上の支配権を得たとき、
【サタン】
改めて人間達を見て、
なんて卑小で脆弱な存在なんだろう
と思ったよ
【サタン】
そして同時に、とても多様で
複雑だとも感じたんだ
【サタン】
ボク達に支配され、
養分にされるだけの存在なのに、
その“心”は非論理的で不可解だ
【サタン】
それなのに
“心”が大きく揺れ動くとき、
ボク達ですら驚く程の力を発揮する
【サタン】
こんな面白い観察対象は
他にないと思ったよ
【サタン】
中でも、勝ち目なんてないのに
いつまでもボク達に抵抗し続けている
ラグナロクの人間達は興味深かった
【サタン】
あんなに強い“意思”は
一体どこから来るのか
【サタン】
知りたくて知りたくて
堪らなくなったんだ
だからアルンを作った
【ゼロ】
…嘘をつくな！
【サタン】
嘘なんかじゃない
【サタン】
ボクはラグナロクの人間達を
観察したくてアルンという
木偶人形を送り込んだんだよ
【サタン】
ボクの魔力が
キミ達のキラーズとかいうのに
反応しちゃったのは誤算だったけど、
【サタン】
それも嬉しい誤算になったな
【サタン】
アルンの目を通して観察するキミ達は
本当に興味深かった
【サタン】
人間のもつ“意思”の力っていうのは
なんて凄いんだろう
【サタン】
ボクも楽しくなって、
たまにアルンを通してキミ達を
手伝ってしまったよ
【ゼロ】
…いい加減なことを抜かすな
【サタン】
本当だって
【サタン】
ベルフェゴール攻略のヒントを得た、
アルンの夢は
【サタン】
ボクがベルフェゴールとアルンの
意識を繋いでやったから
見ることができたんだよ
【サタン】
第一魔壁だって開けてあげただろ
【ゼロ】
それ以上、
ふざけたことを口にしたら
叩っ斬るぞ！
【ゼロ】
アルンは人間だ！
俺達のマスターだ！
ここまで一緒に戦ってきた仲間だ！
【ゼロ】
断じて、
てめえの人形なんかじゃない！！
【サタン】
クフフフフ！
そう、それ！
その“怒り”が最高なんだ
【サタン】
でもさあ、ゼロ
ちょっと考えれば分かることだよ
【サタン】
ただの人間にキミ達のマスターが
務まると思うのかい？
【サタン】
キミ達のもつキラーズは
それぞれ異なっている
【サタン】
だったらバイブスだって
適合不適合の差があるはずだ
それなのにアルンは全員と適合した
【サタン】
これは本来、
不自然なことだよね？
【ゼロ】
それは…
たまたまだろっ…
【サタン】
クフフフフ！
反論になってないよ
【サタン】
アルンのバイブスは
ボクの魔力が元になってるからね
通常の人間のものより遥かに強力だ
【サタン】
特に魔獣の血肉を埋め込まれた
キミ達とは相性が良いに決まってる
【サタン】
アルンはねぇ、人間じゃない
【サタン】
キミ達を観察するために
ボクが作ったただの木偶人形なのさぁ
【ゼロ】
黙れ…
黙れ、このクソ悪魔があああっ！！
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